欠陥建築バスターズ

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歴史的欠陥建築物(欠陥住宅) No.1織田信長の安土城

2013年02月19日 16時00分51秒 | 歴史的欠陥建築物(欠陥住宅)





『織田信長の建てた安土城も欠陥建築(欠陥住宅)だった!』




今回は、プロの建築士から見た歴史上の欠陥建築(欠陥住宅)について、

書かせていただこうと思います。


さて、織田信長の生きていた時代にタイムスリップしてみましょう。


…織田信長と言う大名は、実に革新的な人物でありました。

彼の建てた「安土城」は日本で最初の天守閣を持った城でありました。


それまでの日本の城は、山の上に砦をつくるだけの簡単なもので、戦が

ある時以外は、無人の軍事施設でありました。


しかし、織田信長が考えた城は、西洋の城のごとく、天にそびえ立ち、

領主の威厳を周囲に示すものでした。


織田信長は、自分の建てたその「安土城」の中で生活もしていました。

実は、この事も日本史の中で、唯一、信長だけが行った事です。


日本にはいくつもの城がありますが、天守閣の中で生活した殿様は、

織田信長だけです。

普通、殿様になって自分の城の天守閣の最上階まであがるのは、その

殿様が生きている間に一回か二回しかなかったと言われます。


…では、何の為に城に天守閣をつくったのでしょうか?


一つは、殿様の権威の象徴です。そして、軍事施設(砦として)の

実用性もあります。でも、一番の目的は、いよいよ敵に攻められ、もは

やこれまでと、なった時に、殿様がそこで切腹する為の場所だったんで

す。


…ですから、殿様としては、そんな縁起でもない場所に、頻繁に立ち入

る事はなかった訳です。


…ここで再び織田信長の「安土城」に話を戻します!

この「安土城」は謎の多い城です。もちろん、現存していません。


現在は、城の石垣や基礎石のみ存在します。


…実は、この基礎石にミステリーと、この城の構造を解き明かすヒント

があります。


天守閣の基礎石は、碁盤の目上に、縦横に同じスパン(間隔)で並んで

いますが、中央の基礎石だけ一つ足りないのです!

発掘調査から、城の建築当初から、真ん中の基礎がなかった事が解って

います。


…建築士である私が推理するに、信長の建てた安土城の天守閣には、中

央に吹抜けがあったのでなないか! と、思うのです。


その根拠が、信長のお気に入りだったキリスト教の宣教師が書き残した

文書にあります。


「ゼウス(神)はその城が存在し続ける事をお許しにならなかった。炎

は一瞬にして、城全体を包み、燃え落ちた…」


…そんな風に書き残しています。


では、なぜ、そんなに早く火災が広がったのか?

そんな疑問がわいてくるのです。


火災になった原因は、信長の息子が火をつけて放火したからと、言わ

れています。


放火する場合、普通は一番下の階に放火するはずです。いくら木造の

城であっても、太い柱や、分厚い板に火がまわるには、かなりの時間

を要するはずです。


それが、一瞬にして城全体に火災が広がったと言う訳ですから、そこ

には何か建物が持つ特殊性があったとしか考えられません!


…私が、それらの証拠から到達した結論こそが、「安土城には下の階

から上の階まで大きな吹抜けがあった!」という事です。


現代の建物においても、吹抜けのある建物は、火災の際に非常に危険

なのです。

なぜならば、炎で温められた空気は、上昇します。その時に炎も上へ

上へと上昇します。


この現象を、「煙突効果」と言います。


デパートのような建物にも、エレベーターホールや吹抜けがあります。

現代の建築基準法では、この様な「縦穴区画」を、防火シャッターで

閉鎖できる構造にする事が、義務づけられています。


もし、デパートに行く機会があれば、エレベーターホールの辺りを、

観察してみてください。きっと、私が説明した通りのはずです。


…再び、話は安土城炎上の件にもどりますが、やはり、宣教師の目撃

談から推測するに、安土城は構造上、火災に弱い設計だったと言わざ

るを得ません。


この教訓を是非現代に生かしたいものです!


皆さんが、今お住まいの住宅に「火災警報機」を取り付ける場合は、

もし、木造の二階建てとか三階建てなら、階段をあがりきった場所の

天井に、火災警報機を取り付けましょう。


この理由は、階段室が、先ほど説明したように、煙や炎の通り道にな

るからです。


…最近、「おしゃれな吹抜けのある家」が人気ですが、火災には大変

弱い事を、是非、知って頂きたいと思います。


建物に関する調査のご連絡はこちらから→『欠陥建築バスターズ』

 


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