エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

EUの「3つの20」とエネルギー消費の20%削減

2009-12-28 06:43:03 | Weblog
 EUは気候変動・エネルギー対策として、(1)20年までに温暖化ガスを1990年比で20%削減する、(2)最終エネルギー消費のうち、再生可能エネルギーの比率を20年までに20%に引き上げる、(3)エネルギー消費を20年までに20%削減する、という「3つの20」を目標に掲げています。
 このうち、(1)、(2)は、EUが4月に採択した気候変動・エネルギーパッケージの中で法制化され、6月に発効しました。(3)は、まだ法制化されていませんが、EUは06年に「エネルギー効率化行動計画」を策定し、07年から6年間かけて実施する優先10分野、約75の行動計画を定めています。欧州委員会は7月に行動計画の見直しに着手し、(3)の法制化を含む7つの特別措置を新行動計画を10年春には策定する予定です。
 こうした中、EUは「エネルギー消費型製品(EuP)に対するエコデザイン要求事項設定のための枠組み指令」の対象製品を「エネルギー関連製品(ErP)」に拡大する新指令を11月20日に発効させました。これにより、加盟各国はErP枠組み指令を10年11月20日までに国内法として整備することが義務付けられました。ErPは、製品の使用時にはエネルギーを消費しないものの、エネルギーの消費に間接的に影響を与える製品を対象とします。例えば、蛇口、シャワーヘッド、窓枠、断熱材などです。
 また、「枠組み指令」としてのEuP指令の下で、EU加盟各国はすでにEuP枠組み指令を07年8月までに国内法として整備しています。EuP指令は枠組み指令のため、特定製品に対して特定の要件を課すものではなく、一般的な原則を定めたにすぎません。このため具体的な規定は、対象となる製品グループ別に実施措置(Implementation Measures)で定めることになっています。
 現在、34製品グループがEuP指令の対象として挙がっており、2009年に入って個別製品の実施規則が次々に発効し、9月までに計9製品の規則が発効しました。。欧州委員会の試算によると、この9製品で20年までに計343テラワット時(TWh、テラは1兆)の電気消費が節約でき、これはEUの電気消費全体の12.5%に相当します。
 このうち2009年4月に発効した家庭用照明機器に関する実施規則では、コーティングされた不透明の電球と消費電力量100W以上のクリア電球の販売が9月から禁止されました。今後は12年までに段階的に白熱電球、16年までに一部のハロゲン電球も含めてエネルギー効率の低い照明が全廃されます。
 また、8月に新たに発効した4つの実施規則(電動機、サーキュレーター、家庭用冷蔵庫、テレビ)によって、2020年までに年間190テラワット時(TWh、テラは兆)のエネルギーを節約できるとしています。これはスウェーデン、オーストリアの年間消費電力に相当します。最も削減効果が大きいのはモーターで、135TWhの節約を見込んでいます。次いで、サーキュレーターで25TWh、テレビと家庭用冷蔵庫で30TWh節約されると予測しています。
 このうち、家庭用冷蔵庫とテレビに関する実施規則については、規則では、既存のエネルギーラベル規制との相乗効果を目指しています。
 EUでは既にエネルギーラベル指令 の下、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機、乾燥機、乾燥機付き洗濯機、食器洗浄機、電子レンジ、家庭用照明、エアコンのエネルギーラベルに関する欧州委員会指令が策定されて、これらの製品にはエネルギーラベルの表示が義務付けられています。
 この運用に当たっては、エネルギーラベルが先行して効率性を引き上げ、より高い水準の最低基準を設定していくという手法がとられており、現行のラベル規制だけでも05年の年間消費電力122テラワット時(TWh、テラは1兆)から、20年には83TWhまで下がるが、今回のEuP指令の実施規則により最低基準を設けることで、削減量は20年には6TWh、25年には14TWh、上乗せできるとしています。
 今後は、10年上半期にかけて、家庭用洗濯機、温水器、ボイラー、電気ポンプ、業務用ファン、複雑なセットトップボックス、画像機器、パソコン、エアコン・空調システムに関するそれぞれの規則が採択される見通しです。

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