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資格・開業情報誌『不動産受験新報』編集スタッフが、編集にまつわるおもしろ話、資格情報、耳より情報をつづっていきます。

行政書士記述式民法 不動産受験新報07年7月号

2007-06-27 17:26:14 | Weblog
特集2 新傾向に強くなる
国家試験記述式対策
行政書士
民法
住宅新報社講師 植杉伸介

予想問題1
 A・B・Cの3人が均一の持分で共有している建物を,Dに賃貸している場合において,Dに賃貸借契約解除の事由があるとき,Aは,B及びCの同意を得ることなく,A単独でDとの賃貸借契約を解除することはできないとされているが,その理由を40字程度で記述しなさい。
 



解 説
 共有物の管理等は,行為の種類に応じて決定方法が異なっています(民法251条,252条)。
 
行為の種類 必要数
保存行為 各共有者が単独でできる
管理行為 持分の価格の過半数
変更・処分行為 共有者全員の同意
 保存行為とは,共有物の現状を維持する行為をいい,共有物の修繕,共有物の登記,共有物の不法占拠者に対する明渡し請求などが該当します。このような保存行為は,必要な行為であり,共有者全員にとって利益になることなので,各共有者が単独で行ってもよいことにしたのです。
 次に,管理行為とは,共有物を利用したり,改良したりする行為をいい,共有者間における共有物の共同利用方法の決定,共有建物の改装(改造に至らない程度の工事),共有物を目的とする賃貸借契約の解除などが該当します。これらの行為は,共有者全員に不利益を与える(たとえば,建物改装の場合であれば改装費用の負担,賃貸借契約の解除の場合であれば賃料収入がなくなる)ことがあるので,多数決で決定することにしたのです。
 なお,この場合の多数決は,共有者の人数で決めるのではなく,持分の価格で決めることに注意してください。たとえば,A・B・Cの3人が共有している事例で,A3分の2,B6分の1,C6分の1の持分である場合,A1人で持分の過半数を有しているので,Aの判断だけで管理行為を決定できることになります。これに対し,BとCが賛成し,Aが反対している場合,人数のうえでは過半数の同意がありますが,持分の過半数には達していないので,管理行為を決定できないことになります。
 変更・処分行為とは,共有物に変更を加えたり,共有物を処分する行為をいい,共有物の売却,共有建物の増改築,共有物に対する抵当権の設定などが該当します。これらの行為は,共有物を使用する共有者の権能を制限または喪失させる結果を招くものなので,共有者全員の同意を要求したのです。
 本問で問われている「賃貸借契約の解除」という行為は,上で述べたとおり,管理行為に該当するので,持分の価格の過半数によって決定しなければなりません。したがって,3分の1の持分しか有しないAは,単独では賃貸借契約を解除することはできず,BまたはCの同意が必要ということになります。
解答例
 
 賃貸借契約を解除することは管理行為に該当し,持分の価格の過半数の同意が必要だから。(41字)
 なお,上の解答例のうち「持分の価格の過半数」という部分を,「持分の過半数」としてもおそらく減点はされないと思います。「持分の価格」というのは,持分の割合を金額で表現しただけであり,「持分の価格の過半数」と「持分の過半数」とは,実質的には同じことだからです。たとえば,3,000万円の建物をA・B・Cがそれぞれ1,000万円ずつ出し合って共同で購入した場合,その持分を分数で表現すればA3分の1,B3分の1,C3分の1ですが,価格で示せば合計3,000万円のうち,A1,000万円,B1,000万円,C1,000万円ということになります。これは,同じことを表現を変えて示しているだけですね。
予想問題2
 A所有の甲地とB所有の乙地は隣接しているが,甲地に植えられているA所有の竹木の枝及び根が,境界線を越えて乙地に侵入してきたため,Bは,その枝及び根を切除したいと思っている。Bは,どのような行為をすることができるか。40字程度で記述しなさい。
 



