通好み江戸生活帳

長屋住まいの江戸下町お気軽生活

旗本奴の巻

2005年10月26日 | Weblog
 全く迷惑な話だぜ。最近の旗本奴の行儀の悪さにも程があるってもんよ。
この前は、駿河町の水茶屋で店に因縁つけて大暴れしたって話だしよ、
つい先日は、近江屋にも、入ってきて暴れそうになったんだよ。
その時は、主人が出てきて、何とか追い出そうといろいろ取り繕ったんだが、
つまらねえことに因縁をつけてきたんだよ。それで、あまりにうるせえんで
近江屋のお客の御武家様の名前を挙げて、もしこの店で暴れたら、
てえへんな事になるぜってすごんだらしいんだよ。
そしたら、さっさと引き上げたって言うからたちが悪いぜ。
 あいつら、全く困ったもんよ。
この話は、お侍様の間でも知れているらしくて、旗本殿様の佐々木の旦那の
庭手入れに行ったときも、どんなに暴れているか聞かれたぜ。
まあ、旦那のいうことにゃ、旗本奴っていう奴らは、元々は旦那と同じ
旗本殿様の身分なんだが、主の次男や三男が旗本奴になるってことらしいぜ。
お侍ってのは長男が家を継いで、次男三男は家を継げねえらしいんだよ。
お城のほうでも出世も出来ねえらしいし、仕事らしい仕事もないんで
銭にも苦労してるって話よ。それで、うっぷん晴らしに徒党を組んで暴れてるって
話よ。旦那は、同じ旗本殿様なんで、少しは気持ちが分かるらしいぜ。
でもよ、だからって、暴れるこたあねえじゃねえねえか。
銭がねえのは、町人だって同じことよ。佐々木の旦那だって、旗本殿様だけど
内職して銭を工面してるじぇねえか。
 まあ、こういう奴らには、つき合わねえのが一番だし、もし遠目にでも
見つけたら、さっさと湯屋に逃げ込んじまうのが一番だね。


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