徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

慢性便秘で悩む日本人は1000万人。

2017年04月10日 12時54分20秒 | 小児科診療
 小児科でも便秘の相談が増えてきているのを実感しています。
 当院では漢方薬も取り入れつつこんな風に指導&治療しています。

■ 患者1,000万人超の慢性便秘の考え方
2017/03/31:ケアネット
 排便頻度が著しく少なく、それが原因のQOL低下を自覚するものの、便秘が医師の治療や処方を必要な疾患であると認識している人はどれほどいるのだろうか。その証拠に、セルフメディケア商品の市場規模が300億円超といわれているのが慢性便秘である。3月23日、都内でこの慢性便秘をめぐる医療の現状をテーマにしたプレスセミナーが開かれた(主催:漢方医学フォーラム)。セミナーに登壇した中島 淳氏(横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室 主任教授・診療部長)は、「医師と患者の双方が、まずは便秘を『病気』として認識するとともに、適切な初療により慢性化させないことが重要だ」と述べた。
 現在、国内における全人口の約14%(2~27%)が慢性便秘であるとみられている。若年~中年層では圧倒的に女性に多いが、65歳以上の高齢層になると男女共にその割合は急激に増える。ただし、排便回数が月2回以下という重症便秘は女性に多い。また近年では、小児期のトイレトレーニングが不十分などの理由で、子どもの便秘が増える傾向があるという。
 旅行などの短期的な環境変化だけでなく、進学や就職、結婚などによる生活変化で排便習慣が乱れ、一過性の便秘となる人は少なくないが、この段階で適切な治療を行えば問題ない。適切な治療とは何か。食事指導や治療薬の処方もさることながら、医師の問診による原因究明が肝要である。
 中島氏によると、患者が排便に関する悩みを打ち明けても、「わずかでも出ているなら問題ない」「排便回数が多いのは便秘ではないので問題ない」など、多くの医師の判断基準が「回数」にあるため、訴えの本質を見逃しがちになっているという。「たとえ毎日排便があっても、過度の怒責や排便後の残便感や不快感、頻回便なども、患者にとってはQOL低下につながる切実な悩みである。これを症状として聞く姿勢がなければ、治療へとつながっていかない」と中島氏は述べる。
 先述した300億円超という膨大な便秘関連薬市場は、セルフメディケアで解消しようとする患者の多さを物語っているが、この中には医療機関で症状を打ち明けるも適切な治療を受けられず、市販薬をのみ続けた結果、慢性便秘を重症化させてしまう患者も少なくないという。
 これまで、わが国における慢性便秘治療に使われてきたのは、もっぱら酸化マグネシウムと刺激性下剤の2種であったが、新規便秘薬としてルビプロストンやリナクロチド(いずれも保険適応)が発売され、治療をめぐる潮流にも変化がみられる。
 中島氏は、さらなる選択肢として漢方薬の使用を挙げた。具体的には、(1)大黄甘草湯(2)麻子仁丸(3)潤腸湯(4)桂枝加芍薬大黄湯(5)防風通聖散(6)大建中湯の6種(作用の強い順に記載)を、患者の症状やニーズに合わせて使い分けることを勧めている。
 中島氏は現在、慢性便秘に特化したガイドライン作成委員会メンバーとして策定に当たっており、今夏を目途に発刊を目指しているという。中島氏は、「専門医のみならず、かかりつけ医においても、初療で適切な治療を行うことの重要性をガイドランに盛り込む方針。便秘の苦しみを訴える患者の声に耳を傾け、医療機関での失望経験が慢性便秘患者を増やしている現状は改めるべき」と述べた。
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ヒノキ花粉の飛散スタート(2017年春)

2017年04月03日 22時33分34秒 | 小児科診療
 春の花粉症の主役はスギからヒノキへ替わったようです。
 毎年思うのですが、スギ花粉とヒノキ花粉を分けて飛散速報を出せないものでしょうか?

■ ヒノキ花粉の飛散スタート、昨年より多い!
2017/4/ 3:J-castヘルスケア
新年度に入って気温が上がり、サクラ前線の北上が加速しているが、それとともに西からヒノキ花粉の飛散がスタートし、スギ花粉ともども注意が呼びかけられている。

◇ 九州では昨年比10倍の場所も
気象情報会社のウェザーニューズは2017年3月30日に、今季5回目の「週間花粉予測情報」を発表し、西日本から東日本にかけてはスギ花粉のピークを越えてきておりヒノキ花粉に移り変わってきていると状況を説明した。
日本気象協会も3月31に発表した「週間花粉予測情報」で、西から本格的なヒノキ花粉の飛散が始まると指摘したうえ、ヒノキ花粉症の人は対策を、と呼びかけている。
ヒノキ花粉は4月中旬ころにピークを迎えるという。東北地方では4月初めから中旬にかけてスギ花粉がピークを迎える。
ウェザーニューズによると、3月20日までに観測された花粉飛散量は、九州~東北南部にかけて昨年より多く、九州では多いところで10倍以上の量を観測した。スギ・ヒノキを合わせた今季の花粉飛散量は、各地で昨年より多くなる見通しという。


