London Dance Diary

ロンドンのコンテンポラリーダンス情報を中心に日々の出来事を綴ってゆきます。

ワイセツについて

2008-05-11 20:44:21 | まぁ、聞いてください。
今日の写真 「セクシーポーズ」 これは果たしてワイセツか?

今日は始めに私の大好きな谷川俊太郎さんの詩 「ワイセツについて」をお楽しみくださいませ。


「ワイセツについて」

どんなエロ映画も
愛し合う夫婦ほどワイセツにはなり得ない
愛が人間のものならば
ワイセツもまた人間のものだ
ロレンスが ミラーが ロダンが 
ピカソが 歌麿が 万葉の歌人達が
ワイセツを恐れた事があったろうか
映画がワイセツなのではない
私たちがもともとワイセツなのだ
あたたかく やさしく たくましく
そしてこんなにみにくく 恥かしく
私たちはワイセツだ
夜毎日毎ワイセツだ
何はなくともワイセツだ


この作品は、集英社文庫の谷川俊太郎詩集「これが私の優しさです」に収められています。他にも、たくさん素敵な作品があります。詩のお好きな方にはお勧めの本ですよ。

前回ご紹介いたしましたが、私はこの詩をK氏に舞台で朗読してもらい、彼自身の体験からセリフを加えて女性ダンサー数名ととコンタクトのあるダンスの作品を創りました。

私は振付家として今までいろいろなテーマで作品を作ってきましたが、「死」と「性」についてはまだ扱ったことがありません。もう少しいろいろ経験してから挑戦してみたいと思っていますが、「ワイセツについて」は私が苦手としている分野への一つのステップとなりました。

ロンドンで生活するようになってからいろいろな国の友達も増え、違った価値観の中で育ってきた人達と交流してきたことが、私の視野を大きく広げるてくれました。その中でも「SEX」のことに関しては、照れることなく話す友人達の態度に最初は戸惑いもしましたが、食べる事や、寝ることと同じように、普通の事としてとらえているんだと気づきました。

初演から6年たちましたが、機会があればまた「ワイセツについて」を日本でリメイクしたいと思っています。日本のダンサー達ととまたいろいろ試行錯誤してプロセスを楽しみながら、ワイセツについて考えてみたいです。



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6 コメント

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Unknown (DRY)
2008-05-12 08:04:57
人それぞれ育った家庭や環境によってもかなりの違いはあるでしょう。
子供たちのホッケーチームでは、みんなの前ではなく、自宅で着替えてから来る子供(中学生)もいますし、平気でパンツ一の子供もいます。
DRYさんへ (danceinlondon)
2008-05-12 17:26:09
そう言えば、着替える時の羞恥心も個人差・国の差がありますよねー。

日本でスポーツクラブに行ったときは女子更衣室のなかでもみなさん隠しながら着替えていたので、私にはとても不思議でした。

フランスのあるダンススタジオは更衣室が一つしかなく、男女一緒に着替えるんだそうです。シンガポール人の友達(男性)が驚いていました。恥かしくて女性が出て行くまで着替えられなかったとか…。

いつもコメントありがとうございます。

何とも感化されやすい私です (yoshi)
2008-05-12 21:30:13
danceさん
きのう、図書館でこの方の本を何冊か斜め読みして、その中にきょうの詩を見つけました。出だしのズバッとした4行の表現、凄い迫力と魅力。こんな世界が詩になるのか。こんな世界をよくもこんなに簡潔にいえるものだと驚きました。
そしてどれにするか、迷った挙げ句に「あいまいなままに」を借りてきました。この世に存在するさまざまのあいまいなことを、素直にとらえ素直に表現できる人が書きつづる素直な言葉、その考えや表現がどうかといったつまらない疑問を挟む隙を与えない、音楽のような響きにもう少し浸っていたいと感じたからです。何とも感化されやすい自分に驚いています。danceさんのダンス、見てみたい。
難しいですね。 (Harry)
2008-05-13 14:52:06
お久しぶりです。
お元気ですか?

わいせつって、難しいですよね。
本当に人の捉え方でまるっきり違って
しまいますよね。
それを表現していくのは至難の業ですね。
どうぞ素晴らしい物を作ってください。

yoshiさんへ (danceinlondon)
2008-05-13 15:41:02
いつもコメントありがとうございます。

「あいまいなままに」はまだ読んだ事がありません。yoshiさんまた感想を聞かせてくださいね。

仕事帰りの道端でふと顔をあげたら、きれいな夕焼けがそこにあったとか、家庭菜園をしていて地面からまいた種が芽を出していたとか、ちょっとしたことで心が動かされる事がありますが、これが詩人ならすっと言葉が出てくるんでしょうね。そういう才能をもつ人にあこがれます。

(私はダンサーなのでその場で踊ってもいいのですが、それでは傍目からは変な人になってしまいます。

詩を読んで、音楽を感じられるなんて、yoshiさんの感性もすばらしいです。

Harryさんへ (danceinlondon)
2008-05-13 15:48:05
ごぶさたしています。
私は毎日ご飯も美味しく、元気にしていますよ。
Harryさんもお元気ですか?

「わいせつ」を照れず、恥かしがらず、人間の一部分として作品で表現できたらいいと思います。日本人には難しいかもしれませんが、いろいろ掘り下げていくと面白い物が出来そうです。きっと、若いダンサーよりも経験を積んだパフォーマーの方がこう言ったテーマでは咀嚼力が上かもしれませんね。

コメントありがとうございました。

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