解 説
 条文(民法233条)の知識を問う問題であり,やさしめの問題といえます。
 法律は,枝の越境の場合と根の越境の場合を分けて規定しています。
 枝が越境している場合は,その竹木の所有者に,その枝を切除させることができます(233条1項)。すなわち,枝の場合は,越境された側が勝手にこれを切り取ることはできず,竹木の所有者に切除を請求できるにすぎないのです。切除の請求に対して,相手方が任意に応じない場合は,訴訟によって強制することになります。
 なお,切除を請求された相手方としては,枝を切除せずに,竹木全体を境界から離して移植するなどの方法で対処してもよいと解されています。これで,越境という状態は解消されるからです。
 これに対し,根が越境している場合は,越境された側で,その根を切り取ってしまうことができます(233条2項)。
 このように枝と根で扱いが違っていることは大変印象的なので,一度勉強すればすぐに覚えることができるでしょう。しかし,枝と根で結論が違っていることは覚えられても,どっちがどっちの結論だったのか分からなくなる可能性が高いと思います。
 でも,安心してください。次のように覚えれば,枝と根それぞれの場合における結論との結びつきを間違えることはなくなるはずです。
 本来,他人の所有物を勝手に切り取ることはできないのが原則です。この点,枝のほうは,隣地の竹木の一部として空中から越境しているので,一見して他人の所有物であると分かります。それゆえ,原則どおり,勝手に切り取ることを認めるべきではありません。
 これに対し,根のほうは,隣地の竹木とは地中で通じているだけなので,他人の所有物かどうか,見た目では分かりにくい状態です。また,自分の土地から出てくるので,自分の土地の一部というイメージが強くなります。越境された側の土地の一部であるならば,その土地の所有者が勝手に切り取ってもかまわないという発想に結びつくわけです。
解答例
 
 Bは,枝についてはAに切除させることができ,根については自分で切り取ることができる。(42字)


不動産受験新報ー事件屋宅建マン管ーー小田有志

2007-06-19 09:12:14 | Weblog
不動産受験新報7月号

新事件屋宅建マン管
宅建業法
第17回
㈱新日鉄都市開発 小田有志

○はじめに
 今月は,宅建業者が事業を開始する前に供託しなければならない営業保証金に関する事件です。
○事 件
 渋谷不動産から独立し,大崎不動産を設立した大崎社長は上機嫌です。独立早々,青山不動産に土地を売り込み,仲介を取りまとめ,明日契約の運びとなっています。
 青山不動産の青山社長は,「大崎社長,ところで営業保証金の供託は終わりましたか」と尋ねます。
 大崎社長は,「いいえ,雑事に気を取られ忘れていたのだが,今日これから供託する予定だ。今日中に供託すれば明日の契約には間に合う。宅建免許は3カ月前に下りているから大丈夫」と答えます。
 青山社長は,「免許も無事下りたことだし,営業保証金の供託が今日終われば,明日の契約は特に問題がないな」と応じ,翌日,大崎不動産の仲介で土地を購入し,媒介手数料を支払いました。(事件1)
 土地価格上昇の追い風を受け,青山不動産の利益はうなぎのぼりです。ここは攻めの経営に徹して,一段の事業の拡大を図ろうと横浜に新たに支店を設けることとなりました。
 開店準備も整い,横浜支店の分の営業保証金を供託しなければなりません。
 青山不動産の井上経理部長は,「青山不動産の主たる事務所の分は,東京法務局に供託しているのだが,横浜支店の分は横浜法務局に供託することになるそうだ」と部下の江口社員をともなって横浜法務局に出発しました。(事件2)
 営業保証金の供託は現金に限るとされているため,500万円の現金を横浜まで運ぶこととなることから,屈強な江口社員に同行を命じたのです。(事件3)
○本試験での出題形式
 本試験では,営業保証金の供託制度全般について出題されています。特に,営業保証金の供託と業務の開始時期,営業保証金の供託の対象となる有価証券の範囲等が繰り返し出題されています。
設問
 宅建業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
選択肢
1 宅建業の免許を受けた者は,事業を開始した日から3月以内に営業保証金を供託し,その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
2 宅建業者は,事業の開始後,新たに支店を設置したときは,その支店の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し,その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
3 宅建業者は,取引の相手方の権利の実行により営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは,通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を金銭で供託しなければならない。
○解 説
 法第25条に定められた営業保証金制度は,宅建業者と宅建業に関し取引をした取引の相手方が,取引に関する債権が発生したときに,営業保証金から弁済を受けることができる制度です。
 この制度を補うものとして(多額の保証金を必要としない制度),保証協会が行う弁済業務保証金制度があります。

(残りは本誌でどうぞ)

