とはずがたり

日々の雑感を…

高慢と偏見

2006-01-19 22:07:06 | とはずがたり

Prideandprejudice 18世紀英国の作家ジェイン・オーステイン原作『高慢と偏見』(PRIDE AND PREJUDICE)を映画化した『プライドと偏見』を観た。

小地主の娘エリザベス・ベネット嬢が、英国でもっとも高貴な家系にも繋がる大地主の子息ダーシー氏と紆余曲折を経て結婚に至る話である。

ダーシー氏は申し分のない紳士であるが、外見からは冷ややかな優美さが窺える。他方、エリザベスは知的で聡明な女性だ。

エリザベスはダーシー氏の冷ややかな物腰に違和感を覚える。決して媚びたりはしない。これはエリザベスのプライドであり、またダーシー氏への偏見である。

しかし、数々のエピソードのうちにダーシー氏の控えめで誠実で思いやりのある性格があらわれてくる。そして、プライドが高い点ではお互い似通っていることも、やがて気付くことになる。

この偏見というか、お互いの行き違いやちょっとした誤解はとても共感できる視点だ。たとえば、男性が相手の女性に好意を持った場合でも、あからさまな態度に出たりはしないとする。

でも、控えめな態度をとると、相手の女性は、男性があまり興味を示していないと受け取ったりする。男性の方はというと、何よりも控えめであるということが誠実さの証であると思っていたりするのだが。

このような心理劇、ちょっとした男女の行き違い、紳士的であるということはどういうことか・・・などを描かせたら、オースティンの右に出るものはいないと思う。まずは映画から観て欲しいと思う。

【参考文献】

英国の紳士』(フィリップ・メイソン著、金谷展雄訳、晶文社、1991年)


海辺のカフカ

2006-01-18 01:10:03 | とはずがたり

Umibe 『海辺のカフカ 上・下』(村上春樹、新潮社、2002年)を読了。エッセイを除けば、村上作品を初めて読んだことになる。今までは正直に言って、村上作品を読む気持ちになれなかった。

というのも、商品名を多用した文体が安っぽい商業コピーを思わせたし、何より時代錯誤的なアメリカ文化への崇拝が感じられたからである。

今回の作品に関しても、そのような傾向がないわけではない。15歳の主人公が60年代のアメリカ音楽に精通しているのは多少強引に感じる。また、商品名にいたってはこんな感じである。

「父が大事にしているロレックスのオイスターを持っていこうかとも思ったけれど、迷った末にやめた。その時計の機械としての美しさは僕を強くひきつけたが、必要以上に高価なものを身につけて人目をひきたくはなかった。それに実用性を考えれば、僕が普段使っているストップウォッチとアラームのついたカシオのプラスティックの腕時計でじゅうぶんだ」(上巻10頁、太字は評者による)

しかし、こういった点は今回はあまり気にならなかった。何より内容が素晴らしいのだ。本作品は15歳の田村カフカが家出をすることから物語が始まる。

そして、この物語の通奏低音として、ギリシャ悲劇『オイディプス王』、すなわち、父を殺し、母と交わる話が流れている。

なぜ、『オイディプス王』なのか?おそらく、現代日本の青少年と、それを取り巻く家族を描くためであったと思う。

しかし、それは悲劇では終わらない。現在を受け入れた上で将来へ前進することができる、というメッセージを控えめながらも村上は提示している。

では、前進するためには何が必要なのか?それは「冒険」であると思う。若者は冒険することで自ら学ぶのである。

村上は、家出をし、父を殺し、母と交わる少年を描くことで、極端な形ではあるが、若者に対して冒険することの必要性を訴えているのではないかと思った。


時計について

2006-01-09 20:23:45 | とはずがたり

Watch 2006年は腕時計の故障から始まった。仕事始めの朝、腕時計を身に付けたとき、時計が動いていないことに気が付いた。

年末年始はあまり使っていなかったので、自動巻きのバッテリーが切れただけかと思い、しばらく時計を振ってみたものの反応はない。

オーバーホールには時間も費用もかかる。しかも、この時計は学部学生の頃手に入れたもので、かれこれ12年も使用している。

そうであるならば、新年スタートにあたり気分を一新する意味でも買い換えるべきだとの結論にいたり、帰りがけに新しい時計を購入した。

別に、上等な腕時計を所有しているわけではない。でも、ボクはこの時を刻む機械を身に付けていないと安心できない。

「身に付ける」ということが重要なのだろうと思う(身体化?)この意味で、携帯電話の時計機能に代替性はない。

【今日のTB】

手フェチなこの方に!!


暁の寺/天人五衰

2006-01-04 23:07:57 | とはずがたり

Mishima14決定版三島由紀夫全集14巻』を読了。『豊饒の海』の第三巻(『暁の寺』)と第四巻(『天人五衰』)が収められている。

暁の寺』では、本多は五井物産の招きでバンコックへと旅立つ。そこで、タイ王室王女ジン・ジャン(月光姫)と出会う。ジン・ジャンこそ、飯沼勲の生まれ変わりなのであった。

本多は、かつて松枝清顕の邸で月修寺門跡の法話を聞いて以来、仏教哲学・印度哲学に親しんでいたのであるが、今回インドの聖地を訪れることで輪廻転生を確信するに至る。

帰国後ある事件を扱うことで莫大な富を手にした本多は、やがて自分の中に変身願望を抱くようになる。

本多の変身願望は輪廻転生を確信したことから生じたものである。しかし他方で、老いることで自らの死を考えざるを得なくなったときに、必然的に生じるものでもあったとボクは思う。

そして、本多の変身願望は、数々の色情的な行為として表れることになる。

天人五衰』では、76歳となった本多が旅行先の静岡・清水で出会った16歳の少年・安永透を養子にする。透こそジン・ジャンの転生した姿だと本多が確信したからである。しかし、その確信は誤りであった(!)

齢80を超えた本多は、最後の力を振絞って月修寺門跡となっていたかつての綾倉聡子に会いにいく。しかし、本多は門跡から清顕の存在を否定される・・・。

ここで小説は終わりを遂げる。思うに、ここで初めて、本多は清顕の輪廻転生を見届けることに執着する自分自身と向き合うことになったのではないか。


iPod nano(4G)

2006-01-02 17:46:28 | とはずがたり

Nano miniのバッテリーがかなり弱っていたので、nanoに変更。

かなり小さくなっているのが最大の特徴。画面もカラーになっている。画面表示も工夫されている。クリックホイールの操作性も向上した。サウンド・充電速度も改善されている。

ジョギングがさらに楽しくなりそう。これはオススメできる。

【今日の音楽】

くるり 『ばらの花

♪安心な僕らは旅に出ようぜ 思い切り泣いたり笑ったりしようぜ