 引用されているウェザーニュースの速報。

■ 花粉飛散量、九州は昨年比10倍以上の観測も!楽になるのはいつ頃?
2017.3.30:ウェザーニュース
 3月中旬までの飛散状況のまとめを含めた、最新の花粉飛散傾向を発表します。今後の対策の参考にご活用ください。

◇ ヒノキ花粉がまもなくピーク

 西・東日本では、スギ花粉のピークは越えて、徐々にヒノキ花粉に移り変わってきており、4月に入ると中旬にかけてヒノキ花粉がピークを迎えます。
 スギ花粉も4月上旬までは多く飛ぶ可能性があるので、油断は禁物です。

◇ 3月中旬までの飛散量


◇ 九州は昨年比10倍の所も
3月中旬(3月20日)までに観測された花粉飛散量は、九州〜東北南部では、昨年の同時期に比べて多くなっています。

 特に九州では、少ない所でも昨年の2~3倍、多い所では10倍以上の花粉を観測しており、症状も昨年に比べて重い傾向が顕著です。
 東北北部では花粉の飛散が昨年よりも遅れ、3月中旬までの飛散量も昨年より少なく、半分程度の所も。そのため現時点では、東北は昨年よりもまだ症状が軽い傾向となっています。

◇ 今シーズンの特徴
 急激に飛散量が増えたのが特徴的です。2月は寒さの影響を受けて飛散は控えめでしたが、関東や九州では2月終わりから、その他の西〜東日本では3月に入って強風や昇温の影響で一気に増加しました。

◇ 今後の飛散予想〜楽になるのはいつ頃?


◇ シーズン終了は5月上旬
 スギ・ヒノキ花粉を合わせた飛散量は、今シーズンを通して各地で昨年より多くなる見通しで、多い所では昨年比10倍近く(大分県)なる所も。
 平年に比べ、九州、東北北部、北海道ではやや多い~多い飛散を予想しており、九州では平年の1.8倍(長崎県)の飛散となる恐れもあるため、引き続き万全な対策が必要です。
 なお、花粉シーズンの終了時期は、九州では4月下旬、その他の多くの地域では5月上旬になる予想です。
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『抗微生物薬適正使用の手引き』公表(2017年3月)

2017年03月28日 14時16分25秒 | 小児科診療
 少し前に国が抗菌薬の適正使用により耐性菌対策に乗り出したことを紹介しました(「風邪に抗生物質投与は控えて」〜厚労省が手引書)。
 先日、その成果の一つが公表されました;
■ 「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版(案)
 
 医療関係者向けの書き方なので一般の方にはちょっとわかりにくい文章ですが、「風邪に抗菌薬(=抗生物質)は必要ない」ことを国が公言したことは大きな意義があります。
 これで「取りあえずビール」のように「とりあえず抗生物質」という風邪診療が変わっていくことを期待したいと思います。

 さて、今回取り上げられたのは「急性気道感染症」と「急性下痢症」。
 他の分野は今後、順次公開されるようです。
 扱う対象は「学童以上」が基本ですが、主に小児に言及されている箇所を抜き出しました;

【急性気道感染症】
「感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。」
「小児では、急性鼻副鼻腔炎に対しては、原則抗菌薬投与を行わないことを推奨する。」
「小児の急性鼻副鼻腔炎に対して、遷延性又は重症の場合には、抗菌薬投与を検討することを推奨することとし、そ の際には、アモキシシリン水和物を第一選択薬として 7~10 日間内服することとする。」
「A群β溶血性連鎖球菌(GAS)が検出されてい ない急性咽頭炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。」
「小児のマイコプラズマやクラミドフィラに関連した数週間遷延する、または難治性の咳についてはマクロライド系抗菌薬の有用性が報告されている。」



(医師から患者への説明例:急性鼻副鼻腔炎疑いの場合)
 あなたの「風邪」は、鼻の症状が強い「急性鼻副鼻腔炎」のようですが、今のとこ ろ、抗生物質(抗菌薬)が必要な状態ではなさそうです。抗生物質により吐き気や 下痢、アレルギーなどの副作用が起こることもあり、抗生物質の使用の利点が少な く、抗生物質の使用の利点よりも副作用のリスクが上回ることから、今の状態だと 使わない方がよいと思います。症状を和らげるような薬をお出ししておきます。
 一般的には、最初の 2~3 日が症状のピークで、あとは 1 週間から 10 日間かけ てだんだんと良くなっていくと思います。
今後、目の下やおでこの辺りの痛みが強くなってきたり、高い熱が出てきたり、い ったん治まりかけた症状が再度悪化するような場合は抗生物質の必要性を考えな いといけないので、その時にはまた受診してください。

