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マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

今年の二回試験

2006年09月20日 | ④司法修習について
59期司法修習の二回試験について書きます。


具体的に問題や自分が書いた答案について書くと,答案内容が特定されるおそれがあり,特定答案(不正行為)扱いされるおそれが全くないとはいえないので,ここではまだ書かないことにします。

二回試験は,正式には,「司法修習生考試」という名称で,司法修習生考試委員会という司法研修所とは違う組織が主催する法曹資格試験です(厳密には司法修習の卒業試験ではない)。

採点者は,司法研修所の現教官(全員かどうかは不明)と元教官等その他外部の方々。

論文式筆記試験と口述試験に分かれています(来年からは口述試験なくなるらしい)。

試験会場は,司法研修所の各クラスの階段教室と中教室ですが,それぞれの人ごとに「着席番号」を振られており(受験番号は別にあります),必ずしも自分のクラスの教室で受けるわけではなく,同じクラスの人に囲まれて受けるわけでもありません。

合格発表は,9月28日の3限の授業終了後に各教室などで掲示されるそうです。
不合格者及び合格留保者の受験番号が掲示されるそうです。
ちなみに受験番号は,全クラス合わせたあいうえお順でふられているようです。

筆記試験は,まず,9月5日(火)の教養試験から始まりました。これは,1,2限の講義の後,午後3時20分に自分の受ける試験室へ集合して,試験時間は午後4時から6時まで2時間。

次の日から,水木金と刑事弁護,刑事裁判,検察,土日をはさんで,月火と民事裁判,民事弁護でした(他の年は順番は違うとの噂)。

集合時間は,5科目とも午前9時45分,試験時間は,午前10時20分から午後5時50分までの7時間30分。
後期のフル起案より,開始時間が20分遅く,終了時間は1時間遅く,40分長いことになります。

昼食は,午後12時から1時まで,自席で取ることになります。この間は厳密にいうと昼休憩らしいですが,記録を読んだり,答案作成してもいいことになってます。
弁当は,食堂で予約して毎朝取りに行くか,自分で外で買ってくるかで,食堂は使用できません。
昼休憩以外でもアメ等軽いお菓子や飲み物を試験中取ることは許されています。

司法試験とは違い,トイレには試験官はついてきませんが,試験会場内のいたるところに監視員が座って,見張っています。
試験時間中は,トイレやゴミ出しは自由にいけますが,階段,エレベーターの使用は禁止され,他のフロアに行くことできません。
また,喫煙をする人も,予め登録しておけば,喫煙所のあるフロアで試験を受けることができ,試験時間中自由に喫煙所に行き喫煙することができます。
もちろん喫煙所にも監視員はいます。

口述試験は,9月14日,15日,19日の3日間のうちの2日間です。14日,15日で終わった人は,事実上16日から21日の講義までお休みになります。
詳しいことは,来年からはなくなるという話を聞いたので書きません。


次に,二回試験前に流れる噂について書きます。

二回試験前には,色々な人が出題予想し,何が出るかについていろいろ噂が出回ります。

そして,実際に二回試験を受けてみて,噂について言えることは,概ね半々くらいの可能性で出るということでしょうか。
しかし,微妙に似て非なる問題も出ますので,噂に引きずられて,全く違うことを書かないよう十分注意しなければなりません。
実際,我々の二期前の57期のときも,民事裁判で,訴訟物を検討する際,「よって書きを信じるな」「賃貸借終了に基づく返還請求権が出る」という噂が流れ,それに引きずられて,「よって書き」を信じず賃貸借終了で書き,たくさんの人が落ちたと言われています。
「よって書き」とは,原告が訴状の請求原因の結論部分で,自分の請求する訴訟物を明らかにしたりするところです。
処分権主義がある以上,裁判所は原告の訴訟物設定に拘束されますので,訴訟物についての釈明や請求の変更等がない限り,原則訴訟物は「よって書き」のとおりになります。
そして,実際にはこのときは,所有権に基づく返還請求権が出題され,無理に構成すれば,賃貸借終了で書けないこともなかったそうです。
ただ,賃貸借終了と所有権では,攻撃防御の構造が全く違うので,採点者も点のつけようがなく,多くの人が落ちたようです。

今まで二回試験を落ちる人というのは,
①その問題についての出題者が意図する問題点以外のことを書いてしまい,問題点について書いていない又は時間不足で書けなかった人,
②途中答案の人(どの程度の途中答案で落ちるかは不明),
③検察で起訴状を書いていない人(これだけでは直ちに落ちないが,落ちる可能性は高くなる),
④刑弁で被告人の無罪主張に反し有罪で書いた人
⑤試験中パニックに陥り,意味不明のことを書いたり,今まで書いたことを全部消して書き直して時間不足になった人,などだそうです。
あと,
⑥民弁で原告と被告を間違った人も確実に落ちます(これはやったことある人がいるかは不明)。
噂を信じすぎると,上記のようなことをすることをしてしまう可能性が高くなります。

60期以降も二回試験直前になると色々な噂が飛び交うでしょうが,勉強で押さえる程度にして,試験自体は噂どおりか十分疑いながらか,真っ白な気持ちで受けるべきです。
これは司法試験の論文試験で,予想答練などの予想が的中したときも同じことが言えます。
問題文や記録をよく読んで,試験会場で噂や予想に引きずられないようにしないと人生棒に振ることになります。

あと,後期起案は,よく過去の二回試験の問題がそのまま出ることが多いです。
二回試験は絶対大丈夫で,後期起案にいい点を取りたいひとは,予め過去問を検討した方がいいと思いますが,二回試験が少しでも不安な人は,過去問検討はしないほうがいいと思います。
予め何を書けばいいかわかっていると,そのときの起案では大筋で間違うことはなく,比較的いい点が取れますが,問題点や争点を発見する能力は伸びませんで,本番で変なことを書いてしまうおそれがあります。

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