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【現代思想とジャーナリスト精神】

小泉純一郎氏らの原発即時ゼロ法案に対する孫崎亨氏の見解、東京新聞記事と小生の小論

Ⅰ【孫崎享のつぶやき2018-01-11 10:343】転載
Ⅱ 東京新聞記事転載【原発即時ゼロ法案 小泉元首相ら野党連携へ】
Ⅲ 小論【「死のビネスマン」政略を停止させ内政外交の再建を実現しうるものこそ、原発即時ゼロの核心】


                 櫻井 智志

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Ⅰ【孫崎享のつぶやき2018-01-11 10:343】の転載

《原発ゼロに向けて、小泉元首相らと立憲民主党連携の流れ。脱原発に耳を貸そうとしない自民党支持者に小泉氏の「原発は安いは嘘」「原発は安全だは嘘」は貴重。又連合に配慮し脱原発打ち出せなかった民主党と異なり立憲民主党は脱原発の方針》



A:事実関係「原発即時ゼロ法案 小泉元首相ら野党連携へ」(東京新聞)

脱原発や自然エネルギーを推進する民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」は十日、国内原発の即時廃止を目指す「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表した。国会内で記者会見した顧問の小泉純一郎元首相は「安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しい」と断言し、他の勢力を結集し脱原発を進める意欲を強調した。同様の法案提出を目指す立憲民主党など野党も連携する意向で、国会内外で脱原発に向けた法案提出の機運が高まった。 

 法案の「基本方針」には、運転中の原発を直ちに停止し、停止中の原発は今後一切稼働させないと明記。原発の新増設も認めず、核燃料サイクル事業からの撤退も盛り込んだ。
 今後は太陽光や風力などの自然エネルギーに全面転換し、二〇三〇年までに全電力の50%以上、五〇年までに100%を目標に掲げる。国には「責務」として、目標の達成に必要な措置を求めた。今後、各政党に法案への賛同を促し、二十二日に召集予定の通常国会への提出を目指す。 脱原発を巡っては、立憲民主党が同様の法案提出を目指す。原自連は法案発表後、立憲民主幹部らと意見交換して連携を確認。今後、希望の党など野党各党との意見交換も予定する。
 安倍政権は原発再稼働を進めてきたが、東京電力福島第一原発事故から三月で七年を迎えるのを前に、政党と民間との間で脱原発を目指す連携が再び強まる。
 小泉氏は十日の会見で、「自民党には安倍晋三首相が(原発政策を)進めているから仕方ないなという議員が多いだけ。来るべき首相が原発ゼロを進める方針を出せば、がらっと変わる。野党がどう出るかだ」とも指摘し、自民党総裁選や国政選挙での原発政策の争点化に期待を寄せた。
 原自連会長で城南信用金庫顧問の吉原毅氏も会見で自然エネルギーへの転換に関して「経済界としても大ビジネスチャンス。テロで原発が狙われることもなくなる」と訴えた。
 原自連は昨年四月に発足し、二百以上の民間団体や企業などが加盟。十日の会見には小泉氏とともに顧問を務める細川護熙(もりひろ)元首相らも出席した。

B:評価
・私は日本の政治風土が悪化した責任は小泉首相時代にあり、この頃から言論弾圧の風潮が強まった。従って小泉氏を批判的にみている。
・他方、日本の将来のために完全な脱原発は極めて重要である。
・国民の相当数を占める自民党支持者は、現自民党の方針もあって、脱原発の論議に耳を貸そうとしない。その中「原発は安いは嘘」「原発は安全だは嘘」と述べる小泉元首相の存在は貴重である。
・さらに立憲民主党は脱原発の姿勢を打ち出してきている。

22日召集の通常国会で提出を目指す「原発ゼロ基本法案」の骨子が7日判明した。2030年までの全ての発電用原子炉廃止を政府目標とし、電力会社の廃炉支援や原発立地地域の雇用創出に国が責任を持つことが柱。 

枝野幸男代表は7日のNHK番組で、政治が真剣に取り組めば脱原発は実現可能だと主張。「クリアしなければならない課題について工程表をしっかり示したい」と述べた。立憲民主党の前身、民主党は支持基盤の連合への配慮から、脱原発の姿勢を取れなかった。

