京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

『大鹿村騒動記』

2011-07-21 | 邦画


□作品オフィシャルサイト 「
大鹿村騒動記
□監督 阪本順治
□脚本 荒井晴彦、阪本順治
□キャスト 原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、佐藤浩市、松たか子、冨浦智嗣、瑛太、
       石橋蓮司、小倉一郎、でんでん、加藤虎ノ介、小野武彦、三國連太郎

■鑑賞日 7月17日(土)
■劇場 チネチッタ
■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)

<感想>

  芳雄ちゃんが逝ったから★が4つではなく、本当に面白い映画だったからだ。
  そのニュースを聞いてショックを受けた後だから、この映画の感想もまとまりのないものになりそうだが・・・。

 大鹿歌舞伎は長野県の大鹿村に庶民の娯楽として約300年以上続いている地芝居(歌舞伎)。
 神社の境内にゴザを敷いて、舞台と客席が一体となる古くからの観劇スタイルを守っている。
 この映画を観る前にこの大鹿歌舞伎のドキュメントを観たばかりだったので、
 その様子が手に取るようにわかった。
 
 そんな大鹿村で「ディア・イーター」という名の鹿肉料理店を営みながら歌舞伎の主役を演じる風祭 善(原田芳雄)のもとに、
 18年前に駆け落ちして家を出た妻の貴子(大楠道代)が駆け落ち相手の治(岸部一徳)と共にグラサンで顔を隠しながら
 村に戻ってくる。 この二人が村に戻って来たことが発端で、村には歌舞伎の稽古以外にまた一騒動が起こるのである。
 村の伝統芸能でもある大鹿歌舞伎の舞台と、静かな村に再び大波を起こした二人の帰郷と、
 それに関わる人間たちの喜怒哀楽を面白可笑しく描かれた作品がこれだ。

 直接共演はなかったが佐藤浩市と三國連太郎親子や、はじめとする曲者役者たちの
 なんとも滑稽で楽しい。 特に善(原田芳雄)と治(岸部一徳)のやり取りは秀逸で、
 あの“間”は彼ら出なければ出せない貴重な味わいだと思う。
 貴子役の大楠道代も脳の疾患で記憶をなくしつつある役柄を、そこまでやるのってぐらい演じていた。
 
 この3人、先にフジテレビの「ボクらの時代」でのトークで、いいチームワークだったんだなと
 いうことは想像でき、一段と映画を楽しんで観ることができた。
 そんな3人に加え、さらに
石橋蓮司、でんでん、小野武彦がそれぞれの特徴を活かし、
 様々な隠し味を加えていく。

 佐藤浩市はバスの運転手役だったが、最近は結構コメディータッチもイケている。
 変り種は、
ディア・イーターでバイトする雷音(らいおん)役の冨浦智嗣、最近ちょくちょく
 見かけるようになった彼だが、果たして彼には変声期がなかったのだろうか(笑)?

 若者離れで過疎化が進む村での、伝統を守ろうとする村人のありのままの姿と、
 そこに関わる人間たちの十人十色の考え方や意見のぶつかり合い、そして様々な傷のある過去の露呈と、
 思い出したくない時間と、取り戻してほしい記憶と。
 折り重なる人間関係の機微を阪本順治監督はベテランの俳優たちを配し、上手く描いてみせていた。


  この映画の挿入歌が忌野清志郎の「太陽の当たる場所」だった。 何かの縁なのかなぁ(笑)

    風の中に 聞こえる 君の声が 聞こえる
     よみがえる 遠いさすらい
       さがし求める 太陽の当たる場所

    そっと空を 見上げる 遠い雲が ちぎれる
     よみがえるよ 君のぬくもり
      立ちどまれば 太陽の当たる場所

    はるかな夢を追いかけた 見知らぬ夜をのり越えて

 
  芳雄ちゃんにとって、「ボクらの時代」が最後のテレビ収録で、
  この『大鹿村騒動記』が最後の映画出演となった。
  芳雄ちゃん、あっちでのんびり美味しい酒でも飲んで、自由に飛び回り、
  あちこち行って好きな電車にでも乗りまくってね~

  
    亡くなった夜、芳雄ちゃん宅には桃井かおり、大楠道代、柄本明、石橋蓮司、佐藤浩市、
  荒戸源次郎監督ら映画仲間約50人が弔問し、芳雄ちゃんのそばで
  「まだここにいるから、笑いながら楽しい話をして送りだそう」と、
  深夜まで別れの杯を酌み交わしたそうな。 良かったね、芳雄ちゃん。
 


