徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「風疹ワクチンは2回接種を」(2017年啓発ポスター)に違和感

2017年03月15日 08時07分32秒 | 小児科診療
 有名人による風疹ワクチン接種啓蒙活動の記事が目にとまりました。
 ん・・・これは子ども対象の啓蒙?
 近年問題になっているのは、30-50歳代の男性が風疹に罹り、妊娠女性がそれをもらって生まれた赤ちゃんに先天性風疹症候群を発症することなので、この年齢層に対する強力な啓蒙が必要なはずですが、こちらにはノーコメントですか?



■ 風疹ワクチン「2回接種を」 クリス・ハートさんが啓発
2017年3月10日:朝日新聞
 お子さんの風疹ワクチンは2回目も――。風疹予防のためにワクチン接種率を向上しようと、厚生労働省は9日、米国出身の歌手クリス・ハートさんを起用した啓発ポスターを作製し、発表した。クリスさんも発表会に参加、「忘れずに接種を」と呼びかけた。
 風疹は、発熱や発疹などの症状が出るウイルス性の感染症。女性が妊娠初期に感染すると、赤ちゃんが心臓病や難聴などの先天性風疹症候群になる恐れがある。
 ワクチンは現在、定期接種として1歳と小学校入学前1年間の計2回受ける。1回では、感染を防ぐ抗体が十分作られないケースがあるためだ。だが、2015年度の定期接種では1回目の接種率は96・2%だったが、2回目は92・9%で、国の目標である95%以上に届かなかった。


 みなさん、覚えていますか?
 2012〜2013年の大人の風疹流行で先天性風疹症候群の赤ちゃんが45例発生し、そのうち11人が亡くなったことを。
□ 「先天性風疹症候群・その後」(当院ブログ)
 何の罪もない赤ちゃんが生まれながらに障害を持たされ、命を奪われることもある病気です。
 しかも「風疹ワクチン」という防ぐ方法があるのに、です。
□ 「たぁたんさんの体験談」(トーチの会
□ 「先天性風疹症候群(CRS)という経験を通じて」(風疹をなくそうの会『hand in hand 』

 ちなみに、今までに国がつくった「風疹予防啓発ポスター」はこちら;

□ 『妊婦さんと赤ちゃんを守るために成人男性も風しんの予防接種を受けましょう


□ 『生まれてくる赤ちゃんのために「風しんワクチン」


□ 『風しんの予防接種で未来の赤ちゃんを守れます


□ 『風しんの予防接種で未来の赤ちゃんを守れます


□ 「妊娠1ヶ月で50%以上

 ・・・う〜ん、どれを見ても「エッ?おれのこと?」と中年男性の注意を引くものがありません。
 
残念!


<参考>
□ 「ストップ!風疹」プロジェクト(NHK)
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