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200XX年4月29日(日) 薄曇り
早春のニジマス釣りと谷地坊主
今日は朝から天候が不安定。 晴れそうで曇りそうで、気温が上がりそうで、下がりそうで予測不可能な感じだ。
春の女神エゾヒメギフチョウを見に行くか、近場の森に渓流魚を見に行くか、迷ってしまう。
結局、天候はエゾヒメギフが舞うほどには晴れないと判断。近くの渓流にニジマス調査に出かけることにした。
この時期、森の木々の葉はまだ芽吹かず草木は枯れて夏場と較べるとウソみたいに見通しが良くなっている。
夏場は入って行きにくい林道から相当離れた渓流に見通しの良くなった森の中を歩いて到達可能だ。
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今日はそこのオショロコマとニジマスの関係を見ることになった。
この渓流は広い山あいの平地の森を流れ、標高が低いせいか森には落葉樹の方が針葉樹より多い。
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数キロにわたって屈曲蛇行しながら流れている。しばしば森の中で氾濫する。
広い遊水地となっている森には三日月湖のように取り残された古い流れのあとがあちこちに見られる。
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そこは湿地になっていて谷地坊主(やちぼうず)が目立ち水辺にはエゾアカガエルやエゾサンショウウオの卵がびっしりと見られる。
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湿潤な林床は種々の植物が豊かに芽吹いている。これが本来の原始河川の姿だ。
この自然豊かな渓流の下流域に、はかない釣り人の欲望を満たすために外来魚ニジマスが放流されてきた。
それがこの付近からかなり上流まで侵入して自然繁殖している。
今日、釣りに入ってゆくのはいつもよりはかなり下流域で、かってはオショロコマしかいない水域であった。
昨年の秋までにはオショロコマは相当に駆逐されてしまい、ニジマスの勢力が圧倒的であった。今年はどうであろうか。
結局、この水域には、何故か思っていたより魚が少なかった。
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えんえんと2Kmほどをさぐったが釣れたのはニジマス若魚8匹、成魚3匹、オショロコマは僅か6匹のみであった。
貴重な在来魚オショロコマはすべて撮影後丁寧にリリースした。
しかし、数カ所とても魚影の濃いところがあった。そこは魚が見えるが向こうにもこちらが丸見えで、人影に驚き魚が縦横に走ってしまう。
ここでは魚は見えるが釣れない。走った魚たちの大きさや素早い動きから察すると、これらはきっとニジマス軍団と思う。
かってオショロコマしかいなかったこの水域がニジマスに乗っ取られようとしているのは明白で、恐らくもうオショロコマに勝ち目はないと思う。
ニジマスが増えればそれを狙って多数の釣り人が入り、少なくなったオショロコマがさらにダメージをうけるというおなじみの悪循環が起こる。
釣り圧にとても弱いニジマスは普通、比較的短期間に釣りきられ、巻き添えを食ってオショロコマも最終的には消えてしまうというパターンが恐ろしい。
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この成り行きを止めることは現状ではもはや不可能である。
せめて鮮明なオショロコマの画像を出来るだけ残しておきたいと思う。
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