この時期、バスフィッシングにおけるシーズナルな環境は、めまぐるしく変わります。
スポーニング(産卵)⇒ポストスポーン(産卵直後)⇒アフタースポーン(産卵後)⇒アフター回復(産卵で消耗した体力が回復した状態)と、
わずかな期間の間にバスのコンディションがグルグルと変わっていくのです。
当然、バスのポジショニングや行動も変化し、釣り方やルアー、狙う場所などもどんどん変わる。
このシーズナルな動きを捉えられないと、バスが求めているものに到達できず、まったくバスを釣ることができないのです。
前回の霞ヶ浦水系釣行では、ポスト〜アフターに狙いを定めて、なんとか狙い通りにバスをキャッチ。
でも、今回はすでにアーリーサマーに近いアフター回復の状態なのではないか? と判断しました。
少なくとも、ポストスポーンのバスはほとんどいないと思う。
そんなことをぼんやり考えながら、頭の中でゲームプランをこねこねしつつ、東関道を走りました。
まず、最初に向かったのは利根川。朝イチはやはり活性が高いシャローフラットでのフィーディングバスを狙ってみます。
↑牧歌的な景色。いいなぁ、ここ。黄色い小さな花がたくさん咲いていました。
前々日にまとまった雨が降ったせいか、ややステインなささ濁り。
これは想定したとおりで、少し濁りが入ったほうが、釣りやすいと考えていたのでラッキーです。
でも…… でもですよ。ベイト(エサになる小魚)がまったくいない…
実は、この状況も想定内。バス同様、ベイトフィッシュもめまぐるしく動くこの季節。
狙いのスポットに生命感がないこともあるに決まっている。要するに、時合いじゃないってことですね。
タイミングを変えて入れば、ガラリと状況が変わっていることもありますが、
そういうのって、一日中、しかも何日もフィールドを見てないと判断できないし、予測も困難そのもの。
『んじゃあ、いったいどうすんのよ???』
実はもうひとつのパターンも想定していました。
それはクローダッド(ザリガニ)パターン。
ザリガニや手長エビなんかが“わしゃっ!”と湧くこの季節。当然、そういうエサを捕食するバスも少なくない。
シェード(日影)やカバー(何かしらの障害物)の中でそういうエサを狙うバスをイメージします。
というわけで、利根川に見切りをつけて向かった場所は、すぐ近くの八間川です。
↑全面護岸されたキャナルです。カレント(流れ)は普段、ほとんどない。水深は平均して1〜1.2m程度でしょうか。
写真は八間川でもやや下流の堰から橋1つ分上流のエリア。
人気のスポットで、いつ行ってもアングラーを見かけます。
そこで、この下流域からかなり上流域のエリアを目指してクルマを走らせました。
↑八間川上流部。下流域よりさらに浅くなりますが、これから夏にかけてバスが濃くなるエリアです。下流はほとんど流れがありませんでしたが、上流部は上流に向かう逆流のカレントが。水が動いているほうが、いいと思うので期待大です!
霞ヶ浦水系って、ほとんどがコンクリートで護岸されています。
同じような調子で延々と護岸が続く。だから、ちょっとした変化にバスがつきやすい。
本当は水中に没した障害物や地形変化を知っていればベストなのでしょうが、
たまーに釣りに訪れて、それを知ることは限りなく不可能に近い。
とはいえ、目で見て分かる変化は誰もがルアーを入れるので、これまたプレッシャーが高い。
だから1投で確実に、しかもベストなルアーチョイスでのアプローチが必須。いかにして口を使わせるか? が勝負のキモです。
↑ありました、変化。『わっかりやすぅ!(笑)』。もう、みんな撃ちますね、ここは。田へと水を引いたり、あるいは田から排水する際に開閉する水門です。
こういう誰もが撃つようなスポットであっても、諦めずに撃つ価値は十分にあります。
なぜなら、いつもそこにサカナがいるとは限らないし、サカナの出入りが激しい場合もあります。
先行者が撃ったあとでも、ルアーやメソッドが違えば、バスの反応もまったく違ってきます。
可能性の積み重ねで、バイトの確率を上げていくのもひとつのメソッドですから“ここにはバスがいる!”と信じてキャストすることが大事です。
自分はこれまで、季節を問わずひたすらクランキングに明け暮れ、クランキングの何たるかを悟ろうとしてきました。
シーズンや状況に合っていないことがわかっていても、とにかく引き倒す。
それを重ねることでしか理解できないことがあると、尊敬するプロから教わったのです。
「クランキンを理解したい?だったらクランキンすればいいよ。一年中、いつでも。そうすれば必ずわかるよ。必ずね」。
