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My Favorite Things II

福岡生活、満喫中。

「美の国日本」

2015年11月15日 | Art
近ごろ家の事情などでPCへ向かう時間がすっかり減ってしまい、
なかなかブログアップができません。
そんなわけで、だいぶ過去記事になってしまったのですが、
11月初め、九博の特別展へ行ってきました。

九州国立博物館は開館して10年だそうです。
記念特別展は「美の国 日本」、あえて開館時の特別展タイトルと同じで、
この特別展にかける九博さんの意気込みが見えるような気がします。
実際、かなり前からタイアップ企画などでこの名称を目にしていました。
例えば7月の山笠、天神一丁目(大丸パサージュ広場)の飾り山笠は
表も見送りもこのタイトルだったのですが、この日、博物館1階ロビーにて再会。


さて、肝心の展覧会です。
会期前半の目玉「正倉院宝物」展示期間の終了間際で、かなりの混雑を覚悟しましたが、
比較的遅めの時間だったせいか、入場待ちはなくすんなり入れました。
展示室内はさすがに混んでいたけれど、想定内とあって苦にならず。

日本の美術が、大陸との交流を経て徐々に形成されていく過程を、
古代から鎌倉時代の美術品を通じて紹介する「日本屈指の至宝があつまる圧倒的な展覧会」。
期待も高まります。


最初の展示室は「原始日本列島の造形美」。
どれも教科書にも載っていた有名なものばかりですが、
実際に目にすればその大きさや存在感に改めて強い印象を受けます。

○遮光器土偶

青森の亀ヶ岡遺跡から出土した縄文時代の土偶、
間近で見ると素材の土がぽったりしていて、作る様子が透けて見えるような気がします。
ユーモラスな形態もなんだか楽しい。気分が上がります。

○火焔型土器

この土器の形状はとても有名ですね。新潟で出土。
形の美しさはもちろんですが、眺めていると数千年の時を超えて、
古代の人たちの強烈な生命力を感じて圧倒されます。

○袈裟襷文銅鐸

様々な生き物たちや農作業をする人、狩りをする人などが描かれている銅鐸。
生き生きとした絵柄にも、銅鐸のすっきりとした佇まいにも魅入られます。

ところで、私が見学を熱望していた正倉院宝物の五絃琵琶は、次の展示室にありました。
(期間限定展示のため、現在はすでに終了しています)

○螺鈿紫檀五絃琵琶

正倉院宝物の公式画像はありません。
でも、今回の特別展ポスター等でたくさん目にしたこちらです。
遠目の見学は自由にできますが、間近で見るためには列に並びます。
15分くらい待ったでしょうか。

形状や構造はとても身近な気がします。マンドリンとルーツは同じでしょう(笑)
表面版の美しさはもとより、フラット構造ならではの裏面の螺鈿の華やかなこと。
弦が5本、ということはペグも5つ。2対3に分かれるのですが、
その非対称の絶妙なバランスがなんとも優美で胸がざわつきます。
また、展示室内には、実際のこの琵琶の音の録音が流れていましたが、
深く静かな響きは心に沁み入るようでした。

ゆっくりじっくり、琵琶とともに時間を過ごして満足。
他にも、正倉院からは琵琶が収納されていた袋や、
飛鳥時代の筑前国(現在の糸島付近)の戸籍などが展示され、
数は少なくとも見応えがありました。

その後の展示室にも、
仏像や絵巻、書物などを中心に、貴重な作品が数多く展示されており、
時代ごとに大陸文化の影響が感じられて、興味深く心惹かれたのですが、
五絃琵琶で時間を使いすぎて(汗)閉館時間が迫り、駆け足になってしまいました。





それでも、思わず足を止めて見入ってしまったのは、
最終章「琉球の美、アイヌの美」でした。

琉球王国の、風格ある王冠や贅をつくした食器類の華やかな美。
○王冠(たまのおかんむり)


○美御前御揃(ぬーめーうすりー)


控えめな模様と落ち着いた色合いから力強さがにじむアイヌの衣装の静かな美。
(手前)○テタラベ
(奥) ○アットゥシ


これまで見てきた仏像や絵画などとは異なる存在感で、
一点一点見ていくうちに、美の幅広さを再認識したような気持ちになりました。

正倉院宝物の展示期間はすでに終了していますが、
会期後半には、奈良国立博物館から国宝の十一面観音像など、また貴重な宝物が加わります。
日本全国からの貴重な文物宝物が一堂に会する展覧会。
もしかすると展示品自身も、互いの思いがけない出会いを楽しんでいるかもしれません。



※この記事はぶろぐるぽにエントリーしています。
また、記事中の写真は九州国立博物館さまよりご提供いただきました。
転載はご遠慮ください。

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (カンタータ)
2015-11-21 21:53:20
まるで歴史の教科書を眺めているようです!
素晴らしくも美しい文物ですね。
返信する
⭐︎カンタータさまへ (dalila)
2015-11-21 21:59:37
いつもコメントありがとうございます。

まさに、教科書から抜け出てきたようなラインナップなんです。
間近で見ると、大きさや質感などの点で写真とは印象が異なるものもあり、感動感激が新たに。
ほんとうに、貴重な経験になりました。
返信する

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