秋草を眺めながら思い出すのが酒井抱一の「夏秋草図屏風」です。今年は生誕250年を記念した展覧会が開催されているため、この時期見かけることがあるかと思います。俵屋宗達や尾形光琳の流れをくむ琳派の絵師で、江戸琳派を作った人と言われています。
私の一番好きな日本の建造物は厳島神社と平等院鳳凰堂ですが、その美しさは床面を境とした上部と下部のバランスと、左右対称の美しさにあります。横に伸びた平面の美しさと伸びやかさを支える柱の高さ、柱と柱の間隔のバランスが好きです。こういった美しい建築は決まってシンメトリーです。何よりも安定感を求められる建物ですから当然でしょう。世界一美しいと言われるタージマハールも完璧なシンメトリーです。
それに対し、日本の伝統文化のさまざまなシーンでは、アシンメトリーの美を見つけることができます。右と左の対象物のバランスを考えながら大部分を占める真ん中のスペースの使い方にも、それぞれのオリジナリティを見つけることができます。俵屋宗達の風神雷神図屏風、尾形光琳の紅白梅図屏風などは描かない部分をどう活かすかが綿密に計算されているようです。
アシンメトリーの美の理由ーそれは未完成であるということでしょう。未完成が完成に向かう時、そこには動きが生まれます。動かないはずの絵に動きを感じることができます。その完成形を想像するのは私たちです。ちょうど音楽のコードが「不安定」のセブンスから「安定」のⅠ度に移る時、その一瞬に劇的なドラマが生まれるのと同じような感覚です。そして、未完成とはまさに自然界の魅力であり、あるがままを「美」とみなす、その「姿勢」そのものを「美」とする理念にあるのではないでしょうか。
手を加え、洗練された美もあるけれど、自然のまま、あるがままも美しいーこんなメッセージを琳派の絵から感じます。そしてまた、そのあるがままの美を表現するための色彩感覚や描写技術は、鍛錬された絵師たちによって受け継がれ、空間もまた描かれたもの同様に意味を持つことを知ると絵を見るときの楽しみが増えます。
床の間に花をいける時、水盤の中の剣山を真ん中に置かずに横にずらしてみるー生活の中でアシンメトリーの美を見つけるのも面白いかもしれませんね。
私の一番好きな日本の建造物は厳島神社と平等院鳳凰堂ですが、その美しさは床面を境とした上部と下部のバランスと、左右対称の美しさにあります。横に伸びた平面の美しさと伸びやかさを支える柱の高さ、柱と柱の間隔のバランスが好きです。こういった美しい建築は決まってシンメトリーです。何よりも安定感を求められる建物ですから当然でしょう。世界一美しいと言われるタージマハールも完璧なシンメトリーです。
それに対し、日本の伝統文化のさまざまなシーンでは、アシンメトリーの美を見つけることができます。右と左の対象物のバランスを考えながら大部分を占める真ん中のスペースの使い方にも、それぞれのオリジナリティを見つけることができます。俵屋宗達の風神雷神図屏風、尾形光琳の紅白梅図屏風などは描かない部分をどう活かすかが綿密に計算されているようです。
アシンメトリーの美の理由ーそれは未完成であるということでしょう。未完成が完成に向かう時、そこには動きが生まれます。動かないはずの絵に動きを感じることができます。その完成形を想像するのは私たちです。ちょうど音楽のコードが「不安定」のセブンスから「安定」のⅠ度に移る時、その一瞬に劇的なドラマが生まれるのと同じような感覚です。そして、未完成とはまさに自然界の魅力であり、あるがままを「美」とみなす、その「姿勢」そのものを「美」とする理念にあるのではないでしょうか。
手を加え、洗練された美もあるけれど、自然のまま、あるがままも美しいーこんなメッセージを琳派の絵から感じます。そしてまた、そのあるがままの美を表現するための色彩感覚や描写技術は、鍛錬された絵師たちによって受け継がれ、空間もまた描かれたもの同様に意味を持つことを知ると絵を見るときの楽しみが増えます。
床の間に花をいける時、水盤の中の剣山を真ん中に置かずに横にずらしてみるー生活の中でアシンメトリーの美を見つけるのも面白いかもしれませんね。