輸送・運送の基礎知識

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トラック運送業界の動向について

2007-11-24 14:31:25 | Weblog
現在、トラック運輸産業には、61,040社・約116万人が従事しており、
国内貨物輸送の90%を担っている。
しかし、各企業の経営基盤は脆弱であり、
99%が中小零細企業で構成されている。
一方、日本国内の物流量は、重厚長大型から軽薄短小型に変化するとともに、
ジャストインタイム制(必要なときに必要な量を配送する)の進展、
生産拠点の海外進出による国内空洞化など、
96年度の67億9900万トンをピークに年々減少している傾向にある。

労働条件を見てみると、中小企業が多いことから
労働協約を持っていない企業が多く、
そのことが賃金・福利厚生などの面で、
他産業との格差の拡大につながっている。

トラック運輸業の規制緩和は、90年12月1日施行の
「物流二法」がその始まりである。
「貨物自動車運送事業法」と「貨物利用運送事業法」だ。
以降、各項目での緩和が推進され、運賃は"許認可制"から"届出制"
になり、最低保有台数の緩和や営業区域の廃止などが進められた。

その結果、当初4万社程度であった事業者数は、
この15年間で1.5倍の6万社を超える事態となり、
一層厳しい過当競争が日々行われ、
事業者間の運賃値引き競争へと発展している。

とりわけバブル崩壊以降は、荷主企業やお客様からの値引き要請が強まった
ことから、その矛先が労働条件に向けられ、
賃金をはじめとする諸労働条件の低下だけにとどまらず、
企業としての安全義務違反や労働基準法違反、さらには社会保険の未加入
といった由々しき事態も見受けられる。
また、今日の燃料費の高騰分を運賃・料金に転嫁できないことが、
物流企業に更なる追い討ちをかけている。

行過ぎた規制緩和は、経済的規制の緩和にとどまらず、
守らなくてはならない社会的規制までも緩和するという錯覚に陥り、
無秩序な業界になりつつある。

しかし、道路という公共のインフラを職場にする物流業にとって、
安全無視や法違反は許されることではない。
運送業者にとっては厳しい情勢であるが、社会的規制については強化する中で、
きちっとしたルール化を図るべきであるとの基本を忘れてはならない。

http:/www.daiju-unyu.co.jp/


参考文献--トラック運送事業における規制緩和の問題点


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