交流の値(大きさ)の表し方には
最大値:Em(0-P)
平均値:E ave
実効値:E rms
の3つがあります。実際には、最大値(0-P値)と実効値がよく使われます。
サイン波交流電圧の瞬時値は
e(θ)=Em sinθ の式で表されます。(θ=ωt)rad
では、この瞬時値の式から、最大値、平均値、実効値を求めてみましょう。
最大値=Em ですから、これは問題ないですね。
【サイン波交流の平均値】
さて平均値とは、半周期の瞬時値を加算平均した値です。図で見ると、黄色の面積が瞬時値の加算値で、この面積を半周期:πで割り算したものが平均値です。
早速やってみましょう。
e(θ)=Em sinθ の半周期の面積:Esは
Es=∫0→π Em・sinθdθ です。
Es=Em[-cosθ]0→π
Es=Em{1-(-1)}
Es=Em・2 これが半周期の面積ですから、平均値はπで割って
E ave=Em・2/π となります。簡単でしょ?(^^)
【サイン波交流の実効値】
さて次は、少しだけ計算がじゃまくさい、実効値を求めてみましょう。
実効値=√(瞬時値の2乗の平均値) でしたね。
よって、実効値:E rmsは
E rms=√Em^2 √{(∫0→π sin^2θdθ)/π}
E rms=Em・√{(∫0→π sin^2θdθ)/π} を計算すれば得られます。
まずは、「瞬時値の2乗の平均値」(定積分の部分/π)を計算します。
さて sin^2θ はどうやって積分すればいいのでしょう。
これは少し技を使います。「加法定理」より
cos(θ+θ)=cos^2θ-sin^2θ
cos2θ=cos^2θ-sin^2θ
sin^2θ+cos^2θ=1 ですから cos^2θ=1-sin^2θ よって
cos2θ=1-sin^2θ-sin^2θ
cos2θ=1-2sin^2θ (2倍角の公式を知っていれば、一気にここまで来ます)
2sin^2θ=1-cos2θ
sin^2θ=1/2(1-cos2θ)
∫sin^2θdθ=∫1/2(1-cos2θ)dθ これなら積分できそうです。
∫0→π sin^2θdθ
=∫0→π 1/2(1-cos2θ)dθ
=1/2∫0→π 1-cos2θdθ
=1/2[θ-1/2 sin2θ]0→π
=1/2(π+0)
=π/2
これを実効値の式に当てはめます。
E rms=Em・√{(∫0→π sin^2θdθ)/π}
E rms=Em・√{(π/2)/π}
E rms=Em・√(1/2)
E rms=Em・1/√2
となってサイン波交流の実効値は、最大値:Em×1/√2 ということですね。
【おまけ】
加法定理
sin(A+B)=sinA・cosB+cosA・sinB (サインコサイン、コサインサイン)
cos(A+B)=cosA・cosB-sinA・sinB (コスコス、ひく、サンサン)
tan(A+B)=(tanA+tanB)/(1-tanA・tanB) (1ひくタンタン、タン加タン)
関連記事:交流の実効値② 算数としての微分と積分 2010-11-22
最大値:Em(0-P)
平均値:E ave
実効値:E rms
の3つがあります。実際には、最大値(0-P値)と実効値がよく使われます。
サイン波交流電圧の瞬時値は
e(θ)=Em sinθ の式で表されます。(θ=ωt)rad
では、この瞬時値の式から、最大値、平均値、実効値を求めてみましょう。
最大値=Em ですから、これは問題ないですね。
【サイン波交流の平均値】
さて平均値とは、半周期の瞬時値を加算平均した値です。図で見ると、黄色の面積が瞬時値の加算値で、この面積を半周期:πで割り算したものが平均値です。
早速やってみましょう。
e(θ)=Em sinθ の半周期の面積:Esは
Es=∫0→π Em・sinθdθ です。
Es=Em[-cosθ]0→π
Es=Em{1-(-1)}
Es=Em・2 これが半周期の面積ですから、平均値はπで割って
E ave=Em・2/π となります。簡単でしょ?(^^)
【サイン波交流の実効値】
