これは集合住宅等によく使われている雨樋(塩ビ管)のサンプルです。現場から指定されるメーカーは2社程度で、色は3~4色しかありません。いつも外壁色にぴったりと合うものがなく、選定に苦労します。
建築設計においては、このような設備を出来る限り露出させないような工夫や配慮が行われますが、どうしても人目につく場所に出現せざるを得ない場合もあります。ですから、色彩計画の初期段階から、このような設備(=色が限定されるもの)の位置等も踏まえ、素材や色彩の選定にあたります。
メーカーが限られますから、このサンプルは事務所にいつも置いてあります。ある時気がつくと、スタッフがマンセル値を測り、数値を記載したテープを貼っておいてくれました。
●ホワイト色 2.5Y 8.5/0.5
●シルバー色 5Y 7.0/1.5
●クリーム色 2.5Y 7.5/2.0
●ココア色 7.5YR 5.0/2.0
いずれも視感測色による近似値ですが、選定の際とても役に立ちます。
背景色と全く同色にすることは出来ませんが、“出来るだけ目立たなくする”ことは可能です。背景となる壁面の色に対し、
●背景色(外壁)よりも明度は低め
●背景色(外壁)よりも彩度は低め
●上記を満たした場合、色相はより近い方
という選定基準が考えられます。とすると、高明度の外壁以外ではホワイトは滅多に使うことがない、ということになります。実際、私もほとんど使ったことがありません。中・低明度に対しての高明度色というのは、最も視認性の高い配色です。交通標識や公共のサイン等には、やや明度の低い地色に対し白抜き文字が多く見られますが、これが2色以上の差を最も認識しやすい配色です。
次に近似の明度のシルバー色とクリーム色がありますが、クリーム色はやや彩度が高く黄味が強く感じられます。特にYR系やR系、N系の外壁色に対してはより黄味が強調され、背景色よりも目立ちやすい色です。
最後のココア色ですが、これも彩度が2.0程度とやや強い色味を持っています。ですが、煉瓦タイル等を使用した際には、やや低めの明度で色味のあるものも必要です。使用頻度は少ないとは言え、暖かみのあるR系やYR系の彩度3~5程度の色彩を使用する際は、同調する設備の色彩も少し色味を持たせた方が、馴染み易くなります。
近年、建築物の外装色は高明度化の傾向にあります。住宅でも重く暗い印象を与えるとされ、低明度色を避ける傾向は強まっています。中・高明度色を基調色とする場合、明度8.5のホワイト色は背景よりも目立ちやすいため、馴染ませるという観点で見れば彩度の低いシルバーが最も使いやすい、ということになります。4色の中では万能選手、という感じです。実際、このシルバー色を選定することが7~8割以上を占めています。
それにしても、たった4色で様々な建築物の外装色に対応させよ、というのは中々厳しいものがあります。設備色が限定されるから、その色に併せて外装色を検討しよう、ということはもちろんありませんが、例え管理等の問題から4色しか生産出来ないにせよ、もう少しそれぞれに使いやすい4色がありそうに思います。
※ちなみに、コストはかかりますが、樋にはステンレスや鋼管もあり、塗装して背景の壁面と同色で仕上げる場合もあります。
建築設計においては、このような設備を出来る限り露出させないような工夫や配慮が行われますが、どうしても人目につく場所に出現せざるを得ない場合もあります。ですから、色彩計画の初期段階から、このような設備(=色が限定されるもの)の位置等も踏まえ、素材や色彩の選定にあたります。
メーカーが限られますから、このサンプルは事務所にいつも置いてあります。ある時気がつくと、スタッフがマンセル値を測り、数値を記載したテープを貼っておいてくれました。
●ホワイト色 2.5Y 8.5/0.5
●シルバー色 5Y 7.0/1.5
●クリーム色 2.5Y 7.5/2.0
●ココア色 7.5YR 5.0/2.0
いずれも視感測色による近似値ですが、選定の際とても役に立ちます。
背景色と全く同色にすることは出来ませんが、“出来るだけ目立たなくする”ことは可能です。背景となる壁面の色に対し、
●背景色(外壁)よりも明度は低め
●背景色(外壁)よりも彩度は低め
●上記を満たした場合、色相はより近い方
という選定基準が考えられます。とすると、高明度の外壁以外ではホワイトは滅多に使うことがない、ということになります。実際、私もほとんど使ったことがありません。中・低明度に対しての高明度色というのは、最も視認性の高い配色です。交通標識や公共のサイン等には、やや明度の低い地色に対し白抜き文字が多く見られますが、これが2色以上の差を最も認識しやすい配色です。
次に近似の明度のシルバー色とクリーム色がありますが、クリーム色はやや彩度が高く黄味が強く感じられます。特にYR系やR系、N系の外壁色に対してはより黄味が強調され、背景色よりも目立ちやすい色です。
最後のココア色ですが、これも彩度が2.0程度とやや強い色味を持っています。ですが、煉瓦タイル等を使用した際には、やや低めの明度で色味のあるものも必要です。使用頻度は少ないとは言え、暖かみのあるR系やYR系の彩度3~5程度の色彩を使用する際は、同調する設備の色彩も少し色味を持たせた方が、馴染み易くなります。
近年、建築物の外装色は高明度化の傾向にあります。住宅でも重く暗い印象を与えるとされ、低明度色を避ける傾向は強まっています。中・高明度色を基調色とする場合、明度8.5のホワイト色は背景よりも目立ちやすいため、馴染ませるという観点で見れば彩度の低いシルバーが最も使いやすい、ということになります。4色の中では万能選手、という感じです。実際、このシルバー色を選定することが7~8割以上を占めています。
それにしても、たった4色で様々な建築物の外装色に対応させよ、というのは中々厳しいものがあります。設備色が限定されるから、その色に併せて外装色を検討しよう、ということはもちろんありませんが、例え管理等の問題から4色しか生産出来ないにせよ、もう少しそれぞれに使いやすい4色がありそうに思います。
※ちなみに、コストはかかりますが、樋にはステンレスや鋼管もあり、塗装して背景の壁面と同色で仕上げる場合もあります。