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ホワイトカラーエグゼンプション(4) EU[オランダ]のケース

2007-03-28 10:33:58 | 労働法
いまや「過剰労働」の問題と「格差」の問題(正規社員と非正規社員との格差)は世界共通の問題となっています。

その1つとして米国から輸入されようとしているホワイトカラーエグゼンプションを取り上げて来ましたが、米国では格差は個人が自ら選択した契約内容の違い、地域相場で決まるものとされていて、日本の事情とは異なります。

そこでEUではどうなのか(オランダのケース)も考えてみます。


オランダもバブル崩壊後に経済が落ち込み、ワークシェアリングによって経済の建て直しを計りました。
日本でのワークシェアリングは、正規社員を減らして低賃金の非正規社員を増やすだけで、家計は豊かにならず、消費も増えず、経済も停滞したままですが、オランダではパート労働者とフルタイム労働者の賃金を時給換算で同じにしたところが違いました。
その結果、パート主婦の賃金は上がり、家計も膨らんで消費が伸び、経済も活気を取り戻すことができました。

この成功を受けて、EU全体でも1997年にパートとフルタイム労働者の差別を禁止する指令を出し各国はこれを立法化しました。

しかし10年経ってどうなったかと言うと、「どうせなら責任の軽いパートに変わった方が良い」ということで特に学校では得意科目だけ教える教師が増え、教頭や校長になる人が減って学校の荒廃が進む、などといった弊害も出ています。


日本では、この格差問題については「最低賃金法改正案」で最低賃金を生活保護水準に配慮して引き上げることになっています。

ただでさえ労働に対する価値観の多様化・個別化から、日本でも労働時間の2極分化が進んでいます。(表を参照)
ここにホワイトカラーエグゼンプションを導入すれば2極化に拍車がかかるのですから、EUのような格差問題の対処法は日本にはそぐわないようにも思います。


またもちろんEUの施策にも良いものがあります。それはライフワークバランスと人間に必要な休息時間を認める観念です。

EUでは、加盟各国に対して「労働者は24時間毎に少なくとも継続11時間の休息時間をとる権利を有する」という立法化を指令しています。

つまり、深夜22時よりも働いた場合には朝9時より遅れて出勤しても良い(=11時間後だから)ということです。


良いとこどりになりますが、日本でホワイトカラーエグゼンプションが導入される場合には、健康・生命への企業の労働安全配慮義務として、このような枠組みも合わせて検討してもらいたいと考えます。

※表の出典※ 法政大学 浜村教授


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