季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

ささやかな幸福

2016年10月14日 | その他
朝食だけは自分で用意して食べる。

と、ここまで読んだだけでまぁ羨ましい、と感じた奥さま方は呆れるだけだから読まない方が良い。

僕の朝食はもう長い間不変である。トーストにママレード、コーヒー3、4杯。

僕の意志がいかに強固か、この一点をしてもわかるだろう。

湯を沸かす、パンを出す、トースターを出す、ママレードを出す、皿、ナイフ、コーヒーポット、コーヒーカップ、電動のコーヒーミル、これら一式を用意する、最後にコーヒー豆を冷凍庫から出す。おっと、ロウソク式の保温セットを忘れてはいけない。

何だか文字にすると大仕事のようだが、変哲も無いシンプルすぎる朝食だ。

これを何十年も続けているのだから、手順は流れるように進む。

はずなのだ。

ところが中々これが難しい。湯が沸いた時にはコーヒーがまだ挽けていない。コーヒーが淹れ終わったと思うとパンがまだ焼けていない。

或いは皿を出し忘れる。全部がピシャリと同時に完了することなぞ、太陽系の惑星がいちどきに並ぶこと並みに稀なのである。

手順を覚えてしまったらよかろう、と誰しも思うだろう。僕とて例外ではない。でもその手順そのものを忘れてしまうのだからこのアドバイスは役に立たない。

これほどかような次第だから、ごくごく稀にドンピシャリに同時に用意完了すると実に気持ちが良い。

毎朝このような気分になって1日が始まるのなら充実の日々が続くであろう。そんな妄想まで浮かぶ。

朝のちょっとした手順の乱れは小さな棘のように1日を左右する。