さて次は、少しだけ計算がじゃまくさい、実効値を求めてみましょう。
実効値=√(瞬時値の2乗の平均値) でしたね。
よって、実効値:E rmsは
E rms=√Em^2 √{(∫0→π sin^2θdθ)/π}
E rms=Em・√{(∫0→π sin^2θdθ)/π} を計算すれば得られます。
まずは、「瞬時値の2乗の平均値」(定積分の部分/π)を計算します。
さて sin^2θ はどうやって積分すればいいのでしょう。
これは少し技を使います。「加法定理」より
cos(θ+θ)=cos^2θ-sin^2θ
cos2θ=cos^2θ-sin^2θ
sin^2θ+cos^2θ=1 ですから cos^2θ=1-sin^2θ よって
cos2θ=1-sin^2θ-sin^2θ
cos2θ=1-2sin^2θ (2倍角の公式を知っていれば、一気にここまで来ます)
2sin^2θ=1-cos2θ
sin^2θ=1/2(1-cos2θ)
∫sin^2θdθ=∫1/2(1-cos2θ)dθ これなら積分できそうです。
∫0→π sin^2θdθ
=∫0→π 1/2(1-cos2θ)dθ
=1/2∫0→π 1-cos2θdθ
=1/2[θ-1/2 sin2θ]0→π
=1/2(π+0)
=π/2
これを実効値の式に当てはめます。
E rms=Em・√{(∫0→π sin^2θdθ)/π}
E rms=Em・√{(π/2)/π}
E rms=Em・√(1/2)
E rms=Em・1/√2
となってサイン波交流の実効値は、最大値:Em×1/√2 ということですね。
【おまけ】
加法定理
sin(A+B)=sinA・cosB+cosA・sinB (サインコサイン、コサインサイン)
cos(A+B)=cosA・cosB-sinA・sinB (コスコス、ひく、サンサン)
tan(A+B)=(tanA+tanB)/(1-tanA・tanB) (1ひくタンタン、タン加タン)
関連記事:交流の実効値② 算数としての微分と積分 2010-11-22
お間違いではないでしょうか??
=1/2∫0→π 1-cos2θdθ
=1/2[θ+1/2 sin2θ]0→π
その通りですね、符号を間違えています。
=1/2∫0→π 1-cos2θdθ
=1/2[θ-1/2 sin2θ]0→π
が正解ですね。
本文の方も修正しておきます。
ホントにありがとうございました。(^^)
ホロンさんのサイトのように
分かり易く電磁気学を教えて下さる方がいらっしゃると
本当に助かります。
これからも更新、お願いしますね!
最近はなかなか更新できずに停滞気味ですが、マイペースでやっていきますので今後ともよろしくお願いします。
ホームセンターなどで手軽に入手できるテスターでさえACレンジもついていて、LCD表示・・・でもACの値は「サイン波の実効値」でないと正しい値ではない・・・。
まぁ、中には「ピークホールド」のテスタもありますが・・・。まぁ、例外というものはあるようで・・・。
ACレンジの測定に関しては「ミリバル」があったほうがいいなぁ~、と思う私でした。ホロンさんは「バルボル」のほうがいいですか?
実はミリバルもバルボルも昔よく耳にしましたが、恥ずかしながらどちらもどういうものか知らないのです。
「演算増幅器」以前から存在していたもので、ほとんどがACカップリングです。
「ミリバル」っていうのはディスクリートが出てきてからの「バルボル」の代替品です。
「ミリバル」って呼び方の頃になると、直流レベルでミリボルトの計測ができるモノがありました。
どっちにしても「古い」には違いないし、知らなくても困らないのでした!
今は高性能(テスターではなくて)なマルチメータが普通にありますからね!
35年前に私がバイトをしていたダイナベクターでは、今でいうDMM(ディジタルマルチメータ)をディジタルテスタと呼んでいました。まだテスターサイズのものはなく、据え置き型のものでしたね。この後ディジタルテスタがどんどん登場して、これらも含めてディジタルマルチメータと言うようになりましたね。