【急性下痢症】
「小児における急性下痢症の治療でも、抗菌薬を使用せず、脱水への対応を行うことが重要である。」
「嘔吐に対する制吐薬、下痢に対する止痢薬は科学的根拠に乏しく推奨されていない。」
「健常者における軽症のサ ルモネラ腸炎に対しては、抗菌薬を投与しないことを推奨する。ただし3 カ月未満の小児は重症化の可能性が高く、抗菌薬投与を考慮すべきである。」
「健常者における軽症のカンピロ バクター腸炎に対しては、抗菌薬を投与しないことを推奨する。」
「海外の総説では、抗菌薬使用により菌からの毒素放出が促進され、HUS 発症の危険性が高くなることから、EHEC 腸炎に対する抗菌薬投与は推奨されていない。一方で、日本の小児を中心にした研究では、EHEC 腸炎に対して発症早期にホスホマイシンを内服した者では、その後の HUS発症率が低いことも報告されており、これらのことも踏まえて、JAID/JSC の指針では、現時点で抗菌薬治療に対しての推奨は統一されていない、とされている。 」




(医師から患者への説明例:小児の急性下痢症の場合)
 ウイルスによる「お腹の風邪」のようです。特別な治療薬(=特効薬)はありませ んが、自分の免疫の力で自然に良くなります。
 子どもの場合は、脱水の予防がとても大事です。体液に近い成分の水分を口か らこまめに摂ることが重要です。最初はティースプーン一杯程度を 10~15 分毎に 与えてください。急にたくさん与えてしまうと吐いてしまって、さらに脱水が悪化しま すので、根気よく、少量ずつ与えてください。1 時間くらい続けて、大丈夫そうなら、 少しずつ 1 回量を増やしましょう。
 それでも水分がとれない、それ以上に吐いたり、下痢をしたりする場合は点滴 (輸液療法)が必要となることもあります。半日以上おしっこが出ない、不機嫌、ぐっ たりして、ウトウトして眠りがちになったり、激しい腹痛や、保護者の方がみて「いつ もと違う」と感じられたら、夜中でも医療機関を受診してください。
 便に血が混じったり、お腹がとても痛くなったり、高熱が出てくるようならバイ菌に よる腸炎とか、虫垂炎、俗に言う「モウチョウ」など他の病気の可能性も考える必要 が出てきますので、その時は再度受診して下さい。


 しかし、「患者・家族への説明」の例示には参りましたね。
 なんだか医者が小学生扱いされているようで、複雑な気分(^^;)。
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2016/2017シーズンのインフルエンザ流行を振り返って

2017年03月28日 08時06分45秒 | 小児科診療
 学校が春休みに入り、2016/2017シーズンのインフルエンザ流行が終息しつつあります。
 当地では12月からA型の流行が散発し、本格的には年明けの1月下旬からで、大きな流行にはなりませんがダラダラ続いてなかなか終息しない、そして3月に入りB型の小流行、という印象でした。

 お隣の栃木県では近年の中では学級閉鎖数が最大で、大きな流行となったようです。

■ 栃木県内公立校インフル休業、過去5年間で最多の508件 県教委まとめ
2017年3月26日:下野新聞

 2016年度の県内公立学校(小中高校、特別支援学校)のインフルエンザによる休業報告は508件となり、過去5年間で最多だったことが、25日までの県教委のまとめで分かった。流行期入りが早く、例年より1カ月早く休業措置が始まったことが影響したと見られる。同日現在、県は注意報を県内全域で10週連続発令しており、春休みに入っても引き続きインフルエンザへの警戒が必要だ。
 今季の県内の流行期入りは昨年10月31日~11月6日の週で、昨季より約2カ月半早かった。
 学校の休業も同様に早く、今季最初の報告は昨年10月中旬。その後も徐々に増え、12月下旬の冬休み前までで156件に上った。昨年度は冬休み前の休業は0件、14年度は59件だった。
 休業報告の内訳は小学校362件、中学校96件、高校42件、特別支援学校8件。学級休業は延べ388件、学年休業は延べ118件、学校休業は延べ5件に上った。ほとんどがA型の流行によるものだった。

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B型肝炎ワクチン、ラテックスアレルギー患者さんは要注意。

2017年03月23日 09時58分41秒 | 小児科診療
 日本で承認・使用されているB型肝炎ワクチンは2種類(ビームゲン®、ヘプタバックスII®)あります。
 このヘプタバックスIIのバイアルの蓋にはラテックスが使用されており、ラテックスアレルギー患者さんに接種すると副反応が発生する可能性があり注意が必要です。
 
 「私はラテックスアレルギーがないから大丈夫」

 と安心する前にもうひとこと。
 ラテックスと交差反応がある果物(アボガド、バナナ、クリ、キウイフルーツなど)にアレルギーがある人も注意が必要なのです。
 詳しくは下記記事をお読みください;

