My Favorite Things II

福岡生活、満喫中。

九州交響楽団 第367回定期演奏会

2018年05月26日 | Music
2018年5月25日(金)午後7時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

カーチュン・ウォン(指揮)
ダニエル・オッテンザマー(クラリネット)*

モーツァルト:歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲
モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調*
ストラヴィンスキー:葬送の歌
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
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(九響facebookより)

今回、ステージの下手(しもて)から、
第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、チェロの後ろにコントラバス、
ヴィオラの後ろにハープとピアノ、という九響では比較的珍しい配置にて。

前半は何と言ってもクラリネット。
幾度となく耳にしてきたこのモーツァルトの名曲ですが
これほど美しく、しなやかな演奏を聴くのは私は初めてだったかも。
ダニエル氏(ご兄弟も奏者なのであえてお名前で)の演奏は軽やかで自由な風のように、
そこにあるものを自然に取り出して見せてくれた、とでもいうような、
爽やかで心地のよい時間でした。
オケも緻密ながら柔らかく安定した演奏で寄り添い、この演奏を客席で聴けたこと、幸せです。


アンコールに即興でソロを。
この日の客席には、制服姿の若者の姿もたくさん見かけましたが
彼の演奏を目の当たりにして、人生変わっちゃった学生さんもいるかもしれません。

さて後半、火の鳥。
前半から引き続き、細部までよくまとまり、
終盤まで緊張感が途切れることなくメリハリのある熱演になりました。
弦のソロもそれぞれ素晴らしかった(チェロ美音でした!)けれど、
管パートの皆さんの活躍には特に目を(耳を)奪われました。
白眉は子守唄でのファゴット。
神秘的な妖しいメロディが静かに優しく奏でられるのですが、
この方の音はどこかいつも温かくて、心にじんわり沁みるのです。
演奏後のカーテンコールでも最初に讃えられ、客席だけでなくステージ上からも万雷の拍手喝采でした。
終演後はこのほかにもステージ上あちこちでお互いに讃え合う様子が見られ、
客席だけでなく奏者も充実感ある良い演奏会だったんだなと、こちらも感激を新たにしました。

カーチュン・ウォン氏は私は初めて接する指揮者でしたが、
的確でわかりやすい指揮をされる方です。
九響フェイスブックによれば、細かく確認しながらの丁寧なリハーサルだったそうで、
その効果か、本番は一体感があってバランスの良い、安定した演奏でした。
指揮者の表現したい曲想、抑揚をオケが細部まで落とし込んでいるようで、
こういう演奏、私はとても好きです。
九響ととても相性が良さそうだったので、ぜひまた振りにきてほしいです。

終演はいつもより少し早めの20時40分くらいでしたが、
おさまらない熱気に夜風が気持ちよく、天神中央公園を横切って帰りました。
来月の定期は、バーンスタイン生誕100年、ドビュッシー没後100年を意識したプログラム。
これもまた楽しみです!
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九州交響楽団 第366回定期演奏会

2018年04月21日 | Music
2018年4月20日(金)午後7時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調(ノヴァーク版)

小泉和裕(指揮)

九州交響楽団
(コンサートマスター:扇谷泰朋)

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今シーズン開幕の演奏会、九響さんにしては大胆な「ブルックナー1曲のみ」の定期です。
これまで、有名ソリストの協奏曲も人気の定番シンフォニーもない定期では客席が少なめ、
ということが多かったので、今回ちょっとドキドキしたのは私だけはないはずですが、
7割くらい?は埋まっていたようでひとまず安心しました。

演奏のほうは、序盤は少し様子見というか、控えめな感じでしたが、
曲が進むにつれ徐々に輪郭が浮き上がるようになり、全体がひとつにまとまって、
スクラムを組むように推進力を増していくのがわかりました。
そして築き上げられる大伽藍。フィナーレは圧巻でした。



開演前のロビーコンサートでは、
今月末で退団する長谷川さんと、交代で入団された山本さんの新旧首席デュオ。
いぶし銀のように深みある長谷川さんの音色と、滑らかで艶のある山本さんの音色の掛け合いは
本当に素晴らしくて、いつまでも聴いていたかったです。
九響さんのチェロ首席は比較的短い期間で交代されることが多い印象で、
今度は少し長めにいてくださるといいなあ、とチェロ好きの私は(勝手に)思ったりもしますが、
お二方にはそれぞれ新天地で、九響で、今後ますますご活躍されますように。


(九響ツイッターより)
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九州交響楽団 第357回定期演奏会

2017年04月22日 | Music
2017年4月21日(金)午後7時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

小泉和裕(指揮/音楽監督)

