
大統領の理髪師@早稲田松竹
2004/韓国/イム・チャンサン/孝子洞理髪師
大統領官邸がある孝子洞の町では人々は盲目的に与党支持者になっている。現職大統領を守るためなら不正選挙の協力もあたりまえ。しかしそこに確固たる政治信念や思想はない。町で理髪師を営むソン・ハンモ(ソン・ガンホ)はそんな町民の典型。仲間と大統領の話はするが、実は政治のことはよくわかってない。
1960年4月19日、大統領選挙の不正に対するデモが起こった。ハンモと妻(ムン・ソリ)はデモのさなかに息子ナガン(イ・ジュウン)を授かる。大統領は退陣するがその後の文民政権は長くはもたず、1961年5月16日に軍事クーデターが勃発し新軍事政権が誕生する。
ある日政権幹部が偶然店に訪れたことから大統領の専属理髪師という大役を仰せつかるハンモ。官邸に出向き大統領の髪をととのえ髭を剃る。失敗は許されない。緊張しながら仕事をこなすハンモだが、その実直な仕事ぶりや謙虚な性格が大統領に気に入られ、大統領のアメリカ外遊にも付き添い町の人々にも一目置かれるようになる。
しかし、北朝鮮スパイ侵攻事件が起こり、彼らが下痢をしていたことから下痢をしている韓国人が「マルクス病」として赤狩りの対象となる。そして幹部がハンモの店に散髪に来ていたとき、息子ナガンが下痢だと言ったことから、まだ子供のナガンも警察に連行されてしまう・・・
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映画評などでは「家族への愛が当時の軍事政権権力に立ち向かう」というような言葉がいくつかありましたが、「立ち向かう」ほどの大それたことは、この一小市民はできていなかったと思います。逆に、権力に対して何もできない彼の小ささがずっしりと重みを持ち、切なくなってきます。当時の韓国社会における「サイレント・マジョリティー」といったところなのでしょうね。
60年代から10年余りに渡って、軍事政権の中生活する韓国の一市民をこの作品でみていると、これまで映画で学んできた韓国歴史のモチーフがいたるところに散りばめられていることに気づきます。韓国映画には、「歴史的な一大事が個人の人生を翻弄する」多くの素晴らしい作品があるという印象があります。この手のテーマはえてして映画になると大げさな演出になり、戦闘シーンがどれだけリアルだったかとか、どれだけ手をつくして当時の時代演出をしたか、といったことがクローズアップされがちですが、そこをとても上手くさりげなく、でもずっしりと重みを持った作品に仕上げていると思うのです。そして、むしろリアルなのは登場人物たちに心情だということに気が付くのです。
しかしイム・チャンサン、これが初監督。圧政時代、赤狩り、スパイ容疑、拷問・・・重いテーマでありながら、ひょんなことからそこに巻き込まれる無知な一般市民をコミカルに描く、恐るべしその力量!
イケメンスター(つーのも恥ずかしい言葉だけど
)の恋愛物語もいいけど、こういう映画がもっともっと注目されてもいいんじゃないでしょうか。
主演のソン・ガンホ、いい役者ですね。気に入りました。というわけで「私家版韓流四天王」!今一番(アタシの中で)旬で輝いている韓国の俳優4名です。ヨン様なんてめじゃない、やっぱりアン様・ソル様・オル様・ソン様でしょ
(笑)

↑アン・ソンギ:アタシにとって永遠のヒーロー
アメリカに憧れた床屋の青年が従軍したベトナム戦争が気になった方、アン・ソンギの主演する「ホワイト・バッジ」がおすすめです。韓国がこの戦争に多くの派兵(アメリカに次いで2番目)をした事実を、アタシはこの映画で初めて知りました。

↑ソル・ギョング:韓国の大杉漣、と勝手に呼んでます
韓国の軍事政権時代に興味を持たれた方、彼の主演する「ペパーミント・キャンディ」がおすすめです。ここでも時代の大きな波に翻弄される一人の優しい市民の人生が切なく描かれています。

