18世紀英国の作家ジェイン・オーステイン原作『高慢と偏見』(PRIDE AND PREJUDICE)を映画化した『プライドと偏見』を観た。
小地主の娘エリザベス・ベネット嬢が、英国でもっとも高貴な家系にも繋がる大地主の子息ダーシー氏と紆余曲折を経て結婚に至る話である。
ダーシー氏は申し分のない紳士であるが、外見からは冷ややかな優美さが窺える。他方、エリザベスは知的で聡明な女性だ。
エリザベスはダーシー氏の冷ややかな物腰に違和感を覚える。決して媚びたりはしない。これはエリザベスのプライドであり、またダーシー氏への偏見である。
しかし、数々のエピソードのうちにダーシー氏の控えめで誠実で思いやりのある性格があらわれてくる。そして、プライドが高い点ではお互い似通っていることも、やがて気付くことになる。
この偏見というか、お互いの行き違いやちょっとした誤解はとても共感できる視点だ。たとえば、男性が相手の女性に好意を持った場合でも、あからさまな態度に出たりはしないとする。
でも、控えめな態度をとると、相手の女性は、男性があまり興味を示していないと受け取ったりする。男性の方はというと、何よりも控えめであるということが誠実さの証であると思っていたりするのだが。
このような心理劇、ちょっとした男女の行き違い、紳士的であるということはどういうことか・・・などを描かせたら、オースティンの右に出るものはいないと思う。まずは映画から観て欲しいと思う。
【参考文献】
『英国の紳士』(フィリップ・メイソン著、金谷展雄訳、晶文社、1991年)