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「台北 國立故宮博物院」展へ

2014年10月28日 | Art
この秋の九州国立博物館は「故宮」展。
東京展で話題になっていた「白菜」展示はないものの、
2週間限定での「肉形石」の展示に興味を覚え(何しろ肉食女子ですから ^^)、
混雑覚悟で見にいきました。

案の定長蛇の列でしたが
(9時半に到着後、特別展会場へ続くエスカレーターに乗るまでに40分、
 入場後も最初の展示が「肉形石」なのでまた行列、なのでした。。)
辛抱強く並んで待ち、お目当ての石だけはしっかり見てきました。

もともとの石の特徴を生かしつつ彫刻と彩色で精巧に作られた「豚の角煮」。
台北の故宮博物院で最も人気のある展示品のひとつだそうで、
2週間とは言えよく貸してくれたものです。
高さ数センチの小さな宝飾品、本物そっくりに仕上げた緻密な細工にため息が出ました。

肉形石の展示は10月20日で終わってしまいましたが
特別展自体は大きく3章に分かれ、貴重な宝物が数多く展示されています。

第1章 中国士大夫の精神
皇帝や、士大夫と呼ばれる支配階級の人々が愛した文物ということで、
北宋青磁や宋・元の書画、そして当時の人々が憧れた古代の青銅器等が並びます。

散氏盤

器の中に見える銘文は、西周時代の領土争いの顛末とのこと。
このような古代王朝の統治を理想とし憧れた士大夫達は、
その時代の青銅器を珍重したそうです。


世界で70点あまりしか現存していない北宋の汝窯青磁も、4点展示されていました。
これは「青磁輪花碗」。姿、色合いともに気品があって美しい。

秋林群鹿図軸

色づく木々に鹿の群れ、ちょうど今の季節にも合う鮮やかな主題。
遼の時代の絵画は非常に珍しいそうです。


第2章 天と人との競合
古代より権力を象徴するために作られた様々な器物は、
それを収集することで権力の継承の正統性を示すという考えになるそうです。
明の時代の美しい器類も数多く展示されていました。

曾姫無ジュツ壼

戦国時代(前5世紀)に作られたものだそうです。
獣の形の取っ手(?)が目を引きます。

紅釉僧帽形水注

明の時代、景徳鎮。吸い込まれるように鮮やかで艶のある赤。

荷葉玉杯

壁面の大きなケースに並んでいた器のひとつで、個別の画像がありません。
枯れゆく蓮の葉を玉で表現した杯、
テーマも色合いも地味なのですが、なんとも妖しい美しさで心に残りました。


第3章 中国歴史文化の再編
清朝乾隆帝の時代、皇帝主導の文化事業のもと制作された、
精緻な工芸品などが紹介されています。

紫檀多宝格

古代青銅器から制作当時の工芸品まで、多種多様の宝物ミニチュアが
整然と納められており、その緻密な美しさには衝撃を受けました。

粉彩透彫雲龍文冠架

清の時代の景徳鎮。冠などかぶりものを架けておくものだそうです。
この絢爛豪華な文様が隠れてしまうのは勿体ない、と思うのは庶民の感覚かしら。

藍地描金粉彩游魚文回転瓶

4つのパーツが回転して合わさると窓から金魚が覗く、という趣向。
艶やかな色合いが美しく、遊び心と繊細さを併せ持つ魅力的な作品でした。

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というわけで、3章仕立ての展示は内容も濃く、大変見応えありました。
ただ混雑のため順路通りの見学がほぼ不可能で、
せっかくのテーマや流れが分かりにくかったのは残念。
また、小さな展示品が多いためケースの前や周囲に人だかりが出来、
気の弱い?私はその場所取り合戦に参戦出来ず、
人の頭越しなど遠くからの見学ばかりになってしまいました。
もちろん評判の展覧会なので仕方ないですし、
本当に美しいものは遠目でも分かるのだ、と妙な気づきもあったのですが、
それでもやはり、全ての作品を見ることが出来なかったのは心残りです。

まだ会期はしばらくあるので、
人出が少し落ち着いたら、再訪したいですが・・落ち着くことはないかしら。



※「台北 國立故宮博物院 神品至宝」展は11月30日まで。

※この記事はぶろぐるぽにエントリーしています。
また、記事中の写真は九州国立博物館さまよりご提供いただきました。
転載はご遠慮ください。
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