■ B型肝炎ワクチン、過量接種で注意喚起
2017.03.22:メディカル・トリビューン
 組換え沈降B型肝炎ワクチンのビームゲンとヘプタバックス-Ⅱについて、それぞれの製造販売元である化学及血清療法研究所とMSDは3月21日、10歳未満への接種量はいずれも1回0.25mLであるにもかかわらず、0.5mLが接種された事例の報告があるとして、過量接種に気を付けるよう注意を喚起した。
 両剤は、いずれも通常0.5mLを4週間隔で2回、さらに20~24週経過後に0.5mLを1回、皮下または筋肉内に投与するが、10歳未満の場合には同様の間隔で0.25mLずつ皮下投与する。しかし両社によると、10歳未満の小児に0.5mLを接種した事例が報告されているという。
 さらにヘプタバックス-Ⅱに関しては、バイアルのゴム栓に乾燥天然ゴム(ラテックス)が含まれているため、ラテックス過敏症がある人や、ラテックスと交差反応がある果物など(アボカド、バナナ、クリ、キウイフルーツなど)にアレルギーがある人でもアレルギー反応が起こる可能性があるとして、MSDは「接種前には予診票や問診でラテックスあるいはラテックスと交差反応のある果物などによるアレルギーの有無を確認してほしい」と注意を呼びかけている。なお、2016年12月31日時点でラテックス過敏症がある人における副反応疑い例は報告されていないが、ラテックスと交差反応のある果物(キウイフルーツ、アボカドなど)にアレルギーがある人で副反応疑い例が3例(1歳、27歳、30歳代)報告されているという。症状は蕁麻疹、発熱、注射部位膨脹、視覚障害、緊張性頭痛など。


 なお、ビームゲン®にはラテックス成分は使われておらず、ラテックスアレルギー患者さんでも安全に接種が可能です。
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殺虫剤のピレスロイドが子どもの行動障害に関連か

2017年03月21日 06時23分12秒 | 小児科診療
 殺虫剤成分が子どもの行動障害(相談して助けを求めることができない、反抗的・破壊的な行動)のリスク上昇に関連しているという報告を紹介します。
 問題のピレスロイドとは?
 「ピレスロイド系」でくくってみると、おなじみの製品(↓)ばかり!
 ん、でも「ピレスロイドに関連する別の化学物質は外在化問題行動のリスク低下に関連していた」という文章もありますね。はて、これらは問題視すべきなのでしょうか?
 



■ 殺虫剤のピレスロイドが子どもの行動障害に関連か
HealthDay News:2017/03/21:ケアネット
 殺虫剤のピレスロイドに曝露した小児では行動障害リスクが高くなることが、フランス、レンヌ大学病院のJean-Francois Viel氏らの研究でわかった。ピレスロイドは、農薬や一部の防蚊剤、頭シラミ・ダニ・ノミの駆除剤などに広く使用されている。
 ピレスロイドは他の殺虫剤と同様に、神経を障害する働きをもつため、近年、小児への影響が懸念されるようになっている。今回の研究は因果関係を証明したものではないが、重大な問題を提起する可能性がある。
 今回の研究では、数百人の母親とその子どもを対象として、妊娠中および子どもが6歳のときの尿中のピレスロイド代謝産物の濃度を調べることにより、ピレスロイド曝露量を測定。さらに、6歳時の子どもの行動を評価した。
 その結果、ピレスロイドと行動障害との間に関連が認められた。特に、妊娠中の母親においてピレスロイドに関連する特定の化学物質の尿中濃度が高い場合、小児の内在化問題行動(たとえば、相談して助けを求めることができないなど)のリスクが高かった子どもにおけるそれらの化学物質の尿中濃度は、外在化問題行動(反抗的・破壊的な行動)のリスク上昇に関連していた。しかし一方で、ピレスロイドに関連する別の化学物質は、外在化問題行動のリスク低下に関連していた。
 全体的にみると、ピレスロイド代謝産物の尿中濃度が最も高かった小児では、異常行動がみられる可能性が約3倍高かった。Viel氏らは、「ピレスロイドは脳内の神経シグナル伝達に影響し、行動障害の誘因となりうる。今回の研究は、環境中からのピレスロイド曝露を避けることが子どもの行動障害に関連する可能性があることを示唆している」と話している。


<原著論文>
・Viel JF, et al. Occup Environ Med. 2017 Mar 1.
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子どもの3割超が花粉症

2017年03月18日 11時37分28秒 | 小児科診療
 そんな時代になりました。

■ 子どもの3割超が花粉症 食物アレルギーも要注意
共同通信社:2017年3月16日
 ロート製薬は、約2900人の子どもについて花粉症の有無を親に聞いたところ、「花粉症だと思う」との回答が31・5%に上ったという調査結果をまとめた。食物アレルギーも起こりやすいとして、対策を呼び掛けている。
 調査は2016年11月にインターネットで実施し、0~16歳の子ども2935人の実態について親から回答を得た。
前回調査に続いて3割を超える高水準。
 特定の果物や野菜を食べたときに出ることがある「口腔(こうくう)アレルギー症候群」は、花粉症との関連性が指摘されている。
 「果物を食べて口や唇、喉にかゆみやピリピリ感・イガイガ感を感じたことがある」と答えたのは、子ども全体でみると13・5%だったが、花粉症の実感があるという子どもに限ると20・6%に達した。
リンゴやモモ、キウイを食べて、口や唇、喉にかゆみを感じたという子どもが目立った。
 ロートは「子どもの症状は気付きにくいので見逃さないことが大事だ」と説明し、屋外ではマスクを着用させるなど、親による対策が重要だとしている。


