通好み江戸生活帳

長屋住まいの江戸下町お気軽生活

秘密録の巻

2005年10月01日 | Weblog
 今日は、公事宿の石川屋の庭手入れに行って来たぜ。
この前の裁きの途中の爺さん、まだ居たんだよ。裁きが長えとてえへんだな。
でもよ、この爺さん、この前の時と違って落ち着いてるんだよな。
前にもまして、最近は芝居見物や相撲、両国なんかに行って
楽しんでるそうだ。そういやあ、前と違って粋な羽織を着てるじゃねえか。
それをちょっと崩して着てる姿なんぞ、すっかり江戸の旦那に見えらあ。
爺さんの言うことにゃ、秘密録ってのをこの公事宿の旦那から、
内密に見せてもらったそうだんだよ。
その秘密録ってのは、犯した罪に対応する裁きの内容が書かれているもの
らしいんだ。本当は、お奉行しか見れないものなんだが、写本が出回ってるんだと。
ここは、公事宿なんでこういうものを秘密に持っているとなにかと便利するんだろうな。
それで、その秘密録を見て爺さんがどれくらいの裁きを受けるのか、
見当がついたんだと。結局、過料で済みそうなんで、気が楽になったって訳だ。
こうなりゃ、裁きの日まで、江戸見物で悠々過ごすってことだな。