この言葉を深く胸に刻んで、まさにひたすらクランキングのバカになってきました。
そして悟りを開くには、まだまだ未熟ながら、少しはいろんなことがわかるようになったいま、
これからはバーサタイルに釣りを変化させながら、そこにクランキングを活かすという、新しいステージを目指します。
というわけで、ここはひとつ、クランキングよりもマッチしたメソッドとしてフリッピンを選択。
バスがいそうな変化やカバーにソフトベイトをフリップしていくというものです。
フリッピンひとつとっても、これまでなら迷わずラバージグやテキサスリグなどを投入するところですが、
今回はまだ回復しきっていないバスがいることも想定して、よりスローなフォールを意識します。
↑ルアーはY-NOT。ラバージグやスピナーベイトの名作を生み出したスタンレー製のソフトベイトです。細かく深いリブがびっしり入っていますが、水を動かすためではなく、水の抵抗を増やしてバイト時の吸い込みをよくするためだそう。アームの先端15mmくらいは中空になっています。ラトルを入れることもでき、エアホールの効果で腕を上げたザリガニの威嚇ポーズを演出できるとスタンレーは謳っています。
写真のようにフックを逆にセットし、おしりにネイルシンカーを挿入します。
これで、ザリガニがゆっくりフォールする様子を演出するという狙いです。※決してスライドフォールはしません。
スーっと落とし込んで着底で一瞬のポーズ。バイトがなければピックアップして次のスポットを撃つ…ってやつです。
バイトを得たスポット。写真のとおり、太陽がほぼ真上なので、バスが好むシェード(日影)はほとんどありません。
逆にいえば、わずかなシェードが貴重なわけで、ここに水門から流れ込んでくるザリガニを待つバスがいることを期待して
対岸のスポットにソフトプレゼンテーションでベストな場所にルアーを落とすことができました。
ルアーをタイトにフォールさせるために、リールのクラッチを切ったままラインを引き出し……
『!!!!』
ラインを引き出すまでもなく、ルアーの着底を待たずして、すごい勢いで上流に向かってラインが走りました!
すぐさまクラッチ・オンでラインスラッグを巻き取って渾身のフッキング。
ガッ! と手応えが伝わると同時に、強烈なトルクでロッドがねじ曲げられました。
水面近くまできたバスを確認。「ヤバイYO、デカいYO!」
ルアーは完全にバスの口の中にあったので、歯でラインが切れやしないかハラハラしながら
手元に寄せて、がっちりバスの下アゴを掴みました。
とにかく元気なバスで、ラインをたぐっている間もヘッドシェイクが激しくて
14lbラインがプッツリ切れるんじゃないかと、ドキドキのランディングだったのです。
↑計るおっさん。自身の霞ヶ浦水系のレコードとなる49cm。ウエイトは1600g(3lb6oz)でした。
↑ロッド:セントクロイAC62-MXF。(ST.CROIX AVID AC-62MXF)
↑リール:シマノ スコーピオン1000、ライン:サンラインFCスナイパー14lb
↑キメるおっさん。あまりにも暴れるもんだから、親指がバスの歯でギリギリこすれて血が出ましたw
レコード更新なんだから、ほんとは大喜びのハズなのにちょっと複雑。キャッチしたバスは目がふやけていました。
霞ヶ浦水系では、こういう病気のバスを見かけることが多い気がします。
仕事で全国のいろんな水域を回りますが、奇形や病気の確率は、圧倒的に霞ヶ浦水系が高い。
理由はわかりませんが、環境によるものであることは確かでしょう。
農薬、生活排水、etc。何か重大な問題がある気がしてならない…
↑八間川には大小さまざまな規模の水路や溝が接続しています。夏に近づくほど、こういう小場所にもバスが入り込みます。
2匹目を期待して、接続する水路をチェック。ずいぶん奥まで歩いた所で40cm後半のバスが見えましたが、
すでに向こうもこちらに気づいていて、スゴい勢いで逃げていきました。くそ…しくじった……。
このあと、与田浦に移動しますが、ヘラ釣りの人が2人、ベストな場所にいたので、邪魔にならない程度にその周りを少しやって移動。
さらに北浦にも行ってみましたが、午後からの強風がモロに当たっていて、ドロドロに底濁り。
この日は早めの納竿として、いつものようにコンビニアイスをウマウマしました。
次の釣行はいつになるかわかりませんが、間違いなくサマーパターンになるはず。
どんな釣りになるのか、ちょっと楽しみでもあるのです。