徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

麻疹の怖さを再確認

2017年03月15日 13時30分22秒 | 小児科診療
 麻疹の知識をアップデート。

「麻疹」(CDC Watch No.30 2010年7月)
概要
・麻疹についての最古の記録は9世紀のアラブの医師の医療記録。
・1954年、ボストンにおいてエンダーとピーブルズが麻疹ウイルスを分離した。
・麻疹ワクチン導入前は、すべての小児が15歳になるまでに麻疹に罹患していた。
伝播力
・感染力が強く、免疫を持たない人が感染者に接触すると約90%が感染する。
・麻疹ウイルスは環境表面に最大2時間生き続ける。
・麻疹はヒトの感染症であり、他の動物には感染しない。
合併症
・麻疹を発症した小児1000人あたり1-2人が麻疹により死亡する。妊婦では流産、未熟児、低出生体重児を引き起こしうる。低栄養やビタミンA不足がよくみられる発展途上国では、麻疹により4人に1人が死亡する。麻疹により毎年、世界では約100万人の小児が死亡する。
・麻疹患者の約30%が一つ以上の合併症を経験し、5歳未満と20歳以上に多い。
・肺炎:小児感染者20人に1人の頻度で、幼児で最も多い死因である。
・脳炎:小児感染者1000人に1人。小児の聾や精神遅滞を引き起こしうる。
亜急性硬化性全脳炎> SSPE:subacute sclerosing panencephalitis
・幼児期に感染した麻疹ウイルスによる中枢神経系の致死的変性疾患。
(以下は1989-1991年の米国での流行時のデータ)
・発生率は麻疹患者10万人あたり4-11人。1歳未満では18人/患者10万人、5歳以降では1.1人/患者10万人。
・麻疹感染後、平均7-10年後(1ヶ月〜27年後)に発症。
・平均生存期間1〜2年。
・脳組織から分離ウイルスはすべて野生株であった(麻疹ワクチンがSSPEを引き起こすというエビデンスはない)。


参考
・「病院における麻疹の集団発生」(CDC Watch No.50 2012年3月

 最近の記事も紹介します;

「はしかで毎日400人の子どもが死亡」とユニセフ、75%がコンゴ民・エチオピア・インド・インドネシア・ナイジェリア・パキスタンの6カ国
2016-11-10:ganas

 ユニセフ(国連児童基金)は本日、世界保健機構(WHO)などと共同で報告書「Progress Toward Regional Measles Elimination — Worldwide, 2000–2015」を発表し、はしかによる死亡数は2000年から2015年の間に79%減少したものの、現在でも毎日400人近くの子どもがはしかによって亡くなっている、と指摘しました。

◇ はしかから守られた幼い命
 「はしかを過去のものにすることは、不可能ではありません」とユニセフ予防接種部門チーフのロビン・ナンディ は述べました。「私たちにはそれを可能にする手段と知識があります。私たちに足りないのは、どんなに遠く離れていたとしても、すべての子どもたちに予防接種を届けるという政治的意志です。この決意がなければ、子どもたちは簡単かつ安価に予防できる病気によって、命を落とし続けるのです」
 ユニセフ、WHO、GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)および、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、はしか予防接種キャンペーンの大規模な実施や、はしかの定期予防接種普及率の世界的な伸びによって、2000年から2015年の間に推定2,030万人の幼い命が守られました。
 しかし、この前進は均等ではありません。2015年には、約2,000万人の乳児がはしかの予防接種を受けておらず、13万4,000人の子どもがこの疾病が原因で亡くなりました。世界ではしかの予防接種を受けていない乳児の半数、および、はしかが原因で死亡する人の75%が、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、ナイジェリア、パキスタンの6カ国に集中しています。