アレクセイ・ゴルラッチ(ピアノ)*

【プログラム】
ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲*
R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

九州交響楽団
(コンサートマスター:扇谷泰朋)

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2ヶ月ぶりの九響さん。今シーズンも開幕です。
大好きな「パガニーニ」と「ツァラトゥストラ」、
福岡では初めて聴くので、とても楽しみにしていました。

この日の九響さんはプログラムどおりの大編成。
弦も16型で、これは団員の少ないこのオーケストラとしては贅沢な配置だと思いますが、
「オイリアンテ」冒頭からホールいっぱいに充実の音楽が満ち、
シーズン開幕にふさわしい、輝かしく堂々とした演奏にわくわく感が高まります。

2曲め「パガニーニ」のソリスト、ゴルラッチ氏は、
浜松国際をはじめ数々のピアノコンクール入賞歴があり、
世界中のオーケストラと共演を重ねる活躍中の若手ピアニストだそうです。
私はピアノの演奏やピアニストに関してまったく疎いのですが、
彼の、スケールが大きくて響き豊かな演奏は、ラフマニノフのイメージにぴったりで、
またオーケストラの熱量に一歩も引けを取らない一体感のある演奏が好印象でした。
しばらく日本に滞在して、GWには東京のラフォルジュルネにも参加するようなので、
さらに人気が上がりそうですね。
また、この曲では有名な第18変奏(余談ですがこの「反行形」の説明を、
開演前のロビー解説では「逆富士」と言っていて、上手いなあと感心してしまいました)が、
オケもピアノも特に美しく広々していて、うっとりしました。何度聴いても好きです。

そして後半の「ツァラトゥストラ」。
とにかく音符も多く音の絡みも複雑で、きっと大変な難曲だろうと想像するのですが、
この日の九響さんはむしろ余裕さえ感じられるような、
それでいて渾身の迫力の伝わる、聴いていてぞくぞくする素晴らしい演奏でした。
個々のソロも、同じ楽器でいくつもに分かれている音も、
丁寧で輪郭のきっちりした音楽、その受け渡しが見事で、またそれぞれの音が美しい!
その筆頭格だったコンサートマスター氏には、カーテンコールのとき、
客席だけでなくステージ上からも喝采が送られていたし、
特に管楽器のみなさんが、演奏後それぞれを互いに讃え合う様子も見えて、
こちらまで嬉しくなってしまいました。
演奏の印象は、客席と奏者自身では異なる場合があるものですが、
この日は奏者の皆さんにとっても充実の演奏会だったのではないかと想像しています。

終演は20時半過ぎと比較的早かったけれど、
それを感じさせない中身の濃い、お腹いっぱいのコンサートでした。
今期も九響さんから目を離せない、と改めて感じた夜でした。
次回も楽しみです。
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東京都交響楽団 福岡特別公演

2017年03月18日 | Music
2017年3月18日(土)午後3時開演 
アクロス福岡シンフォニーホール

大野和士(指揮)

シュテファン・ヴラダー(ピアノ)*

【プログラム】
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調*
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調

東京都交響楽団
(コンサートマスター:矢部達哉)

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私が都響さんの演奏を聴いたのは、東京在住終わりがけの2009年師走がさいご。
その時はサントリーで、今は亡きデプリースト氏指揮のブルックナーでした。
数年後福岡で、大野和士氏が都響シェフに就任するニュースを知り、
東京に聴きに行かなくちゃと思ったのでしたが、
叶わぬうちにマエストロのほうから福岡へ来てくださいました(^^)



今回は、まさかの直前ソリスト変更でしたが、
少なくとも客席に関しては影響は少なかったようで、2階席まではかなり埋まっていました。
代演のヴラダー氏のピアノは、ハリがあってよく響く音、気持ちの入った演奏で、
終始心地よく聴くことができました。
個人的には(アタッカの)3楽章冒頭、毅然と始まるピアノの輝きに魂鷲掴みにされました。
曲の魅力を再発見させていただいたような気分です。

後半の4番は大好きな曲です。
期待に違わず、地に足のついた厚みのある演奏で、余裕すら感じました。
じつはコンサート序盤にはホールを響かせきれていないような印象も受けたのでしたが、
徐々に空気に馴染み、
シンフォニーでは音圧たっぷりに客席にがんがん(笑)届いて来ました。
特に木管各パートの音色が惚れ惚れするほど美しかったです。



アンコールは「ハンガリー舞曲第2番」、伸びやかで気持ちよい演奏でした。
大好きなブラームス尽くしのコンサート、おなかいっぱいです。

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びわ湖ホール「ラインの黄金」

2017年03月12日 | Music
びわ湖ホールプロデュースオペラ「ラインの黄金」
2017年3月4日(土)午後2時開演
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール

