輸送・運送の基礎知識

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引っ越しに関するクレームについて

2008-12-24 16:45:05 | Weblog
引っ越しに関するクレームは、平成13年4月から平成18年12月まで、
全国消費生活情報ネットワークシステムに寄せられた相談は1万1784件。
うち南関東(埼玉・千葉・東京・神奈川)から
寄せられた相談件数は5407件で約半数を占める。

最も多いのが「約束不履行」で2453件。
「約束の日に事業者が来ず、支店にも本社にも連絡がつかない」
「希望時間に来なかったため、延期を余儀なくされた」・・・など。

次いで多いのが「キズ」で1874件。
「梱包の不手際で荷物にキズが付いた」
「養生しないまま作業をされて、床や階段にキズがついた」・・・など。

次は「紛失」の1861件。
「荷物がなくなった」
「荷物を紛失されたが、事業者は『渡した』という」・・・など。

次は「見積もり時のトラブル」で1394件。
「荷物の量が見積もりより多く、積み込めずに処分した」
「見積もり後にキャンセルしたら、段ボールの引き取りを巡って
トラブルになった」・・・など。

普通に考えると、ほとんどが基本的な事ばかりである。
一昔前までは、引越し等の運送作業を製造業や加工業と同じように
「職人さんによる仕事」という概念があった。
だが近年、日本国内の販売業や飲食業等のサービス業の品質向上に伴い、
運送業者も「サービス業」であると考える消費者が増えてきている。
つまり、今までの様にただ重労働作業を事故なく終えるだけでは足らず、
より付加価値のあるサービスを期待されているのだ。

今後、我々運送業者は、より神経質に仕事に取組み、
最低限「消費者の期待値」は上回らなくてはならない。
そうしなければいつまでもこういったクレームは無くならないだろう。
「汗をかいてここまで頑張ったから少しくらいの約束不履行は
見逃してもらえる」などといった甘えは今の消費者には通用しないのだ。

ただ、ひとつ気をつけて頂きたいのは「価格のサービス」である。
価格は1円でも安いほうが良いなんて考えてる方は、
構造的にこういった基本的なクレームを生みやすい。
「価格を安くする」という事はそれだけ「無理な作業をする」という事である。
当然の事ながら、運送会社も利益が出せなければ仕事を請け負えないので、
仕事を安く請け負っても利益を出す為に、様々な苦肉の策を講じる。
当日の作業員を減らす、一日2~3現場掛け持ちする、
安い派遣アルバイトを使う、保険に加入しない・・etc
挙句の果てには、違法な白ナンバーで営業、過労運転による事故・・・
こんな状態では満足いくサービス等表現する事は不可能である。

運送業者に作業以外のそれなりの付加価値サービスを望むのなら、
それなりの対価は必要になるものだと御理解頂きたい。

http://www.daiju-unyu.co.jp/


○参考文献-「物流Weekly」



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