私がひきこもり状態にあった若者を支援していた頃、「ひとりじゃない、就活講座」というものを若者たちと一緒に運営していたことを以前に掲載したことがありますが、そこに参加なさっていたUさんとの出会いで、支援者であった私もいろんな意味で学ばせていただき、一歩成長させていただいたなあと思っています。
Uさんは自分と親や友人が見ているものが違うと感じていました。表面的に見えるものと、自分の抱えているものが違うのに、いつも表面的な部分で自分を判断されているようでした。親や他人から自己規定され誤解されて生きてきたと言います。自分の気持ちを相手に伝えたいけれど、届きません。だから、「自分で解決しなければ」「こんなことに悩んでいるのは自分だけなんだ」「ずっと良い子でいなければいけないのかなあ」「自分の病気は心配される病気ではないのかなあ」と思うようになり、感情を押し殺していきます。
誰も自分のことをわかってくれない、それがつらくて仕方がなかったと言います。そのつらさが身体にあらわれ、腹痛や過呼吸になってしまいました。
大学では腹痛や過呼吸などで、授業中に担架で運ばれることが何度もあったと言います。「みんなに申し訳ない」という気持ちでいっぱいでした。そして、大学を中退します。その頃からUさんは「泣かない子」になってしまいます。Uさんは決心し、相談に来ます。
Uさんは「はじめて相談に来て、今までの自分の経緯をじっくり聴き取ってもらったことが嬉しかった。自分の生い立ちを丁寧に聴いてもらえたこと、自分を認めてもらえ、知ってもらったことが嬉しかった」と言っていました。
他人から自己規定され誤解されて生きてきた悩みを打ち明け、はじめて「自分自身を受け止めてもらえた感覚」を得ます。
Uさんは、その後、アルバイトに挑戦したり(アルバイトは週5回)簿記講座(検定試験満点合格)やヘルパー講座(ヘルパーに2級取得)に参加したりと、積極的に動きはじめ、「勇気を出して友だちをつくってみたい」と思うようになっていきます。私からの提案に積極的にかかわりはじめたのは「自分の悩みを聴き取ってくれた信頼できる大人からの提案なら、ちょっとは信用してもいいのではないか」とUさんは述懐します。
Uさんが言われた「自分の悩みを聴き取ってくれた信頼できる大人からの提案なら、ちょっとは信用してもいいのではないか」という言葉は、非常に意味のある言葉だったと今振り返っても思います。信頼できる人からの提案を信用してやってみようかと思える関係をいかに支援者がつくっていけるか、ということがいつも私は問われているのだなあと思うのです。
私はUさんの言葉のように人から言っていただける、そんな関係を切り結べるよう、日々取り組んでいるところです。
参考文献
・山田育男「『ひとりじゃない、就活講座』活動記録」『高校生活指導』
当法人のホームページは以下をクリックするとご覧いただけます。
Uさんは自分と親や友人が見ているものが違うと感じていました。表面的に見えるものと、自分の抱えているものが違うのに、いつも表面的な部分で自分を判断されているようでした。親や他人から自己規定され誤解されて生きてきたと言います。自分の気持ちを相手に伝えたいけれど、届きません。だから、「自分で解決しなければ」「こんなことに悩んでいるのは自分だけなんだ」「ずっと良い子でいなければいけないのかなあ」「自分の病気は心配される病気ではないのかなあ」と思うようになり、感情を押し殺していきます。
誰も自分のことをわかってくれない、それがつらくて仕方がなかったと言います。そのつらさが身体にあらわれ、腹痛や過呼吸になってしまいました。
大学では腹痛や過呼吸などで、授業中に担架で運ばれることが何度もあったと言います。「みんなに申し訳ない」という気持ちでいっぱいでした。そして、大学を中退します。その頃からUさんは「泣かない子」になってしまいます。Uさんは決心し、相談に来ます。
Uさんは「はじめて相談に来て、今までの自分の経緯をじっくり聴き取ってもらったことが嬉しかった。自分の生い立ちを丁寧に聴いてもらえたこと、自分を認めてもらえ、知ってもらったことが嬉しかった」と言っていました。
他人から自己規定され誤解されて生きてきた悩みを打ち明け、はじめて「自分自身を受け止めてもらえた感覚」を得ます。
Uさんは、その後、アルバイトに挑戦したり(アルバイトは週5回)簿記講座(検定試験満点合格)やヘルパー講座(ヘルパーに2級取得)に参加したりと、積極的に動きはじめ、「勇気を出して友だちをつくってみたい」と思うようになっていきます。私からの提案に積極的にかかわりはじめたのは「自分の悩みを聴き取ってくれた信頼できる大人からの提案なら、ちょっとは信用してもいいのではないか」とUさんは述懐します。
Uさんが言われた「自分の悩みを聴き取ってくれた信頼できる大人からの提案なら、ちょっとは信用してもいいのではないか」という言葉は、非常に意味のある言葉だったと今振り返っても思います。信頼できる人からの提案を信用してやってみようかと思える関係をいかに支援者がつくっていけるか、ということがいつも私は問われているのだなあと思うのです。
私はUさんの言葉のように人から言っていただける、そんな関係を切り結べるよう、日々取り組んでいるところです。
参考文献
・山田育男「『ひとりじゃない、就活講座』活動記録」『高校生活指導』
当法人のホームページは以下をクリックするとご覧いただけます。