京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

『ビューティフル アイランズ』

2010-08-22 | 邦画

 

□作品オフィシャルサイト 「ビューティフル アイランズ
□監督 海南友子
□エグゼクティブプロデューサー 是枝裕和
□撮影 南 幸男

■鑑賞日 8月16日(月)
■劇場 恵比寿ガーデンシネマ
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)

<感想>


  エコ、エコと全世界的に騒いでいるけれど、一体何のためにエコと騒いでいるのだろうか・・・。
  何を知って、どこを向いてエコなる発信をしているのだろうか。
  抜本的な全世界的意識改革が必要なのではないだろうか・・・。


 南太平洋に浮かぶ島ツバル、イタリアのベネチア、アラスカのシシマレフ。
 3つの島の生活を通して、今まさに現実に起こっている地球温暖化による海面上昇を知るリアルタイムのドキュメンタリー映画だ。

 平均海抜1mのツバル。 と聞いてもその名前を知る人は少ないかもしれない。
 南太平洋、フィジーに近い島。
 海洋学者は50年後には海に沈んでしまうという島。
 しかし、そこに住み人たちはあくまでのんびりと過ごし、神は絶対にこの島を海に沈めないと信じている。
 だが実際に水位の上昇は満潮時に彼らの住んでいる家屋までも浸水しているのだ。
 屈託の無い子供たちは、それを遊びの場として、扉を開けて飛び込んだり・・・。
 島民は集うことによって互いの意思を確認し合う。
 事実は事実として認めざるを得ないものの、この島での生活を捨て去るわけにはいかない。
 自然を壊さず、自ら食べるだけに必要な狩猟を行い、感謝しながら生きている。

 イタリアのベネチア。
 水の都と伝統のベネチアンガラスの町。
 ここの住む彼らもまた水位上昇に危機感を持って生活をしている。
 水路が生活導線になっている彼らは、昔からのベネチアンガラスの伝統を守ろうとしつつ、
 やがて生活に危険な水位に達したとき、長い年月に培われた独特の産業とともに、
 新たな生活の拠点を探すことになるのだろうか・・・。

 アラスカのシシマレフ。
 極寒の地で狩猟をしながら生活する彼らも、沿岸の崖の上に住居を構えているが、
 水位上昇によって岩が侵食され、ついには家が海の中へ倒れてしまう。
 少しずつ海から離れて家を建てるものの、生計の糧となる海での狩猟からの利便性を奪われてしまう。
 転居するには従来と同様な環境の場所を探すのは困難に近いらしい。

 この映画の地球温暖化に対するメッセージ性は少ない。
 余計なナレーションも耳障りなBGMも一切ない。
 静かに暮らす島民の会話や生活音、波の音のみ。
 しかしその静けさと現在の置かれている状況と明らかな問題点を的確に示している。
 だからと言って、何をどうすればいいのかわからない。
 一人一人ができる範疇をはるかに超えた地球規模の問題である。
 たまたまこのままの状態で海面上昇すれば、ツバルがいち早くは海に沈んでしまう。
 思うに、日本という国は回りを海に囲まれている。
 とすれば、ツバルのように早くはないが、おそらく将来同じような事象が起こる可能性は大だ。
 みんなが富士山の頂上を狙って逃げ惑う事態も起きないとは限らない。
 “日本沈没”じゃないけれど、そんな非現実が現実化する可能性はないとは言えない。
 何か少しでも海面上昇を抑えるべく、遅くても今から一人一人ができることはないのだろうか。

 地球温暖化の問題を提起した環境映画は今までも多くあったが、そこに住む人間をテーマにした映画は初めてだったし、
 また日本人が3年半もの歳月をかけて撮影してきたことは素晴らしいことだと思った。

  こういう映画こそ、国が金をかけて、小学生~大学生たちに教育の一環として観せるべきではないのだろうか。
  


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2 コメント

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深く静かに浸透せよ (マダム・クニコ)
2010-08-24 23:49:38
>こういう映画こそ、国が金をかけて、小学生~大学生たちに教育の一環として観せるべきではないのだろうか。

同感です。  
仕事で海南監督にインタビューしましたが、
彼女の思いはまさにそこにありました。

声高なドキュメンタリーはいっぱいあるが、2時間の世界旅行を楽しみながら、何かを感じてもらえたら・・・と。
返信する
感性~ (cyaz)
2010-08-25 08:30:30
マダム・クニコさん、コメント、ありがとうございますm(__)m

>同感です。仕事で海南監督にインタビューしましたが、彼女の思いはまさにそこにありました。
「百聞は一見にしかず」
文字離れの若い人々にこそ・・・ですね!

>声高なドキュメンタリーはいっぱいあるが、2時間の世界旅行を楽しみながら、何かを感じてもらえたら・・・と。
そのメッセージが素直に感じてくれる感性が、今の若い世代にあればいいのですが(笑)
返信する

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