文明ロード

開店までの生々しい道のり

Vol.25「事業計画書と面接と結果」

2007年06月26日 | Weblog
 俺と同様に、開業を考え、国金に融資を仰ぐ人なら、
多くの人が一度はひとりごちたであろう、この世の大矛盾がある。

 「融資をうける前に物件取得契約書が必要」
・・・物件契約してから結局融資がおりなかったらどないすんねん!

「月の売上や客数を推定し、それが客観性のある数字であること」
・・・そんなもんやってみないとわからへんわい!

などなど、なんで関西弁なのかはわからへんが(笑)、
これはたぶん多くの開業しようと思う人々の共通の意見だろう。
俺もこれら融資の際の大矛盾に悩まされた一人である。

 「事業計画書」というものの重要性は俺もかなり理解している。
探検、航海には地図が必要だ。
俺は融資先のためというより、自分自身のために、
暗闇で明かりを照らすために、
この4年間で118冊の関連本を読み漁ったり、
現場のマスターに直接訊いたりして、なるべく信憑性のある情報を得てきたつもりである。

 国金の事業計画書シートは、たった一枚の用紙である。
俺にとってはこの一枚でおさまるわけがないし、
他の書式での提出でも構わない、ということだったので、
勝手に自由に作成した。
もう一回くりかえすけど、自分のためという意味のほうが強いため、
やけに重厚なものになった。
国金の面接担当者の第一声は「随分詳しい計画書ですね」だった。
なにしろA4サイズ36ページに及ぶ冊子である(笑)。
面接官が質問しようと思う事項はほぼ完璧に網羅されているわけで、
面接官としても、ず~っと俺の計画書とにらめっこ状態で、
チェック事項は全て書いてあるので、あまり質問も出ず、
「コンサルティングか何かつけられたんですか?」と言われたときは、
嬉しくもあり、カンニングの疑いをかけられた生徒のような気分でもあった。
でもまぁ、これまでのインプットの集約であるわけだから、
大きな意味では確かにカンニングなんだろう。
 
 俺が事業計画書の中で最も悩んだのは、他の多くの人達と同様、
売上や客数の推定である。
極論を言えば、さっき関西弁で言ったように、
「そんなもんやってみないとわからへんわい!」
ってことになる。
しかし、なるべく根拠がある数字を知りたかった。

 たとえばこれまでに読んできた業界本やノウハウ本の中で、
びっくりするほど共通して、「家賃は売上の10%以内にする」
っていうのがあるんだけど、
本当に本当か?10万円の家賃のところで、
100万円の売上上げられるか!?
10万円の家賃って、相当安いぞ。たぶん10坪はないし、立地もよくないぞ。
100万円の売上って、結構大変だぞ。商圏的に満足いくとこじゃないと、
それに100万円の売上のところならスタッフ雇わないと厳しいぞ。
と、俺は実際の感覚的にこう感じていて、おそらく間違いはないはずなのだ。
でも、どうしてこう、猫も杓子も、
どの本も「家賃は売上の10%以内で」ってなっているのか?

 まぁ、家賃の件は別にそれはそれでいいとして、
やはりポイントは一日の来店客数と売上の目算方法で、
スタンダードなものとしては、席数×回転率と客単価などと、
これも猫も杓子も同じことが書いてある。
なんたって国金自体、この試算方法を取り入れている。
しかし俺はもっと確実なスゴイ方法というか計算式みたいなものを知ってしまった!
自分自身がしっくりくるために、いろんな人の話を聴いたり、まとめたりした結果の、
かなり信憑性のある出し方を俺は見出したのだ。
これは我ながらの大発見であり、おそらく多くの開業者たちが最も知りたい事柄だとも思う。事実、過去の俺なら知りたくて知りたくてどうしようもない情報だったから。

 あまりにスゴイことだからなんとなく書かないでみることにする(笑)。
ここであっさり俺の4年間の実証データを全世界にオープンにすることもなかろう、と。
 でも、例えば綱島のT師匠は自分の店の売上や客数もズバリ俺に教えてくれた。
だいたいの人数を教えてくれた神戸のマスターもいたし、
今後もし我が珈琲文明に来店して、直接この質問をしてきた人がいたなら、
俺もオープンに話すことに決めている。
自分の店のことっていうよりももっとスゴイこと。
あらゆる個人店に応用がきく、黄金率を。
大袈裟!?いや、結構すごいことだと本気で思うんだけど・・・。

 ところで、かつて三軒茶屋にある一戸建てのカフェに行った時に、
「私も横浜でカフェをやりたいって思っているんです」と話し、
「ここは何坪くらいですか?」と訊いたところ、
そこのマスターが、「私は開業のアドバイザーでもないし、仕事(今やってるコーヒー作ったりすること)もありますので、あまりそういう質問は・・・ご理解いただけますか?」
と、言葉丁寧ではあるが、会話を拒絶されたことがある。
 もちろん初めていく所でいきなり売上とか客数の話なんかするつもりはない。
坪数を訊いただけである。というより、そんなもの見ればわかるわけで、
だいたい1階と2階あわせて15、6坪目算で間違いないのを知ったうえで、
社交辞令的に会話として言ってみただけだったのだが、
たぶんそこのマスターは、同業者や競合者になんでそんなことを教えなきゃなんないんだ!っていう気持ちだったんだろう。
 俺はこういうマスターにだけはならないでおこう、と固く誓ったので、
お店に来た人にはなるべくオープンに話していこうと思っている。

 さて、話がそれたが、融資の面接が終わり、結果は?

見事、満額融資が決定した。
これにて史上最大の借金をかかえたことになり、
もう後戻りは出来ない。猛進あるのみである。