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入園前の予防接種実施を要請した私立保育園

2017年03月16日 10時09分11秒 | 小児科診療
 今、小児科医の間で話題になっている事例です。

 前項の「麻疹」をお読みになった方は、もしワクチンを接種しない集団があれば大変な目に遭うことが想像できると思います。現在の日本は定期接種で集団免疫率を高く保っているから、流行せずに済んでいるだけです。
 また罹ったとしても、医療が発達し国民皆保険というフリーアクセスで医療機関を受診できるシステムがあるので、なんとかなるだろうというイメージがあるのでしょう。

 つまり「平和ボケ」状態の日本。

 江戸時代には「麻疹は命定め」と言われて恐れられました。
 実際に現在でも発展途上国では麻疹に罹った子どもの4人に1人が命を落とす感染症であり続けています。
 それはあくまでも外国の話で日本は大丈夫、と言えるでしょうか。

 みなさん、東日本大震災を思い出してください。
 避難所にたくさんの人が押し込められ、水も十分に手に入らない状況。
 感染症が流行したら制圧困難です。

 しかし結果的にそうはならなかった。
 理由は「予防接種をしてあったから」に間違いありません。

 実際に東日本大震災後、破傷風が10例発生しました。
 すべて50歳以上で、小児例はゼロ。
 つまり、子どもは予防接種(3種混合/4種混合ワクチン)で守られたのです。
 50歳以上では、ワクチンの効果が経年で減衰したため、発症リスクが高まったのです。

 しかし現行の日本の定期接種は努力義務はありますが、強制ではありません。
 園の言い分も、保護者の言い分も間違いではないと思います。
 あなたは、どう考えますか?

□ 予防接種受けない園児受け入れ拒否 こども園 国は認めず新潟市に通知
2017.2.10:新潟日報
 新潟市の私立保育園が、4月から認定こども園に移行するのを機に定期予防接種を受けていない園児を受け入れない方針を打ち出していたことが9日、分かった。是非を巡って関係省庁が協議し「未接種を理由に受け入れ拒否はできない」とする見解をまとめた。9日、新潟市に通知した。
 新潟市や保育園などによると、この保育園は移行に伴い、保護者と直接契約を結ぶ際に「子どもや妊娠している保護者の健康を守るための独自の方針」として定期予防接種を盛り込むことを決め、昨年11月に保護者に説明した。
 園は「集団生活で適切な環境を確保するための健康面の配慮。他の子に病気をうつす可能性もあり、集団生活をする上でのマナーだ」とする。
 これに対し、園児に予防接種を受けさせていない保護者の一人は「予防接種は努力義務であって強制ではない。未接種を理由に、受け入れないのは許されない」と訴えた。
 保護者や園から相談・報告を受けた新潟市保育課は国に照会した。同課によると、厚生労働省は「未接種だけでは拒否する理由にならない」との立場。一方、認定こども園を管轄する内閣府は当初、公衆衛生面から、園独自の方針として条件を付けることもあり得るとの姿勢を示し、協議が続けられていたという。
 新潟日報社の取材に対し、内閣府の担当者は「原則として予防接種を受けていないことだけでは、入園を断る理由には当たらないとの結論になった」と説明した。
 保育園の園長は「国は予防接種を勧奨し、施設には園児の健康を守るよう求めているのに、今回の国の判断はおかしいのではないか」と語った。

□ 入園断る姿勢は変えず 予防接種受けない子を拒む新潟の私立保育園
2017.2.10:新潟日報
 新潟市の私立保育園が、4月の認定こども園移行を機に定期予防接種をしていない子どもの受け入れを拒否する方針を示していた問題で、園は10日、予防接種の未接種だけでは拒めないとする国の見解を受け、保護者と契約を交わす書面を修正する考えを明らかにした。予防接種を求める方針は変えず、来週にも新潟市と協議した上で決める。
 この問題で、園は園児らへの健康面の配慮から、保護者と契約を結ぶ際の「重要事項説明書」で定期予防接種を受けていないと契約できないと明記していた。だが、国は9日に「未接種だけでは入園を断る理由に当たらない」とする見解を新潟市に通知した。
 園は見解を踏まえ、説明書に新たに「予防接種を意図的に受けない方は当園の方針と考えが異なるため、トラブル関係になることが明白」と明記。「トラブル関係は(園が保護者の申し込みを拒んではならないとする)応諾義務を拒否する正当な理由となるので入園の契約はできない」とすることにした。
 園長は「国の見解が示されたのでやむなく内容は変えたが、子どもの健康を守るため園の方針を変えるつもりはない」と話す。
 内閣府は取材に対し「応諾義務は重く、判断は慎重になされるべきだ」としている。


 世界を見回すと、米国では規定の予防接種を済ませていないと小学校に入学できない、進級できないというルールがあるそうです。
 また、黄熱病のリスクが高い国々では、黄熱ワクチンの接種証明書(イエローカード)がなければ入国できません。

 この事例を受けて、日本小児科医会が声明を出しました;