↑イ・オル:この人の表情からは「愛」があふれ出てます

↑ソン・ガンホ:職人のような役者さんですね
2004/韓国/イム・チャンサン/孝子洞理髪師
大統領官邸がある孝子洞の町では人々は盲目的に与党支持者になっている。現職大統領を守るためなら不正選挙の協力もあたりまえ。しかしそこに確固たる政治信念や思想はない。町で理髪師を営むソン・ハンモ(ソン・ガンホ)はそんな町民の典型。仲間と大統領の話はするが、実は政治のことはよくわかってない。
1960年4月19日、大統領選挙の不正に対するデモが起こった。ハンモと妻(ムン・ソリ)はデモのさなかに息子ナガン(イ・ジュウン)を授かる。大統領は退陣するがその後の文民政権は長くはもたず、1961年5月16日に軍事クーデターが勃発し新軍事政権が誕生する。
ある日政権幹部が偶然店に訪れたことから大統領の専属理髪師という大役を仰せつかるハンモ。官邸に出向き大統領の髪をととのえ髭を剃る。失敗は許されない。緊張しながら仕事をこなすハンモだが、その実直な仕事ぶりや謙虚な性格が大統領に気に入られ、大統領のアメリカ外遊にも付き添い町の人々にも一目置かれるようになる。
しかし、北朝鮮スパイ侵攻事件が起こり、彼らが下痢をしていたことから下痢をしている韓国人が「マルクス病」として赤狩りの対象となる。そして幹部がハンモの店に散髪に来ていたとき、息子ナガンが下痢だと言ったことから、まだ子供のナガンも警察に連行されてしまう・・・
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映画評などでは「家族への愛が当時の軍事政権権力に立ち向かう」というような言葉がいくつかありましたが、「立ち向かう」ほどの大それたことは、この一小市民はできていなかったと思います。逆に、権力に対して何もできない彼の小ささがずっしりと重みを持ち、切なくなってきます。当時の韓国社会における「サイレント・マジョリティー」といったところなのでしょうね。
60年代から10年余りに渡って、軍事政権の中生活する韓国の一市民をこの作品でみていると、これまで映画で学んできた韓国歴史のモチーフがいたるところに散りばめられていることに気づきます。韓国映画には、「歴史的な一大事が個人の人生を翻弄する」多くの素晴らしい作品があるという印象があります。この手のテーマはえてして映画になると大げさな演出になり、戦闘シーンがどれだけリアルだったかとか、どれだけ手をつくして当時の時代演出をしたか、といったことがクローズアップされがちですが、そこをとても上手くさりげなく、でもずっしりと重みを持った作品に仕上げていると思うのです。そして、むしろリアルなのは登場人物たちに心情だということに気が付くのです。
しかしイム・チャンサン、これが初監督。圧政時代、赤狩り、スパイ容疑、拷問・・・重いテーマでありながら、ひょんなことからそこに巻き込まれる無知な一般市民をコミカルに描く、恐るべしその力量!
イケメンスター(つーのも恥ずかしい言葉だけど

主演のソン・ガンホ、いい役者ですね。気に入りました。というわけで「私家版韓流四天王」!今一番(アタシの中で)旬で輝いている韓国の俳優4名です。ヨン様なんてめじゃない、やっぱりアン様・ソル様・オル様・ソン様でしょ


↑アン・ソンギ:アタシにとって永遠のヒーロー
アメリカに憧れた床屋の青年が従軍したベトナム戦争が気になった方、アン・ソンギの主演する「ホワイト・バッジ」がおすすめです。韓国がこの戦争に多くの派兵(アメリカに次いで2番目)をした事実を、アタシはこの映画で初めて知りました。

↑ソル・ギョング:韓国の大杉漣、と勝手に呼んでます
韓国の軍事政権時代に興味を持たれた方、彼の主演する「ペパーミント・キャンディ」がおすすめです。ここでも時代の大きな波に翻弄される一人の優しい市民の人生が切なく描かれています。

↑イ・オル:この人の表情からは「愛」があふれ出てます

↑ソン・ガンホ:職人のような役者さんですね
ちなみに、今の僕的四天王は、
チョン・ドヨン コ・ソヨン
ソン・ヘギョ ムン・グニョン
です。失礼しました(笑)。
今後ともヨロシクです。
ソン・ガンホ、私は「殺人の追憶」で好きな韓国俳優のひとりとなり…『「大統領の理髪師」も観てみたい!』という気持ちになりました^^
ラブロマンスやイケメンな韓国映画もいいけれど、今作品のような一市民が情勢や市況に翻弄される韓国映画も悪くないと…私も楽しく観れた作品でしたね^^
それではまた。
「私的四天王」、いろいろきいてみると面白いかもしれませんね!
今回彼のフィルモグラフィーを見て、10年近く前に観た「豚が井戸に落ちた日」にも出演していたことを初めて知った次第(笑)
いずれも韓国映画の底力を感じさせてくれますね。
この作品のソン・ガンホのコメディ演技は、これ以上ないくらい弾けまくってましたね。
『南極日誌』の冷徹極まる演技を見たので、とりわけそう思ってしまいます。
上のコメントの流れに乗って「私的四天王」を上げておくと、
私はソン・ガンホ、イ・ボムス、シン・ハギュン、ソル・ギョング、
になりますね。
この映画は、3月に観たので、もううる覚えですが、ソン・ガンホさんだけは、印象深かったです。
新作も見たいと思ってます。
「南極日誌」、まだ観てないんですよー!!!
最初は正直あまり関心のない映画だったのですが、この映画を観てソン・ガンホが気に入って、観たくなってきました。
そういう映画がいっぱい(笑)
東京ではル・シネマで公開でしたよね。
あそこの映画館に行くまでの気取った雰囲気が苦手で、観たい作品があってもつい足が遠のいてしまう映画館です(笑)
いや、落ち着いていい映画館ですが・・・、やたら女性客で混んでいること多くないですか?それも年齢高めの・・・あ、だんだん墓穴掘ってる気が(汗)自分だって女だしそんな若くないのに(爆笑)
ここでもうすぐ始まる「クレールの刺繍」はすごく観たいのですが、しばらく待ったらやっぱりどこかの名画座でやってくれるでしょうかね。
好きなのはユ・ジテ、ハン・ソッキュ、チョ・スンウ。四天王にするには一人足らな~い(笑)
「おやじ四天王」できましたか~!ハン・ソッキョも「おやじ」になってしまうんですね(涙)