国立西洋美術館へ行ってきた。この年になるまで、何度か美術館へ行ったとは思うのだが、付き合い、イベント的な要素が強く、何を見たのかまったく記憶がなくて・・・。行きたくて行く、初めての美術館。1ヶ月ほど前に『国立西洋美術館 公式ガイドブック』を購入して、寝る前に、そして行きの電車までで少しずつ予習。現場で、「あっ、これね!」をたくさん見つけられればと。
西洋絵画初心者の私にとって、国立西洋美術館の19世紀後半から20世紀の絵画群とモネ・コレクションは、とても気になる存在。中でもクロード・モネの『睡蓮』は見てみたい。
この美術館は、西洋絵画、彫刻、版画などが展示されている。年末の館内は暖房が効いていて、コートを脱いでもやや暑い。絵画を管理するのに適切な温度なのかも。混雑はしていないので、ゆっくり見ることができた。
また、ル・コルビジエのまるで迷路のような美術館建築も、魅力。シンプルな外観とは対照的に、内部は、どこがどうつながっているのか。。
あと、意外だったのが、一部作品を除いて、館内の作品はフラッシュと音をOFFにすれば、デジカメで撮影できること。また、一部の作品に「寄託作品」という表示がある。これは美術館が、研究用に、美術館で預かって管理している作品。美術館に権利がなく、撮影はできないので注意が必要(撮影禁止マークがある)。
14~18世紀の絵画
◆ 『悲しみの聖母』 カルロ・ドルチ 1655年頃
何となく、惹きつけられるように、立ち止まってしまう。
19世紀の絵画
◆ 『トルーヴィルの浜』 ウジェーヌ・ブーダン 1867年
本で読んだ、モネに影響を与えた画家。
◆ 『波』 ギュスターヴ・クールベ 1870年頃
どうやって描いたのだろう?この「波」のリアリティは凄まじい。
◆ 『羊の剪毛』 ジョヴァンニ・セガンティーニ 1883-84年
圧倒される、羊のリアルな感じ。
モネ、印象派の絵画
◆ 『木かげ』 ピエール=オーギュスト・ルノワール 1880年頃
引き込まれるような緑の回廊。
◆ 『帽子の女』 ピエール=オーギュスト・ルノワール 1891年
色彩の置きどころが何とも言えず、惹きつけられる。
◆ 『雪のアルジャントゥイユ』 クロード・モネ 1875年
雪景色、白の美しさ。
◆ 『睡蓮』 クロード・モネ 1916年
大きい!しかも、立派な睡蓮。
後期印象派、新印象派絵画
◆ 『ばら』 フィンセント・ファン・ゴッホ 1889年
これまで見てきた絵画と、明らかに違う、厚塗りのインパクト。
◆ 『サン=トロぺの港』 ポール・シニャック 1901-02年
色彩も、点で描かれていることも。驚きというか・・・、見入ってしまった。
20世紀前半の絵画
◆ 『アルクマールの運河』 アンドレ・ボーシャン 1940年
とても、写実的。
◆ 『モーツァルト』 ラウル・デュフィ 1943年
とてもポップでカラフルな、楽しい作品。
常設展の全体の感想
思いのほか近くで作品を見ることができた。美術館慣れしていないので驚いたが、自分と、作品との間で、遮るものは何もないことが多かった。見る側も少し緊張しながらだった。
国立西洋美術館って芸術以外にも、私的に面白い要素があった。まず、この美術館の歴史。松方幸次郎の「松方コレクション」(国立西洋美術館)による西洋絵画のコレクションの形成と散逸の遍歴。
そして、ル・コルビジェの建築。そして、このル・コルビジェの建築をフランスで世界遺産にしようという動きがあり、国立西洋美術館もそこに名乗りを上げようとしているようだ。たしかに、このシンプルな外観と、内部の複雑さ、そして居心地の良さ、この建築は不思議な魅力がある。
常設展は大人420円。このコレクションで、さすが国立。気分転換に、何も考えずに、絵画を見ながら過ごす静かな時間。国立西洋美術館のこと、画家のことをもっと知って、時期ごとに通ってみたくなる。そんな場所を見つけた。