□ 「保育園等の集団生活入所予定児に対し入園・入学要件として予防接種実施を要請することへの日本小児科医会の見解(2017.3.15)
 今般新潟市の私立保育園が、定期予防接種を受けていない園児を受け入れない方針を表 明したことに対して関係省庁が協議し「未接種を理由に受け入れ拒否はできない」とする 見解を新潟市に伝えるというニュースが報道されました。VPD(vaccine preventable diseases:ワクチンにより予防可能な病気)予防の普及啓発を進める日本小児科医会として、 この見解が国民に子どもの予防接種の重要性に関して誤解を招くメッセージとならないよ う見解を公表することに致しました。
 我が国では定期予防接種の実施については予防接種法で規定されており、小児の年齢に 応じて実施される予防接種は、予防接種対象者あるいはその保護者に対して接種を受ける 努力義務規定として第 9 条に記されています。対象疾病は A 類疾病に分類され「人から人 に伝染することによるその発生及びまん延を予防するため、又はかかった場合の病状の程 度が重篤になり、若しくは重篤になるおそれがあることからその発生及びまん延を予防す るため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病」と定義されているものです。法 律内での表現は「努力義務」となっており、個人の判断で受けても受けなくても良いと解 釈できますが、日本小児科医会は免疫不全等の接種を受けることができない医学的理由や 定期接種年齢に達していない等の理由がない限り個人防衛の意味においても集団防衛の意 味においても接種を受ける必要があると考えています。
 また、厚生労働省が定める保育所保育指針の「5章.健康および安全」では、「子どもの 健康及び安全は、子どもの生命の保持と健やかな生活の基本であり、保育所においては、 一人一人の子どもの健康の保持及び増進並びに安全の確保とともに、保育所の子ども集団 全体の健康 及び安全の確保に努めなければならない。」とされています。さらにその解説 書には「感染症の集団発生予防 【予防接種の勧奨】」として、「予防接種は、子どもの感 染症予防にとって欠くことのできないものです。 特に保育所においては、嘱託医やかかり つけ医の指導のもとに、計画的に接種することを奨励することが望まれます。」と記載され ています。「子どもの健康の保持及び増進並びに安全の確保」の前提である定期予防接種は 「義務接種」ではなく「勧奨接種」にとなっており、前述の医学的、年齢的理由がない場 合においても、定期予防接種を受けさせないとの保護者の判断があればそれを保育所等は 受け入れざるを得ない状況となっています。
 欧米では就学前の予防接種を、例外規定を設けた上で義務付けているところが多くあり ます。日本の学校保健安全法では予防接種についての直接的な規定はないものの、第 4 節 「感染症の予防」の第 19 条(出席停止)に「校長は、感染症にかかっており、かかってい る疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところに より、出席を停止させることができる。」との規定があります。
 2008 年の麻しん流行時に秋田県では本規定を適用し、ワクチン未接種者に対して出席停 止とする措置が取られ、迅速な終息につながったことが、厚生労働省健康局が開催した平 2010 年 3 月 10 日の第 5 回麻しん対策推進会議でも報告されています。
幼保連携型認定こども園においても「校長」を「園長」と読み替えて準用することが、 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律施行令第 5 条に明記されています。
 1994 年の予防接種法改正に伴い義務接種が勧奨接種に変更され集団接種から個別接種へ移行し、ワクチンを受ける側に選択肢を与えることで、損なわれかけていた予防接種への 信頼はかなり取り戻されるにいたり、ここ数年ワクチンギャップが大きく解消されてきて いることについては高く評価しています。しかし、その運用にあたっては予防接種の必要 性について積極的な啓発を行い、広く国民の理解を深める必要があります。情報過多の時 代において偏らない情報を得ることが難しい状況下で予防接種を忌避する例は少なからず 存在し、今般の事例のような集団生活を営む子どもの健康や安全が脅かされる事態が各所 でおこっています。
 現在、定期予防接種の接種率は、多くが 90%を超える状況となっています。しかし一定 の割合で存在する、何らかの理由で予防接種を受けることができない児童個人を守るため の個人防衛の観点から、さらには疾病が発生した場合の周辺児童を守るための集団防衛の 観点から、できる限り多くの児童が予防接種を受けることにより、当該疾病に罹患する危 険性を低くすることは、安全な集団生活を営む上で極めて重要です。
 日本小児科医会は予防接種の意義、必要性、安全性について正しいメッセージを提供す る意味で、就園・就学の要件の一部として、「医学的、年齢的理由がある場合を除いて、 就園・就学までの間に必ず定期予防接種を受けておくこと」の一言を記載することは、き わめて重要な意味合いを持つものと考えられることから、ここに上記を見解として表明い たします。

 以上
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子どもの誤嚥事故と対策

2017年03月16日 06時52分42秒 | 小児科診療
 子どもの誤嚥事故に関する記事を紹介します。
 「誤嚥」とは飲み込んだものが食道-胃に落ちるのではなく、気管に入って詰まってしまい、呼吸困難を来すことです。
 子どもはトイレットペーパーの芯(直径3.8cm)を通る大きさのものは飲み込んでしまう恐れがあります。
 とくに1歳前後では、ものを口に入れて確かめる修正がありますので要注意。
 「誤嚥チェッカー」(日本家族計画協会)という製品も販売されています。

