中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

エースの資質

2008-01-19 19:47:05 | Weblog
 今、キャンプ巡りのための資料作りを懸命に進めている。12球団の「新戦力表」を作って改めて思ったのだが、何も知らない。毎日新聞を読んでチェックしているように見えて、実は頭の中を素通りしている。当然、興味はあるのだ。「ほおっ、こんな外国人選手を獲ったか」「こいつの年俸は高すぎるぞ」とか、そのときは関心を示しても、もう次の瞬間に忘れている。結局は、これまでの自分の仕事(阪神関連)だったものしか、頭の中でろ過されないのだ。困ったもんだよ、まったく…。

 己の老いをぼやきつつ、資料を作っている中で、興味深いものにぶつかった。ある雑誌の表だ。「過去の新人王投手成績」。何の雑誌かは想像できるだろうから、あえて言わない。1950年から昨年までの新人王投手の成績だが、注目は彼らの完投数。記者が“プロ入り”してからに絞ると、ダントツなのが90年の近鉄・野茂。何と21完投だ。それ以降、2ケタ完投の投手が2人いた。91年の長谷川(オリックス)と、99年の上原(巨人)。それでも、長谷川が11で上原が12だから、いかに野茂がすごかったかがわかる。ちなみに、昨年の上園(阪神)はわずかに1で、田中(楽天)は4だった。

 表題の「エースの資質」を考えるとき、最も重要なファクターとするのが「完投能力」である。エースだから完投させるのか、完投できるからエースなのか…それは横に置いておき、完投能力があると言われる投手には、共通して体力的、精神的なスタミナを有している。記者が取材してきた中では、巨人・斎藤雅樹(現投手コーチ)、阪神・井川慶(現ヤンキース)がそうだった。

 きょう(19日)、鳴尾浜で黙々と汗を流す安藤を見てきた。去年はわずかに2勝止まりで、周囲の期待をこれでもか、と裏切った。「その雪辱を!」という思いが、ブルペンで50球を投げた彼の姿に見て取れた。阪神において、彼が一番エースに近い位置にいる。そう思う。阪神には絶対的な切り札3人衆がいる。しかし、彼らに頼らず、1人で完投できる投手は絶対に必要。安藤がそうならないか。今年、本当に期待しているのだが…。