不動産受験新報ーー有望資格かわら版

2007-06-18 10:08:18 | Weblog
有望資格かわらばん
試験時期・公告日・申込受付日・合格発表日は,平成19年度のもの以外は平成18年度試験のものを,受験者数・合格者数・合格率は,合格者数の出ている直近の結果を掲載しています。アミのかかっている部分は今月号から新しくなった情報です。
資格名・受験資格 試験時期@ 公告日 申込受付 合格発表 受験者 合格者 合格率 問い合わせ先
司法書士 ①平成19年@7月1日@ 4月2日@(官報) 5月7日@~@5月18日@(平19) 9月26日@(平19) 26,278@(平18) 916@(平18) 3.5@(平18) 法務局・各地方法務局の総務課●03―3580―4111
①筆記@②口述@@学歴,年齢,性別などの制限はなし
②平成19年@10月9日@ 10月30日@(平19) 914@(平18) 3.5@(平18)
マンション管理士 平成18年@11月26日@ 6月8日@(官報) 9月4日@~@9月29日 平成19年@1月12日 21,743@(平18) 1,814@(平18) 8.3@(平18) (財)マンション管理センター@●03―3222―1611
学歴,年齢,性別などの制限はなし
管理業務主任者 平成18年@12月3日@ 6月16日@(官報) 9月1日@~@9月29日 平成19年@1月19日 20,830@(平18) 4,209@(平18) 20.2@(平18) (社)高層住宅管理業協会@●03―3500―2720
学歴,年齢,性別などの制限はなし
宅地建物取引主任者 平成19年@10月21日@ 6月1日@(公報) 7月2日@~@7月31日@(平19) 12月5日@(平19) 193,573@(平18)@ 33,191@(平18) 17.1@(平18) (財)不動産適正取引推進機構@●03―3435―8181
学歴,年齢,性別などの制限はなし
行政書士 平成18年@11月12日@@ 7月7日@(試験センター)@ 8月7日@~@9月8日 平成19年@1月29日@ 70,713@(平18) 3,385@(平18) 4.8@(平18) 行政書士試験@研究センター@●03―5251―5600
学歴,年齢,性別などの制限はなし
土地家屋調査士 ①平成19年@8月19日@ 5月1日@(官報)@ 5月28日@~@6月8日@(平19) 10月24日@(平19) 6,523@(平18) 520@(平18) 8.0@(平18) 法務局・各地方法務局の総務課●03―3580―4111
①筆記@②口述@学歴,年齢,性別などの制限はなし。測量士補の資格があれば2次試験は免除
②平成19年@11月5日@ 11月28日@(平18) 520@(平18) 8.0@(平18)
不動産鑑定士 ①平成19年@5月20日@ 1月10日@(官報) 3月5日@~@3月16日 6月22日 4,605@(平18) 1,160@(平18) 25.2@(平18) 国土交通省土地・水資源局地価調査課@●03―5253―8111
①短答式(新試験)@②論文式(新試験)@③3次(経過措置)@@@@@学歴,年齢,性別などの制限はなし
②平成19年@8月4日@~@8月6日 1月10日@(官報) 3月5日@~@3月16日 10月12日 912@(平18) 94@(平18) 10.3@(平18)
③平成19年@12月2日@ 1月10日@(官報) 10月22日@~@11月2日 平成20年@1月25日@(予定) 786@(平18) 212@(平18) 27.0@(平18)
FP技能士 平成19年@5月22日@@平成19年@9月9日@@平成20年@1月27日@ 3月16日@~@4月6日@@7月5日@~@7月25日@@11月12日~@12月3日 平成19年@7月4日@@平成19年@10月22日@@平成20年@3月6日 1月2級@学科@30,699@(平19) 1月2級@学科@7,688@(平19) 1月2級@学科@25.04@(平19) 金融財政事情研究会@●03―3358―0771
金財 2級・3級@3級は受験資格なし。2級は3級合格者または実務経験者
日本FP協会 2級@@@研修修了または3級合格者または2年以上の実務経験者 1月2級学科@24,282@(平19) 1月2級@学科@7,453@(平19) 1月2級@学科@30.69@(平19) 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会@●03―3500―5760
不動産コンサルティング技能試験 平成19年@11月11日@ 4月以降 8月1日@~@8月31日@ 平成19年@1月15日@ 1,718@(平18) 882@(平18) 51.3@(平18) (財)不動産流通近代化センター@●03―3986―0810
宅地建物取引主任者資格登録者@または不動産鑑定士登録者

資格名・制度名 問い合わせ先 問い合わせ先TEL 問い合わせ先URL
住宅ローンアドバイザー (財)住宅金融普及協会 ●03-3260-7346 http://www.sumai-info.com/
区分所有管理士 (社)高層住宅管理業協会 ●03-3500-2720 http://www.kanrikyo.or.jp/
賃貸住宅管理士 (財)日本賃貸住宅管理協会 ●03-5276-3444 http://www.jpm.gr.jp/
賃貸不動産管理士 賃貸不動産管理業協会 ●03-3865-7031 http://www.chinkan.jp/
不動産賃貸管理士 (社)全日本不動産協会 ●03-3263-7030 ――