Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

エッセイ636. マクハーグのデザインウィズネイチャー

2023年09月28日 | field work

 1960年代後半、世界的に地球環境に対する認識が立ち上がり始めた。時を同じくして、イアン.L.マクハーグ(1920-2001)は、私達を取り巻く環境を自然と社会の総和として捉え、彼はエコロジカルプランニングの方法論を発表した。それが地域計画のバイブルともいわれるデザイン・ウィズ・ネイチャーである。
 彼の考え方は、わが国の環境アセスメントにも影響を与え、環境情報を2次元の空間に表示するとともに、こうした空間を情報量に応じて何層(少なくとも25層以上)も重ねたレイヤーという概念をつくり、マトリックス評価を経るなど、地域計画策定の大きな方法となっていった。
 この本は、私が大学院修士課程の授業テキストであった。だから受講者達と分担しながら原文で読んでいた。
 これは、もちろん地域計画の大きなツールになっていった。だがわが国の狭小な地形では最初に空地有りで開発が進められ、とてもエコロジカルとは言いがたい状況が一般的だった。まあ当時は国民の意識が低かったのもあり、そして今もそうだが、土地や海の利権ばかりが議論され国民の意識は余り変わらないように思われる。
 日本のエコロジカルプランニングは、精々役所レベルの話なのだが、そうやって国民がボヤボヤしていると地球温暖化になり、魚が捕れないなど騒ぐ始末である。そんなことは1960年代から言われていたことである。
 和訳は1995年に集文社から刊行されている。

IAN L.McHARG:DESIGN WITH NATURE,JOHN WILEY & SONG,INC,1992再販
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エッセイ635. ニューアーバ... | トップ | エッセイ637. 私の本について »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

field work」カテゴリの最新記事