札幌管区気象台は28日、雌阿寒岳の噴火警戒レベルを「1」(活火山であることに留意)から「2」(火口周辺規制)に引き上げた。
立ち入り規制はポンマチネシリ火口から半径約500メートルの範囲で、阿寒湖温泉などへの影響はないが、関係者は登山者に対して注意を呼び掛けている。
雌阿寒岳は2008年11月に小規模な噴火をして以降、小康状態が続いていたが、ことし4月以降は活動が活発化。
7月中旬から、さらに活動を強めていた。
釧路市は28日午後5時までに、阿寒町側の登山口に、6合目以上の立ち入り禁止を伝える看板を設置した。
29日朝、登山道の6合目に立ち入り禁止のロープを張る予定だ。
道警釧路方面本部、釧路署は午後4時にそれぞれ、警備課内に「災害警備連絡室」を設置し、情報収集の態勢を強化した。
釧路総合振興局は庁内に「第1非常警備体制」を敷き、情報収集した。
青山裕北大大学院地震火山研究観測センター助教は「06年と08年の噴火では群発地震が予兆として起きている。
今回も火山性地震が4月以降増え出し、先週末から急に増えた。
むやみに火口に近づかないことが大切だ。
ただ温泉街までは距離があり、心配することはない」と話している。
阿寒湖温泉では一時、緊張が走った。
ニュー阿寒ホテルでは28日午後4時すぎ、噴火警戒レベル2への引き上げを伝える携帯電話の緊急速報メールの配信音がロビーに鳴り、宿泊客から不安の声が上がった。
フロントの職員らが状況を説明したが「ホテルから雌阿寒岳までの距離は」といった問い合わせの電話も寄せられた。
富田和明総支配人(50)は「今のところキャンセルは出ておらず、今後も影響はないと思う。
風評被害が広がらないでほしい」と話した。
一方、8月2日に雌阿寒岳の登山道を清掃するイベントの実施を予定していた阿寒湖畔エコミュージアムセンターは中止を決めた。