私とハルは旧式の高所作業車を使い、キティーホークの外板塗装剥離に挑んでいた。
「キュバっ!シュばぁああああ!」
ハルのガンが超高圧水を発射し、キティホークの硬い塗料を剥がして行く。
「ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ!」
毎分三千回転するノズルは、ハルの左手によって、一定のリズムで小さな円を描く。いつ見ても、ハルのノズルを回転させるリズムは一定で、そして正確だ。
頃合を見計らって、操作パネルのレバーを下に倒す。
「ガっコん!!」
バケットがぶれて、ガンのノズルが船体に接触し、
「ガツッ!」
と音がするが、ハルは気にせずに塗装を剥がし続ける。時折塗膜片が飛んでは来るが、私もカッパを着用し、ヘルメットには樹脂製のフェイスガードを装着しているので、ほとんど気にはならない。
高所作業車のバケットの操作パネルは、基本的にブーム側に付いている。ガンを撃ちながら、背面の操作パネルの操作を行うのはやや面倒なので、二人で乗り込んで、私が操作を担当することにしたのだった。
「ガっコん!」
再びバケットの位置を微妙に下げる。
ガンを撃つ時にもっとも楽な体勢は、肩にガンを乗せ、やや斜め下に剥離面を捉える状態だ。つねにバケットの位置を調整し、なるべくハルが楽に撃てる位置を確保するのが、私の役目だ。
「・・・」
ハルが無言で、ジェットを出したままのノズルを、右に向ける。
「ハイ、右ね」
この辺は『阿吽の呼吸』だ。私は操作レバーを、右に倒す。
「ガっコ、ガっコ、ガっっコン!」
私と、ジェットを出したままのガンを持ったハルの体が、大きく左右にぶれる。
「!!」
ハルがエアラインマスクの目ガラスの中から、驚いた顔を見せる。
「・・・」
私は右手を顔の前に立て、『すまん!』のリアクションを行いながら、バケットの首振りレバーを『左』に倒し、バケットの角度を船体と水平にする。
ハルは、すぐに塗装を剥がし始めた。
二時間後、高車のバケットをスポンソン(張り出し部)に寄せ、ハルとノリオを交代させる。
「うひゃひゃひゃ、ノリ子ぉ、マジで怖いぞぉ!ハルちゃんは何度も死んじゃうかと思ったよ。だって、木田さんはわぁーざとバケットを、ガックンガックン揺らすんだからね!」
ハルは大袈裟に、その時のリアクションをやって見せる。
「くははははは!マジですか?」
ノリオが爆笑する。
「だからワザとじゃないですよ、この高車、マジであんな動きしかしないんだから」
「木田さん!ノリ子はもっとガックンガックン揺らしてあげてね!」
ハルは私の話を聞き流し、勝手なことを言って喜んでいる。
「大丈夫だよ、ノリちゃん、俺は慎重派だから」
私はそう言いながら、ハルに左目で合図を送ると、いきなり右旋回のレバーを倒した。
「ガっコ、ガっコ、ガっっっコんん!!」
「うぅわぁああああああああ!」
バケットがこれでもかと言うくらいぶれまくり、ノリオは両手で手摺を掴んだ。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「うははははは!」
ハルが爆笑し、私もノリオの顔を見て爆笑する。
「や、止めて下さいよぉ、マジでビビリましたよぉ」
ノリオは本気で怖がっている。
「ノリ子、気合が足んないぞ!」
「うひゃひゃひゃひゃ!」
スポンソンでは、ハルが心から楽しそうに、ノリオの情け無い顔を見て喜んでいた。
「キュバっ!シュばぁああああ!」
ハルのガンが超高圧水を発射し、キティホークの硬い塗料を剥がして行く。
「ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ!」
毎分三千回転するノズルは、ハルの左手によって、一定のリズムで小さな円を描く。いつ見ても、ハルのノズルを回転させるリズムは一定で、そして正確だ。
頃合を見計らって、操作パネルのレバーを下に倒す。
「ガっコん!!」
バケットがぶれて、ガンのノズルが船体に接触し、
「ガツッ!」
と音がするが、ハルは気にせずに塗装を剥がし続ける。時折塗膜片が飛んでは来るが、私もカッパを着用し、ヘルメットには樹脂製のフェイスガードを装着しているので、ほとんど気にはならない。
高所作業車のバケットの操作パネルは、基本的にブーム側に付いている。ガンを撃ちながら、背面の操作パネルの操作を行うのはやや面倒なので、二人で乗り込んで、私が操作を担当することにしたのだった。
「ガっコん!」
再びバケットの位置を微妙に下げる。
ガンを撃つ時にもっとも楽な体勢は、肩にガンを乗せ、やや斜め下に剥離面を捉える状態だ。つねにバケットの位置を調整し、なるべくハルが楽に撃てる位置を確保するのが、私の役目だ。
「・・・」
ハルが無言で、ジェットを出したままのノズルを、右に向ける。
「ハイ、右ね」
この辺は『阿吽の呼吸』だ。私は操作レバーを、右に倒す。
「ガっコ、ガっコ、ガっっコン!」
私と、ジェットを出したままのガンを持ったハルの体が、大きく左右にぶれる。
「!!」
ハルがエアラインマスクの目ガラスの中から、驚いた顔を見せる。
「・・・」
私は右手を顔の前に立て、『すまん!』のリアクションを行いながら、バケットの首振りレバーを『左』に倒し、バケットの角度を船体と水平にする。
ハルは、すぐに塗装を剥がし始めた。
二時間後、高車のバケットをスポンソン(張り出し部)に寄せ、ハルとノリオを交代させる。
「うひゃひゃひゃ、ノリ子ぉ、マジで怖いぞぉ!ハルちゃんは何度も死んじゃうかと思ったよ。だって、木田さんはわぁーざとバケットを、ガックンガックン揺らすんだからね!」
ハルは大袈裟に、その時のリアクションをやって見せる。
「くははははは!マジですか?」
ノリオが爆笑する。
「だからワザとじゃないですよ、この高車、マジであんな動きしかしないんだから」
「木田さん!ノリ子はもっとガックンガックン揺らしてあげてね!」
ハルは私の話を聞き流し、勝手なことを言って喜んでいる。
「大丈夫だよ、ノリちゃん、俺は慎重派だから」
私はそう言いながら、ハルに左目で合図を送ると、いきなり右旋回のレバーを倒した。
「ガっコ、ガっコ、ガっっっコんん!!」
「うぅわぁああああああああ!」
バケットがこれでもかと言うくらいぶれまくり、ノリオは両手で手摺を掴んだ。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「うははははは!」
ハルが爆笑し、私もノリオの顔を見て爆笑する。
「や、止めて下さいよぉ、マジでビビリましたよぉ」
ノリオは本気で怖がっている。
「ノリ子、気合が足んないぞ!」
「うひゃひゃひゃひゃ!」
スポンソンでは、ハルが心から楽しそうに、ノリオの情け無い顔を見て喜んでいた。
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