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8 コメント

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Unknown (KLY)
2011-07-22 00:38:14
うん、面白かったですよね。
原田さんを始めとして、役者がその芝居で魅せてくれる、今では数少なくなった映画だと思います。若手の彼らもホント勉強になったんだろうなぁ。これだけの人たちって中々集まらないですよ^^;
気のせいかこの作品て原田さんのアップが多い気がするんですよね。彼の色んな表情を心に刻みました。
面白い~ (cyaz)
2011-07-22 08:05:32
KLYさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>原田さんを始めとして、役者がその芝居で魅せてくれる、今では数少なくなった映画だと思います。
もうこのメンツで観られないのが残念でなりません><

>若手の彼らもホント勉強になったんだろうなぁ。これだけの人たちって中々集まらないですよ^^;
そうですね^^
芳雄ちゃん好きな仲間と最後に仕事が出来て、
きっと満足のいく最初で最後の主演作になったことでしょう!

>気のせいかこの作品て原田さんのアップが多い気がするんですよね。彼の色んな表情を心に刻みました。
もともと動きの少ない役回りが多かった芳雄ちゃん、
そこは阪本監督のファンへのサービスだったんですかねぇ(笑)
Unknown (ほし★ママ。)
2011-07-23 20:43:15
大爆笑した後の訃報、とても悲しかったです。
でも、しっかりと主演作の公開を見届けて逝かれたんですよね。
これも「役者魂!」と言えるんでしょうね。
『ぼくらの時代』を見逃したのが、残念です。
本望~ (cyaz)
2011-07-24 11:33:51
ほし★ママ。さん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>大爆笑した後の訃報、とても悲しかったです。
そうでしたねぇ><

>でも、しっかりと主演作の公開を見届けて逝かれたんですよね。これも「役者魂!」と言えるんでしょうね。
本望でしょうね、きっと芳雄ちゃんは。

>『ぼくらの時代』を見逃したのが、残念です。
朝早いですからねぇ、あの番組(汗)
惜しい人を亡くしました。 (パピのママ)
2011-07-29 14:34:39
こんにちは、TB・コメありがとうございました。
喜劇なんでしょうね、でも感動作に仕上がってました。
それもこれも主役の原田さんの役者としての度量深さなんでしょうね。
出演しているスターさんが豪華なのに、必ず数か所見せ場を入れていて、しかしながら原田さんの最後の作品だと思うとやり切れない悲しみが込み上げて来て、笑う場面も涙が出てきてしょうがなかった。
挿入されている音楽もよかったし、エンドの清志郎の歌が、映画の物語そのままのように、原田さんの最後を飾っているようで耳に残りました。

自身の企画~ (cyaz)
2011-07-29 17:21:14
パピのママさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>喜劇なんでしょうね、でも感動作に仕上がってました。
たしかに(笑)

>それもこれも主役の原田さんの役者としての度量深さなんでしょうね。
特に今回は自身の企画で主演でしたからね!

>出演しているスターさんが豪華なのに、必ず数か所見せ場を入れていて、しかしながら原田さんの最後の作品だと思うとやり切れない悲しみが込み上げて来て、笑う場面も涙が出てきてしょうがなかった。
あとあと製作過程でかなり病気も進行していたようですね?
「ボクらの時代」では話すことも辛そうでした。

>挿入されている音楽もよかったし、エンドの清志郎の歌が、映画の物語そのままのように、原田さんの最後を飾っているようで耳に残りました。
そうですね^^
特に清志郎の歌は感動を深くしましたね~
最後の覚悟 (sakurai)
2011-08-04 09:47:42
原田さん本人は、これが最後かなの覚悟があったかと思うのですが、それを知ってか知らずか、とにかくすべての人の思いが、ストレートにぶつかってくるように、力が感じられました。
曲者ぞろいなんですが、彼らにしては物足りないくらいのまっすぐなお話。でも、味わい深い。。。
原田さんの思いがしっかと伝わった、いい映画が最後になったのも、何かの力でしょうね~。
想い~ (cyaz)
2011-08-04 12:32:13
sakuraiさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>原田さん本人は、これが最後かなの覚悟があったかと思うのですが、それを知ってか知らずか、とにかくすべての人の思いが、ストレートにぶつかってくるように、力が感じられました。
そうでしたね^^
芳雄ちゃんはわかっていたんでしょうね~
そして回りのスタッフや共演者たちも・・・。

>曲者ぞろいなんですが、彼らにしては物足りないくらいのまっすぐなお話。でも、味わい深い。。。
あの曲者たちが本当にクセのある演技したとしたら、
この映画はダメになったでしょうね(笑)
あの控えめ加減でちょうどです^^

>原田さんの思いがしっかと伝わった、いい映画が最後になったのも、何かの力でしょうね~。
“想い”は伝わるものなんでしょうね!

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