したがって、多くの国民が望む「脱原発」の受け皿となる政党不在(共産党は存在したが国民の中核にはなりえない)であったが、それが存在することとなった。

・政府が再稼働を進めていく意向を強めている中、新たな動きが出ていることを歓迎したい。

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Ⅱ 東京新聞記事転載
原発即時ゼロ法案 小泉元首相ら野党連携へ

2018年1月11日 朝刊


記者会見に臨む小泉元首相(右手前)ら。一番奥は細川元首相=東京・永田町の衆院第1議員会館で(小平哲章撮影)
写真

 脱原発や自然エネルギーを推進する民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」は十日、国内原発の即時廃止を目指す「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表した。国会内で記者会見した顧問の小泉純一郎元首相は「安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しい」と断言し、他の勢力を結集し脱原発を進める意欲を強調した。同様の法案提出を目指す立憲民主党など野党も連携する意向で、国会内外で脱原発に向けた法案提出の機運が高まった。 (大野暢子)

 法案の「基本方針」には、運転中の原発を直ちに停止し、停止中の原発は今後一切稼働させないと明記。原発の新増設も認めず、核燃料サイクル事業からの撤退も盛り込んだ。
 今後は太陽光や風力などの自然エネルギーに全面転換し、二〇三〇年までに全電力の50%以上、五〇年までに100%を目標に掲げる。国には「責務」として、目標の達成に必要な措置を求めた。今後、各政党に法案への賛同を促し、二十二日に召集予定の通常国会への提出を目指す。
 脱原発を巡っては、立憲民主党が同様の法案提出を目指す。原自連は法案発表後、立憲民主幹部らと意見交換して連携を確認。今後、希望の党など野党各党との意見交換も予定する。
 安倍政権は原発再稼働を進めてきたが、東京電力福島第一原発事故から三月で七年を迎えるのを前に、政党と民間との間で脱原発を目指す連携が再び強まる。
 小泉氏は十日の会見で、「自民党には安倍晋三首相が(原発政策を)進めているから仕方ないなという議員が多いだけ。来るべき首相が原発ゼロを進める方針を出せば、がらっと変わる。野党がどう出るかだ」とも指摘し、自民党総裁選や国政選挙での原発政策の争点化に期待を寄せた。
 原自連会長で城南信用金庫顧問の吉原毅氏も会見で自然エネルギーへの転換に関して「経済界としても大ビジネスチャンス。テロで原発が狙われることもなくなる」と訴えた。
 原自連は昨年四月に発足し、二百以上の民間団体や企業などが加盟。十日の会見には小泉氏とともに顧問を務める細川護熙(もりひろ)元首相らも出席した。

◆経団連次期会長「再稼働は必須」
 国内の原発四十基のうち、現在稼働しているのは関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の計四基。政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、他の原発も再稼働させる方針。経済界も「再稼働は必須」と安倍政権に歩調を合わせる。
 稼働中とは別の十基について、原子力規制委員会が新規制基準に適合していると判断し、このうち関電大飯原発3、4号機(福井県)と九電玄海原発3、4号機(佐賀県)が三月以降に再稼働する見通し。
 一方、適合と判断された四国電力伊方原発3号機(愛媛県)については先月、広島高裁から今年九月末までの運転を禁じる仮処分命令が出された。伊方を含めて全国十四の原発を巡り、運転差し止めを求める訴訟が起こされている。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日の記者会見で「安全性の確認された原発のみ、地域の理解を得ながら再稼働を進める政府の一貫した方針は変わらない」と強調した。
 経団連の次期会長に内定した原発メーカー日立製作所の中西宏明会長も九日、再稼働は必須との考えを記者団に示した。 
(生島章弘)

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Ⅲ 小論【「死のビネスマン」政略を停止させ内政外交の再建を実現しうるものこそ、原発即時ゼロの核心】

①今朝東京新聞トップの記事を読み、肯定感と躊躇の心情とが入り交じっていた。
②福島原発事故からあっという間に時は流れた。政府が殆ど無策でも、福島県民は不安、恐怖、絶望の中でこの歳月を生き続けてきた。
③マスコミの表にぱっと飛び出て、派手な耳目をそばだてる言動よりも、持続して原発被害と向き合い続けてきた地道さがこの問題の核心である。
④保守勢力はもちろん、安倍晋三氏の自由民主党の中にも、現在の国際社会でも、日本国内でも、「安倍専制政治」では、国内外の世論はついていかない危惧感は強い。私は伊勢志摩国際サミットを迎えて、ドイツ・メルケル首相はじめフランスやイギリス等の首脳にも、「リアル・アベ」を目の前にして、落胆と評価失墜は無言の内に広まっていったと見ている。

