狐・狸・祭

フラメンコの故郷よりマイペースに発信、カンタオーラ小里彩のブログです

日本にて

2015年10月18日 22時40分09秒 | 日記
何時もお世話になっているKさん主催フラメンコ教室。東京と甲府二カ所での発表会伴唱の仕事で、現在2年ぶりに4歳の息子と帰国中。久しぶりの日本ライフを満喫しています。

息子は行きの飛行機で「ママ-、ハポンってレホだね。僕、アビオンもうアブリード!!(日本て遠いね、飛行機飽きちゃった)」と滅茶苦茶な日本語でしたが、着いてすぐ近所の幼稚園にビジター制度を利用して放り込んでみた所、1日で「ママ-妖怪ウォッチのチーズ買って」とスーパーで駄々をこねる日本の幼稚園児に早変わり!(妖怪ウォッチはいま日本で流行っているアニメです♪)子どもの適応力には本当にビックリ。幼稚園では運動会や芋ほり遠足など丁度秋のメインイベントが目白押しで、日本の幼少時代のよい思い出づくりができて本当に良かったなあと思います。園でも先生や周りの方々のおかげでお友達がたくさん出来た様子。スペインに戻る時の別れが早くも名残惜しいです。

スペインでは絶対に日本語でしか話しかけない私ですが、日本でスペイン語を忘れまくっているわが子にスペイン語の単語を交えて話してみた所、「ママ、普通はスペインではスペイン語を、日本では日本語を話すの。ママいつも逆になって間違えてるよ!ここ日本だよ!」と怒られてしまいました!親の心子知らず・・・・。

久しぶりの踊り手Kさん、ギタリストTさんとの仕事は本当に楽しく、ここまでの練習日程があっという間に過ぎてしまいました。東京の発表会が終わって、お二人に「歌が本当に力強くなった。留学して勉強して来た人の歌ではなく、フラメンコの地で仕事をしながら社会に身をおいて頑張って生きているのがはっきりと歌に表れている。」言って戴き、心から嬉しかった。二人はいつも厳しく暖かく私を見守り、帰る場所を作って待っていて下さる、私にとっては実の両親と同じくらい大切な存在だ。もともとフラメンコは親しい家族内で深い信頼関係の中で楽しむものだが、私はフラメンコの家系に生まれた訳ではないもののそのような家族を手に入れる幸運に恵まれたのだなあとつくづくありがたく思う。

そして、2人にもし本当に私の歌が少しでも良くなったと思って戴けたとしたら、もう一つ重要な理由がある。以前は毎週のように仕事でタブラオやイベントで歌っていた自分だが、今はそのような生活ではなくなり、単純に歌を歌えること自体がものすごく大きな喜びなのだ。歌うことがこれほど好きだとは自分でも驚くばかりだ。仕事で日常的に歌うということはそれだけ自分のような不器用なタイプの人間には精神の持ち方が難しい事なのだと改めて思う。頭では薄々分かっていたとはいえ、以前の自分にどのくらいその危うさが理解できていただろうか。

生徒さんも、最後のフィンデフィエスタでは踊りはもちろん歌も各人が歌い、一人一人が前回の発表会と比べてまた格段に進化していて素晴らしい。徹底的に一つの舞台に賭けて皆で練習し、その日を迎える。「本当に価値があるのは本番はもちろんその過程だ。みんなで無い知恵出しあってフラメンコに近づく努力をするのが本当に楽しい」とTさんやKさんもおっしゃっていた通り、悩みながら仲間と一緒にアルテを捜して作っていく過程は豊かな時間であり、人生の宝物だ。逆に言えばそのくらいの気迫を持って臨まないフラメンコの発表会など何の意味があるのだろうか。

いよいよ今週の土曜日が甲府の発表会本番、皆で力を合わせ大輪の花を咲かせることができますように。