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【現代思想とジャーナリスト精神】

第18回平和のためのコンサート~核時代に生き延びる営みを開拓し続けた思想家と継承し続けるひとたち

【第18回平和のためのコンサート最終ご案内】

『都議選のあいま6月10日は核兵器廃絶 講演とコンサートで充電を』
2017/06/01

             櫻井 智志


6月に入りました。《芝田進午さん十七回忌によせて》をテーマとして、スティーブン・リーパー(Steven Leeper) さんの「核禁止と平和への道」の講演をおこなう第18回平和のためのコンサート開催まで、もう10日を切りました。6月10日です。

重要な準国政選挙としての東京都都議会議員選挙があるため、例年よりも客席が少ないという予想で、コンサート実行委員会は例年以上に大変のようです。


【スティーブン・リーパーさん(Steven Leeper)のこと】:
1947年米国生まれ。 翻訳家、平和運動家を経て2002年平和市長会議米国代表。2003年(公財)広島平和文化センター専門委員、2007年米国人として初めて同センター理事長に就任(〜2013年)。
全米における原爆展開催、核兵器廃絶を目指す「2020ビジョンキャンペーン」など広島から世界に向けて核兵器廃絶を訴えてきた。 現在広島県に「平和文化村」を開設。
「豊かさを問う交流の場」として持続可能な平和を実践するモデルを国際社会に示そうと活動中。広島女学院大学、長崎大学客員教授。



====【プログラム】========

2017年6月10日(土)午後1:30開演(午後1:00開場)
コンサートチケットのお問い合わせ TEL/FAX 03-3209-9666 芝田様方
料金 2,200円(全席自由)
会場:新宿区 牛込箪笥(うしごめ たんす)区民ホール
アクセス 都営地下鉄大江戸線 牛込神楽坂A1出口 徒歩0分
     東京メトロ東西線 神楽坂駅2番出口 徒歩0分
主催  平和のためのコンサート実行委員会
後援  アンサンブル・ローゼ  ノーモア・ヒロシマ・コンサート
    ストップ・ザ・バイオハザード国立感染症研究所の安全性を考える会
    バイオハザード予防市民センター
 
第18回平和のためのコンサート〜芝田進午 十七回忌によせて〜
第一部 講演 スティーブン・リーパー(Steven Leeper)
       「核禁止と平和への道」
第二部 コンサート
【重唱】アンサンブル・ローゼ(池田孝子/斎藤みどり/高橋順子/渡辺裕子/芝田貞子/高崎邦子/嶋田美佐子)
(ピアノ:末廣和史)〜イギリス地方のメロディ〜
       ♪スコットランドの釣鐘草    ♪埴生の宿         
       ♪ロンドン橋          ♪春の日の花と輝く     
【マリンバ独奏】水野与旨久(ピアノ:水野喜子)
       ♪チャルダス    ♪ただ憧れを知るものぞ
       「ラテン名曲」より♪マリア・エレナ♪エル・クンパンチェロ
【テノール独唱】狭間 壮(ピアノ:はざま ゆか)
       ♪無縁坂   ♪リリー・マルレーン
       ♪一本の鉛筆 ♪死んだ男の残したものは 他
【会場の皆様とご一緒に〜シング・アウト】
       ♪「青い空は」小森香子 作詞/大西 進作曲
司会     長岡 幸子

=============

【解題】
Ⅰ 芝田進午氏は、現在、生きている

 このような毎回広範な講演と音楽家の演奏が、18年間も一度も絶えることなく続いている。その事実が、芝田進午先生がいまも健在であるかのように感じる。正確に言えば、芝田氏の遺志をほぼ完璧に体現されている。
 その実態は、芝田貞子氏を中心とする芝田進午氏のご家族と、《芝田学》(=人類生存の思想と実践的唯物論哲学を根幹とする学問)に関わる研究者・教え子、核廃絶と国立感染研の安全無視と対峙しバイオハザード災害阻止を実践的に取り組む住民と研究者の団体である。
 芝田進午氏の最後の著作は、三階徹氏・平川俊彦氏・平田哲男氏の三人の編者、正確に言えば対話者の協同作業によって世に出た。
『実践的唯物論への道/人類生存の哲学を求めて』(2001年9月 青木書店)「Ⅴ 核時代・バイオ時代における「実践的唯物論」の課題」「19 核時代の危険と「実践的唯物論」の新しい形態の研究」「ノーモア・ヒロシマ・コンサート」にこのようなくだりがある。
・・・いま思えば、僕が広島にいた(*広島大学教授として勤務)からこのコンサートはできたといってもいいでしょう。東京にいたとし
たら、とてもできませんでした。そして、あえてもう一言いわせていただけば、妻が音楽家だからできたわけです。・・・・・
 戦前の哲学者戸坂潤は、「おけさほど唯物論は広がらず」と嘆息した。戦後72年、核時代72年は、思わぬ平和憲法の解体と明治憲法の亡霊復活を企図する日本軍事国家主義の台頭勢力が政権を握り、与党自民党公明党内部にさえ批判する政治家が続いている。
 生きる権利と平和の学問的実践的構築を基調とする芝田進午・貞子夫妻の信念は、実体のものとして持続している。


Ⅱ 持続される志-芝田進午氏の構想

 芝田進午氏亡き後も、平和コンサートはこうやって続いている。平和のためのコンサートは、芝田夫妻によって始まり継続されている。
このコンサートは、ノーモア・ヒロシマ・コンサートとともに歴史にきざまれる事は間違いない。反核音楽、反核文化は1945年を起点としている。
 芝田先生は、「ヒロシマ紀元」を提唱し、広島・長崎に米軍機が核兵器を投下した西暦1945年を元年とした。この元号は進歩的学者たちから、賛否両論あり、芝田氏は他の歴史学者たちとともに「核時代」の紀元を使うようになった。
 私が最も無念なのは、福島原発事故に対する民衆の側からの哲学的思想的構想力の脆弱さである。高橋哲哉氏、徐京植氏らの見解に共感を覚えたが、「核時代」「反核文化」に示した芝田氏の構想力に匹敵するような論究は寡聞にしてまだ把握していない。
 ただ、反原発連合のような市民運動団体や草の根の福島県はじめ全国の市民たちの発言や表現、実践には希望が感じられる。社民党福島瑞穂さんや日本共産党など政党にも実践が持続している。 
 芝田進午氏のスタンスは党派的ふるまいに限定されない。事実を何度も疑い、吟味する。芝田氏ならば、原発事故を論じる際に、まず広範な資料データや調査を蒐集して、それらをもとに仮説を立て、定説にとらわれず、自らが納得する立論をたて、分析する。
 さらにそれにとどまらず、原発被災の被害を受けた福島県民を励まし応援する文化的運動を展開されたことだろう。その文化的運動の一環としてこの「平和のためのコンサート」は先駆的な意義をもつ。

〈了〉


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