星美学園の聖母子像
(住所:東京都北区赤羽台4-2-14)
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年間第19主日のミサを八王子教会で与っていたときのこと。この日は主任司祭の稲川圭三神父が不在で、代わりに関谷義樹神父が司式された。聖体拝領後の沈黙の時間、オルガンがどこかで耳にしたことのある旋律を奏で始めた。これはチマッティ神父(注)作曲の「アヴェ・マリア(恵みあふれるマリア)」ではないか。サレジオ会司祭の関谷神父に謝意を表した選曲なのだろう。 私はこの気高い調べを、今年の元旦に調布教会の新年ミサで初めて聴いた。
その後、ドン・ボスコ聖遺物巡礼の記念ミサでも聴いた。司式のコンプリ神父と会衆全員で歌ったときの感激が忘れられない。私はこの歌に強く惹かれ、ついにチマッティ神父の歌曲集CDを求めたほどだ。チマッティ神父は生涯に900曲を超える作品を残したという。現在、CDで聴けるのは膨大な遺産の一部に過ぎないが、それらが決して「粗製濫造」ではなく、また作曲家の野心でこしらえたものでもないことに驚く。まさに美しく優しい調べが溢れ出る泉なのだ。
チマッティ神父は幼少から楽才を示し、後に音楽大学を卒業。だから、単なる日曜作曲家ではなかった。「アヴェ・マリア」は、CD「心が歌う チマッティ神父」に収録されている。これはチマッティ神父記念コンサートのライヴ録音だ。合唱や独唱などでチマッティ神父の名曲が楽しめる。特に「キリストの魂よ」は、心が洗われるような旋律だ。それにしても、チマッティ神父の「アヴェ・マリア」は、古今東西の同名異曲と比べても遜色がない傑作ではなかろうか(と思う)。
チマッティ神父の歌曲CD (制作:チマッティ資料館)
<左:「マリアさまを歌う チマッティ神父」、右:「心が歌う チマッティ神父」>
(注):Vincenzo Cimatti (1879-1965年)。1926年、イタリアから宣教団長として初来日、サレジオ会の事業を極東に築く。晩年は調布サレジオ神学院長に就任。チマッティ神父の「アヴェ・マリア(Ave Maria gratia plena)」作品番号191は、チマッティ資料館のサイト内で試聴可能(CD1「心が歌う チマッティ神父」の23曲目)。
◆主な参考文献など:
「チマッティ神父・日本を愛した宣教師」 T・ボスコ、G・コンプリ共著(チマッティ資料館・2001年)