ワーグナー作曲「ニーベルングの指環」序夜
「ラインの黄金」
全1幕 ドイツ語上演・日本語字幕付【新制作】

指揮:沼尻竜典
演出:ミヒャエル・ハンペ
美術・衣装:ヘニング・フォン・ギールケ



【キャスト】
ヴォータン:ロッド・ギルフリー
ドンナー:ヴィタリ・ユシュマノフ
フロー:村上俊明
ローゲ:西村悟
ファゾルト:デニス・ビシュニヤ
ファフナー:斉木健詞
アルベリヒ:カルステン・メーヴェス
ミーメ:与儀巧
フリッカ:小山由美
フライア:砂川涼子
エルダ:竹本節子
ヴォークリンデ:小川里美
ヴェルグンデ:小野和歌子
フロスヒルデ:梅津貴子

管弦楽:京都市交響楽団
(コンサートマスター:ハルトムート・シル)


(本文と関係ありませんが、ようやくパソコンを買い換えて、またブログ更新できるようになりました)

満を持してのびわ湖リング、その序夜「ラインの黄金」。
ワーグナーイヤーだった2013年に共同制作の「ワルキューレ」を観た時から、
この日が来るのを待っていました。



チケット発売当初、ダブルキャストのどちらも捨てがたく、
結局小山由美さん@フリッカを聴きたい思いで1日めにしたのですが、
贅沢して2日めも行っちゃおうかなぁ・・と迷っているうちに完売してしまいました。残念。
黒田ドンナー、福井フロー、池田エルダも聴きたかったなあ。
近頃のびわ湖オペラの評価の高まりは、当然チケットにも影響して、
発売初日にめぼしい席はほぼ埋まってしまうので、
長年通っている遠隔地ファンとしては、出遅れてはいけない焦りを感じ(笑)嬉しい悲鳴です。

さて「ラインの黄金」、
筋書きは分かっているし、事前にバイロイトのDVDで予習はしていたものの、
実際に鑑賞するのはじつは初めてでしたが、
今回(も)ハンペ氏の演出は、奇を衒わず、原作に忠実で非常にわかりやすいものでした。
また、昨年の「さまよえるオランダ人」の時同様、映像を駆使したステージ作りは、
夢のように美しくて神秘的で、いつまでも観ていたいと思うようでした。
冒頭、ラインの乙女たちが水中を泳ぎつつ、前後にアルベリヒと対話する第1場では、
泳ぎ回るシーンと実際に歌う姿のつながりが自然すぎて、
本当に泳いでいるのかと(そんなわけないのだけど)錯覚したほどでしたが、
後からも第3場でアルベリヒが大蛇に化けたり、
終盤、神々が虹の橋を渡りヴァルハル入城したりするところでも同様の自然な流れ、
むしろ美しすぎる展開で惚れ惚れしました。
共同制作オペラと異なり、びわ湖ホール単独制作なので、
この劇場の機能を十分に生かして緻密に作り込むことができるのでしょうね。

演奏も、いつものことながら素晴らしいのひとことに尽きるのでした。
ラインの乙女たちの極上のハーモニーは、川底に差し込む光のように透き通っていたし、
砂川涼子さんはよく通る美声で、可憐で優しいフライアそのものに見えました。
そして小山由美さん、威厳ある立ち姿だけで伝わる物語があり、歌で語れば説得力もさらに増し、
相変わらずピカイチの貫禄でステージを引き締めます。
男性陣では西村悟さん、私は初めて聴いたのですが、
皮肉っぽい策略家、軽薄に見えて実は冷静、というキャラクターを生き生きと演じていて、
舞台映えするし、堂々とした歌唱もハリがあり、何というか、輝いていました!
ちょっとファンになったかも(!)
こうした気鋭の若手歌手が大きな役でキャスティングされ、
期待通り(というか期待以上)の活躍でカーテンコール時に客席からやんやの大喝采を浴びる・・
というシーンは、過去にも何度かあったけど、びわ湖の客席は本当に温かいのですよね。
いつも胸が熱くなってしまいます。

そして、びわ湖ホール芸術監督の沼尻氏が指揮する京響さんの演奏も、
いつもながら緻密で安定感があり、音楽だけでも聞き応え十分の美しい演奏でした。
京響さんの定期をいちど聴いてみたいとずっと思っているのですが、まだ叶いません。
いつかきっと。



今回からスタートした新制作「びわ湖リング」、次の「ワルキューレ」は来年3月。
まだキャストも発表になっていませんが、いまからとても楽しみです。
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