Oil on Canvas

19~20世紀前半の西洋美術、日本近代美術などに興味があります。気になったことを調べつつ、メモしています。

【展覧会】[2回目] 奇跡のクラークコレクション -ルノワールとフランス絵画の傑作- @三菱一号館美術館

2013-05-01 21:22:59 | 展覧会・美術館・博物館

 もう3週間以上も前の話だが。ある日、近くに行く用事があったので、再び、三菱一号館美術館のクラーク・コレクション展へ。前回、2月の時と比べて、若干、混雑しており、1枚の絵を見るのに、少し時間がかかった。

 ルノワールやモネなど、印象派コレクションをもう一度見ておきたいと、今回は「音声あり」。全部、黒柳さんの音声ガイドと思ったら、一部だった。

 「音声ガイド」の中で、コレクターのスターリング・クラークがルノワールを”色彩家”と評していたのが、記憶に残った。確かに色の選択・組み合わせが独特。また、いくつかの肖像画で人物の一部分と背景の一部分で同じ色を使って描く傾向がある。背景と人物まったく違う性質のものでも、調和して見えるのが面白い。

 特に、『テレーズ・ベラール』、『劇場の桟敷席』での背景と人物の髪の毛の生え際などで、その傾向がみられて面白い。ただ、この試みや、明るい色調が、必ずしも多くの人に受け入れられたとはいい難く、依頼者から気に入られず返されたなんて話が少なくない。現代でこそ、違和感なく受け入れられるが、当時、どうやってこのような色彩感覚を手に入れたのだろうか。


 パンフレットにも掲載されている『劇場の桟敷席』。消されてしまった男性の肖像画の部分。今度はしっかり見てきた。よーく見ると微かにシルエットが見える。

 また、『フルネーズ親父』に関して、ビールが描かれていると解説されている。しかし、調べてみると、当時の画商アンブロワーズ・ヴォラールの著書に、ルノワール自身が「アプサント」を描いたという記述がある。

 一度見て、見落としたものがあったり、最初とは違う印象を受けたりして、興味深かった。



 昨日、BS日テレで、ぶらぶら美術館・博物館で、「クラークコレクション展」の特集。山田五郎さん、詳しすぎる・・・。そういう1枚1枚の絵の小さな情報が、とても興味深かった。

 『この展覧会の作品で一つもらえるとしたら』

 間違いなく、『タマネギ』!

 
[展覧会]  奇跡のクラークコレクション -ルノワールとフランス絵画の傑作-
[場所]    三菱一号館美術館
[期間]   2013年2月9日~5月26日
[入館料]  1,500円(大人)
[備考]   スターリング&フランシーヌ・クラーク美術研究所  [アメリカ合衆国・マサチューセッツ州・ウィリアムズタウン]
[国内巡回]  兵庫県立美術館  (2013.6.1-9.1)
 

- 付記 (2013.12.20)、加筆・修正(2014.05.12) -

 [クラーク・コレクションの世界巡回展] 

 2010.10.19-2011.02.13    マドリード・スペインプラド美術館 スペイン・バルセロナ カイシャ・フォーラム(カイシャ財団

 2011.03.02-06.19       ミラノ、イタリア@パラッツォ・レアレ

 2011.06.12-10.31       ジヴェルニー、フランス@ジヴェルニー印象派美術館

 2012.03.11-06.17      テキサス、アメリカ@キンベル美術館

 2012.07.07-09.23      ロンドン、イングランド@ロイヤルアカデミー・オブ・アーツ

 ホームページから、出品された作品のリストが閲覧できる(*)。展示内容と作品の詳細がわかるので、興味深い。でも、どうもよく展覧会で配布される「展示リスト」とはちょっと違うもの。

(*)展覧会などで、海外から借りてきた美術品に関して、差押えなどを防止するための法的保護を受けるために必要な手続きにともなって、作品に関する情報、所有者、来歴等が、ウェブサイトに公表されている。

 国立国会図書館のアーカイブスに参考になるレポートがある。「海外の美術品等の公開促進 ―美術品等の差押え等防止に関する諸外国の法律― [国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 646(2009. 7.14.)]



 2012.10.13-2013.01.20   モントリオール、カナダ@モントリオール美術館

 2013.02.09-05.26      東京、日本@三菱一号館美術館

 2013.06.01-09.01      兵庫、日本@兵庫県立美術館

 2013.09.18-12.01      上海、中国@上海博物館

 2013.10.22-2014.03.23   テキサス、アメリカ@ヒューストン美術館