■ 食べ物で窒息死の子、5年で103人 半数が0歳児
2017.3.16:朝日新聞

窒息死事故の原因となった食品と発生件数

(イラストをクリックすると拡大します)

 14歳以下の子どもが食べ物を気管に詰まらせ、窒息して死亡した事故が、2014年までの5年間で103人にのぼったことが、消費者庁の分析でわかった。0歳児が49人で全体の半数を占めており、同庁は15日に注意喚起を行った。
 同庁が、自治体が作成する「人口動態調査死亡票」をもとに、窒息死した子どもの死因を分析した。
 詰まらせた食べ物は、マシュマロやゼリー、団子など菓子類が11人と最多だった。ブドウやパンに加え、から揚げやナッツ、そうめんもあった。不明は72人。0歳を含め年齢別の原因については、「個人の特定につながる恐れがある」(同庁消費者安全課)として明らかにしなかった。
 日本小児科学会などに寄せられた情報によると、2歳児が直径3センチ大のブドウを丸ごと食べた際、泡を吹いて意識を失った。0歳児が離乳食を詰まらせ、一時意識不明になった事故もあった。3歳児が口を大きく開けたときの大きさは39ミリで、これより小さなものは乳幼児が詰まらせる恐れがあるとされている。豆やミニトマトなど丸くて表面がツルッとしたものは特に注意が必要だ。
 同庁は予防策として、
・小さく切って食べやすい大きさにする
・ピーナツなどのナッツ類は3歳ごろまで食べさせない
・遊びながら、歩きながらは食べさせない

を呼びかけている。


<参考>
□ 「冬の病気と室内事故の予防と対策(MIKU)
□ 「誤飲したもので応急処置が違う!子どもが異物を飲み込んだ時の対処法」(保育のお仕事)
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麻疹の怖さを再確認

2017年03月15日 13時30分22秒 | 小児科診療
 麻疹の知識をアップデート。

「麻疹」(CDC Watch No.30 2010年7月)
概要
・麻疹についての最古の記録は9世紀のアラブの医師の医療記録。
・1954年、ボストンにおいてエンダーとピーブルズが麻疹ウイルスを分離した。
・麻疹ワクチン導入前は、すべての小児が15歳になるまでに麻疹に罹患していた。
伝播力
・感染力が強く、免疫を持たない人が感染者に接触すると約90%が感染する。
・麻疹ウイルスは環境表面に最大2時間生き続ける。
・麻疹はヒトの感染症であり、他の動物には感染しない。
合併症
・麻疹を発症した小児1000人あたり1-2人が麻疹により死亡する。妊婦では流産、未熟児、低出生体重児を引き起こしうる。低栄養やビタミンA不足がよくみられる発展途上国では、麻疹により4人に1人が死亡する。麻疹により毎年、世界では約100万人の小児が死亡する。
・麻疹患者の約30%が一つ以上の合併症を経験し、5歳未満と20歳以上に多い。
・肺炎:小児感染者20人に1人の頻度で、幼児で最も多い死因である。
・脳炎:小児感染者1000人に1人。小児の聾や精神遅滞を引き起こしうる。
亜急性硬化性全脳炎> SSPE:subacute sclerosing panencephalitis
・幼児期に感染した麻疹ウイルスによる中枢神経系の致死的変性疾患。
(以下は1989-1991年の米国での流行時のデータ)
・発生率は麻疹患者10万人あたり4-11人。1歳未満では18人/患者10万人、5歳以降では1.1人/患者10万人。
・麻疹感染後、平均7-10年後(1ヶ月〜27年後)に発症。
・平均生存期間1〜2年。
・脳組織から分離ウイルスはすべて野生株であった(麻疹ワクチンがSSPEを引き起こすというエビデンスはない)。


参考
・「病院における麻疹の集団発生」(CDC Watch No.50 2012年3月

 最近の記事も紹介します;

「はしかで毎日400人の子どもが死亡」とユニセフ、75%がコンゴ民・エチオピア・インド・インドネシア・ナイジェリア・パキスタンの6カ国
2016-11-10:ganas

 ユニセフ(国連児童基金)は本日、世界保健機構(WHO)などと共同で報告書「Progress Toward Regional Measles Elimination — Worldwide, 2000–2015」を発表し、はしかによる死亡数は2000年から2015年の間に79%減少したものの、現在でも毎日400人近くの子どもがはしかによって亡くなっている、と指摘しました。

