カトリック泉町教会の聖母子像
(住所:東京都八王子市泉町1287)
(住所:東京都八王子市泉町1287)
7月24日(日)、八王子教会で年間第17主日のミサに与ったあと、私は市内北西にある泉町教会のミサにも参列することにした。本町の八王子教会から、路線バスで約20分ほどの距離である。多摩カトリック小史(前編)の記事でも触れたが、私が多摩地域のカトリック信仰に惹かれたのは、この泉町教会の存在を知ったことが大きい。八王子城跡の険しい山を見ながら、バスは南浅川を渡る。中央高速のガード下をくぐり、右折した細い道が泉町の入口である。
西東京バスの泉町停留所で下車。明治初期、テストヴィド神父と泉町出身の山上卓樹らによって、この地に教会が建てられた。封建時代の不条理に苦しんできた村人たちはカトリックに改宗する者が続出し、その勢いは山上卓樹が「燎原の火のごとく」と評したほどであった。テストヴィド神父も「全村こぞってカトリックになる」と喜んだ。だが、村の大火や不況などによって、多くの若者がここを離れてしまう。そして、テストヴィド神父の死。 燎原の火は消えかかる。
現在、泉町教会は常駐の神父を持たず、八王子教会の主任司祭が第二・第四日曜日のミサなどに訪れている。今回は、東京教区本部の藤岡和滋神父が司式された。戦前の古い聖堂内には、パイプ椅子が30席ほど並んでいる。以前は畳敷きだったという。この日の会衆は十数人であったが、足踏み式オルガンの懐かしい音色に合わせて、カトリック聖歌「あまつみはは」などを歌う。小さな泉町教会で、私は豊かなお恵みを授かった。燎原の火、いまだ消えず。
<謝辞>
「こちらの教会は初めてですか?」。この日、泉町教会信徒の方々は、闖入者である私に温かく声をかけてくださった。特にオルガン奏者の方からは、聖堂のご説明をいただいた上、聖堂内(及び御像)撮影のご快諾も賜った。この場をかりて心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
◆主な参考文献など:
「多摩の百年(上)悲劇の群像」 朝日新聞東京本社社会部著(朝日新聞社・1976年)
「八王子教会百年」 カトリック八王子教会百年記念誌編集委員会編(同教会百年祭委員会・1977年)