⑤では小泉・細川の両氏にどれだけ期待と信頼できるだろうか?かなり重要な契機である。孫崎氏は的確に以下のように指摘している。

引用開始
・私は日本の政治風土が悪化した責任は小泉首相時代にあり、この頃から言論弾圧の風潮が強まった。従って小泉氏を批判的にみている。
・他方、日本の将来のために完全な脱原発は極めて重要である。
引用終了

⑥小泉純一郎郵政改革は、ポピュリズム政治だった。都知事選での小池百合子氏担ぎ出しやその前の都知事選候補擁立などは、総理在任中とは立場が異なり、独自の政治発想をもつ。
⑦今回の原発即時ゼロ法案提起は、細川氏とともに前々から原発エネルギーからの転換という政治信条に基づく。
⑧そして、今回の記者会見では或る驚くことに私は気付いた。河合弘之弁護士が同席していることだ。私はこれまで数多くの市民運動が広範な国民的広がりを見せたり、重要な裁判において、この河合弘之弁護士と海渡雄一弁護士がともに関わり支援されてきたことを見て来た。直接お顔を拝見したのは、東京都知事候補を決める市民の集いだった。上原公子元国立市長が推薦人として、日弁連会長を務められた宇都宮健児氏をはじめて東京都の知事候補として推薦された集いで、河合・海渡両弁護士のお話を聴くことができた。反原発運動を首都圏反原発運動連合が開始した時、日本は東日本大震災と福島原発により、政治は与野党どの政党も国民的危機を解決するリーダーシップを発揮し得なかった。この時、「草の根はどよめく」(哲学者・故古在由重氏)ように市民がたちあがりわずかな人数がはじめた反原発運動に、福島瑞穂さん(社会民主党)、吉良佳子さん(日本共産党)、三宅洋平さん、山本太郎さんなどが政党政治と市民運動の有機化を開拓した。福島瑞穂さんは海渡雄一弁護士の良きパートナーと後から知ったが、政党・団体の枠を超え、一連の市民と立憲政党が展開してきた社会活性化の希望のルネッサンスの中の、河合弘之氏が同席している意味の解釈を強調したい。

⑨孫崎亨氏は今回の動きをこうご指摘なさっている。

引用開始
多くの国民が望む「脱原発」の受け皿となる政党不在(共産党は存在したが国民の中核にはなりえない)であったが、それが存在することとなった。
引用終了

日本共産党は、戦後まもなく上田耕一郎氏が地域新聞記者として中野区で活動しているころから、核兵器廃絶運動に力を注いできた。社会党・総評もほぼ同じ課題を担ってきた。ただ、原子力発電所に対する取り組みは福島原発以前は、原子力の平和利用という戦後日本の科学者のテーマの追求もあったし、その時点で、「脱原発の国民的中核」とは言い難い。しかし、同時にフクシマ以降に日本共産党とその参加する運動は、地域の自治体から国会に至るまで日本共産党議員の政治的実践による貢献は、日常の営みにおいて決して侮ってはならぬ重要な存在感と意義のある取り組みだった。

⑩今後「原発即時ゼロ法案」のゆくえは、立憲民主党の脱原発法案とともに、与野党の政治力学の構図の中でどうなるか、行方が激しく展開されていくと予想する。さらにこの法案とは別に、原発再稼動の延長や旧型原発の40年使用が60年使用許可と延長するなど、政府自公政権の国民棄民政治に対する日々の政治との闘いと向上、市民運動と立憲野党の共闘による専制的軍国主義政治との闘いは重要な段階を迎える。「原発即時ゼロ法案」は空中に個別に浮かんでいるわけではない。戦後日本の政治理念として、平和国家建設を支え、海外から道義的尊敬を受けてきた事実は、「空虚な大伽藍=安倍外交」によってしだいに疑念と失望によって取って変わられつつある。原発を海外に売り歩く「死のビネスマン」政略を、停止させ、内政外交の再建を実現しうるものこそ、原発即時ゼロの核心となろう。

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