◇ はしかから守られた幼い命
 「はしかを過去のものにすることは、不可能ではありません」とユニセフ予防接種部門チーフのロビン・ナンディ は述べました。「私たちにはそれを可能にする手段と知識があります。私たちに足りないのは、どんなに遠く離れていたとしても、すべての子どもたちに予防接種を届けるという政治的意志です。この決意がなければ、子どもたちは簡単かつ安価に予防できる病気によって、命を落とし続けるのです」
 ユニセフ、WHO、GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)および、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、はしか予防接種キャンペーンの大規模な実施や、はしかの定期予防接種普及率の世界的な伸びによって、2000年から2015年の間に推定2,030万人の幼い命が守られました。
 しかし、この前進は均等ではありません。2015年には、約2,000万人の乳児がはしかの予防接種を受けておらず、13万4,000人の子どもがこの疾病が原因で亡くなりました。世界ではしかの予防接種を受けていない乳児の半数、および、はしかが原因で死亡する人の75%が、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、ナイジェリア、パキスタンの6カ国に集中しています。

◇ 定期予防接種の普及とモニタリングの強化
 「毎年何百万人もの子どもが予防接種を受けられない、ということは受け入れ難いことです。はしかの感染を予防し命を守ることのできる、安全で効果の高いワクチンがあるのですから」と、WHOのジャンマリー・オクオ・ベレ医師(Dr. Jean-Marie Okwo-Bele)は述べています。「今年、北米から南米までの米州全域で、はしかの撲滅が宣言されました。これは、はしかの撲滅が可能だということの証明です。今こそ、世界の他の地域のはしかを撲滅させなければなりません。それは、予防接種から始まるのです」
 「はしかは、国の予防接種システムの強度を示す主要な指標であり、また、はしかの流行は、国が抱える深刻な問題に対する最初の警告になることが、しばしばあります」と、GAVIアライアンス事務局長のセス・バークレー医師は語りました。「ワクチンで予防可能でありながら、幼少期の子どもにとって世界で最も致命的な病気の一つであるはしかの撲滅に取り組むためには、定期予防接種の普及とモニタリングの強化に向けた、各国政府やパートナー団体の固い決意が必要なのです」

 はしかはウイルス性の感染症で、感染力がとても高く、接触感染および空気感染により拡大します。世界の幼い子どもたちの主要な死亡要因の一つである一方、安全で効果の高いワクチンを、適切な時期に2回接種することで予防が可能です。
 はしかの流行は、定期的な予防接種や大規模な予防接種キャンペーンに空白期間が生じることで引き起こされており、現在も多数の国で発生している深刻な問題です。2015年には、エジプト、エチオピア、ドイツ、キルギスタン、モンゴルで大規模な流行が報告されています。ドイツとモンゴルでは、より年齢の高い人々が感染したことから、はしかの予防を受けたことがない青少年や若い成人に対する予防接種の必要性が明らかになりました。
 はしかはまた、すべての子どもに対する予防接種が困難な、紛争下の国や人道危機にある国で流行する傾向があります。昨年は、ナイジェリア、ソマリア、南スーダンで流行が報告されました。

◇ すべての子どもに予防接種を届ける
 WHOが区分する世界6地域のうち4地域におけるはしかの撲滅は、世界的なワクチン行動計画(Global Vaccine Action Plan)の中間点における世界的目標です。「世界はこの目標を達成できていませんが、米州で出来たように、はしかの撲滅の達成は可能です」とアメリカ疾病予防管理センター代表のレベッカ・マーティン医師は述べました。
 「アフリカの格言で『子どもは村全体で育てるもの』とあるように、子どもたちをはしかから守るためには同じ地域の村々と世界の村々との協力した取り組みが必要です。はしかを撲滅することは可能ですが、そのためには、全員が与えられた役割を果たす必要があります。
 今年の報告書は、WHOが掲げたはしか撲滅に関する2015年までの目標が、達成できなかったことを示しています。その理由はすべての子どもに予防接種を届けられなかったためであり、そこには格差が存在しているのです。これらの格差を埋めることが必要です。
 格差を埋めるには、すべての子どもたちに予防接種を届けるために適切な人的・財政的資源を確保・活用し、はしかのあらゆる症例を見つけて対応し、さらなる感染を予防するための決意を確実なものにする必要があります。
 これらの努力は次世代のリーダーとなる子どもたちを守ります。そうすることで、すべての国が、感染症が流行した場合にその脅威を食い止める強力なセーフティー・ネットを保持し、確実に世界を脅威から守ることができるのです」(マーティン医師)

参考情報

・「世界的なワクチン行動計画」(Global Vaccine Action Plan)は、2015年までに世界の4地域ではしかを撲滅する目標を設定し、2012年の世界保健総会で採択された。すべての子どもに予防接種を届けられず、目標は達成されなかった。

・2000年以降、大規模なはしか予防接種キャンペーンを通じて、約18億人の子どもがはしかの予防接種を受けた。ユニセフは、米国赤十字社、国連財団、アメリカ疾病管理予防センター、WHOと協力し、2001年に、「はしか・風疹イニシアティブ」を開始。

・GAVIアライアンスは、ユニセフ、世界保健機関(WHO)、世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などが協同で行っているワクチン提供のためのパートナーシップ。2016年~2020年計画では、約10億米ドルの予算をかけて、百万人以上の命を救うことに貢献する開発途上国における総合的なはしか予防の取り組みに対する支援を予定している。

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