◇ 定期予防接種の普及とモニタリングの強化
 「毎年何百万人もの子どもが予防接種を受けられない、ということは受け入れ難いことです。はしかの感染を予防し命を守ることのできる、安全で効果の高いワクチンがあるのですから」と、WHOのジャンマリー・オクオ・ベレ医師(Dr. Jean-Marie Okwo-Bele)は述べています。「今年、北米から南米までの米州全域で、はしかの撲滅が宣言されました。これは、はしかの撲滅が可能だということの証明です。今こそ、世界の他の地域のはしかを撲滅させなければなりません。それは、予防接種から始まるのです」
 「はしかは、国の予防接種システムの強度を示す主要な指標であり、また、はしかの流行は、国が抱える深刻な問題に対する最初の警告になることが、しばしばあります」と、GAVIアライアンス事務局長のセス・バークレー医師は語りました。「ワクチンで予防可能でありながら、幼少期の子どもにとって世界で最も致命的な病気の一つであるはしかの撲滅に取り組むためには、定期予防接種の普及とモニタリングの強化に向けた、各国政府やパートナー団体の固い決意が必要なのです」

 はしかはウイルス性の感染症で、感染力がとても高く、接触感染および空気感染により拡大します。世界の幼い子どもたちの主要な死亡要因の一つである一方、安全で効果の高いワクチンを、適切な時期に2回接種することで予防が可能です。
 はしかの流行は、定期的な予防接種や大規模な予防接種キャンペーンに空白期間が生じることで引き起こされており、現在も多数の国で発生している深刻な問題です。2015年には、エジプト、エチオピア、ドイツ、キルギスタン、モンゴルで大規模な流行が報告されています。ドイツとモンゴルでは、より年齢の高い人々が感染したことから、はしかの予防を受けたことがない青少年や若い成人に対する予防接種の必要性が明らかになりました。
 はしかはまた、すべての子どもに対する予防接種が困難な、紛争下の国や人道危機にある国で流行する傾向があります。昨年は、ナイジェリア、ソマリア、南スーダンで流行が報告されました。

◇ すべての子どもに予防接種を届ける
 WHOが区分する世界6地域のうち4地域におけるはしかの撲滅は、世界的なワクチン行動計画(Global Vaccine Action Plan)の中間点における世界的目標です。「世界はこの目標を達成できていませんが、米州で出来たように、はしかの撲滅の達成は可能です」とアメリカ疾病予防管理センター代表のレベッカ・マーティン医師は述べました。
 「アフリカの格言で『子どもは村全体で育てるもの』とあるように、子どもたちをはしかから守るためには同じ地域の村々と世界の村々との協力した取り組みが必要です。はしかを撲滅することは可能ですが、そのためには、全員が与えられた役割を果たす必要があります。
 今年の報告書は、WHOが掲げたはしか撲滅に関する2015年までの目標が、達成できなかったことを示しています。その理由はすべての子どもに予防接種を届けられなかったためであり、そこには格差が存在しているのです。これらの格差を埋めることが必要です。
 格差を埋めるには、すべての子どもたちに予防接種を届けるために適切な人的・財政的資源を確保・活用し、はしかのあらゆる症例を見つけて対応し、さらなる感染を予防するための決意を確実なものにする必要があります。
 これらの努力は次世代のリーダーとなる子どもたちを守ります。そうすることで、すべての国が、感染症が流行した場合にその脅威を食い止める強力なセーフティー・ネットを保持し、確実に世界を脅威から守ることができるのです」(マーティン医師)

参考情報

・「世界的なワクチン行動計画」(Global Vaccine Action Plan)は、2015年までに世界の4地域ではしかを撲滅する目標を設定し、2012年の世界保健総会で採択された。すべての子どもに予防接種を届けられず、目標は達成されなかった。

・2000年以降、大規模なはしか予防接種キャンペーンを通じて、約18億人の子どもがはしかの予防接種を受けた。ユニセフは、米国赤十字社、国連財団、アメリカ疾病管理予防センター、WHOと協力し、2001年に、「はしか・風疹イニシアティブ」を開始。

・GAVIアライアンスは、ユニセフ、世界保健機関(WHO)、世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などが協同で行っているワクチン提供のためのパートナーシップ。2016年~2020年計画では、約10億米ドルの予算をかけて、百万人以上の命を救うことに貢献する開発途上国における総合的なはしか予防の取り組みに対する支援を予定している。

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