特殊清掃「戦う男たち」

自殺・孤独死・事故死・殺人・焼死・溺死・ 飛び込み・・・遺体処置から特殊清掃・撤去・遺品処理・整理まで施行する男たち

人間注意報

2011-03-24 12:17:11 | Weblog
大地震から間もなく二週間が経とうとしている。
それは、それまで“当り前”だと信じていたことが当り前じゃなくなるショックを現実に引き起こした。
そして、それは今も、平安を求める人々の心を、既成の価値観を、余震のように揺さぶり続けている。

温かい食べものがある。三食が当り前にある。糧となる仕事がある。
汗垢を流せる風呂がある。夢に入れる床がある。雨風しのげる家がある。
家族・知人が無事にいる。少しは他人を思いやれる自分がいる。
被災地や被災者の苦境に対する反射的幸福感ではあるけど、そのありがたさが身に染みる。

私の生活圏は、日常を取り戻しつつある。
スーパーやコンビニには商品が戻りつつあり、一昨日あたりからはGSの列も見られなくなった。
地震前には当り前だった光景なのに・・・なんだかホッとさせられるものがある。
とりわけ、私はガソリン不足に神経を尖らせていたため、通常営業しているGSを見ると喜びさえ感じる。

しかし、まだ、ほとんどの店は照明を暗くしている。
多くの人が節電の重要性を理解しているのだろう・・・今や、節電は、世間を漂う当り前の空気になっている。
薄暗くなった世の中を象徴しているように見えるのが難点だけど、これは、非常にいいことだと思う。
自然環境にも優しいし、停電防止にも効果があるだろうから。
私も、暖房を使わないようにしたり早く寝るようにしたりと、ささやかながら節電を心がけている。
皮肉にも、このところ時節に合わない寒さが続いているけど、厚着してしのいでいる。

その甲斐あってか、今のところ、不慮の停電は起こっていない。
ただ、やはり計画停電は避けられない様子。
「夏までで終わらず、冬まで続く」などといった情報もある。
ただ、一日に三時間程度、それが一回か二回あるくらい。
何日も続く停電はキツイけど、それくらいなら我慢できる。
経済への悪影響が懸念されるけど、これも復興の一助になるのだろうから、不平不満は後回しにして積極的に協力したい。
大きな負担は、一人一人が小さく分け合えばいい。
今は、全体の利益(国益)のために、個々が辛抱するべきときだと思う。
その昔、泣き虫の滝沢先生が言っていた「One for all  All for one」の精神だ。

原発の問題は、相変わらず深刻。
現地で作業する人達、問題解決に死力を尽くしている人達には、頭が下がる。
そんな人達の尽力を知ってか知らずか、放射性物質に関するデマは、身近なところにいる知人からも涌いてでた。
露になったその本性は、残念を通り越して不快なものだった。
「まず、その口を閉じろ!」「そんなに恐けりゃ勝手に逃げりゃいいだろ!」
私は、そう言いたくてたまらなくなった。

有事のときこそ、その人間性は際立つもの。
問題は、事の真偽ではなく、その人格だ。
ただ、そんな人を批難することもまた、生産性のない感情を浪費するだけ。
今、やるべきことはそんなことではない。
良心を行動に変えて励んでいる人は、人の批難なんかせず、今やるべきことに没頭している。
人間を見ず、善行を見て、見習うべきところは見習いたい。


今、多くの国民が復興を志して、それぞれの役割をこなしている。
列島には、人の善意や善行があふれている。
そんな中にあって、残念なニュースもでてきた。
デマの吹聴や批難意見の展開だけならいざ知らず、地震便乗商売、義援金詐欺、震災泥棒etc・・・
よくもまぁ、こんな時にそんなことができるものだ。
たいして善人ではない私でも、そんな輩には憤りを覚える。
一体、どういう神経をしているのだろうか。

そうは言いつつ、同時に、人間という生き物の悪性をあらためて思い知らされている。
人間は善いこともできるけど、悪いこともできてしまうもの。
行動に移すか移さないか違うだけで(これが大きな違いだけど)、人間は、その内面に如何ともしがたい悪性を抱える。
決して、他人事ではない。
他人の悪に目がいきがちだけど、自分の中に潜む悪性を省みることもまた、善性を育むにあたって大切なことだと思う。


大災害の話題に続けるには、あまりに小さなことで恐縮だが・・・
どこかに、特掃隊長のニセ者がいやしないだろうか・・・???
非公開コメント欄に入ってくるコメントに、私の他に特掃隊長がいることを疑わせるものが入ってきているのだ。
私や管理人の考えすぎか当人の妄想か空想かであればいいのだが、どう読んでも、やはり、読者の誰かが「特掃隊長」を騙る誰かに騙されている、もしくは、関係のない誰かを特掃隊長と勘違いして傾倒している感が否めない。
この類は文章が盗用されるのとはわけが違うから、自意識過剰を承知のうえで、今回、注意を喚起することにした。

ブログを書くようになってから5年が経とうとしているけど、私は、読者の誰かと個人的に知り合いになったり、プライベートな関わりを持ったりしたことはない。
奇特なことに、個人的な付き合いを希望してくれる人もいたけど、管理人を通じて丁重に断っている。
また、特定個人のホームページやブログを見る習慣もない。
当然、誰かのブログにコメントを入れることもない。

活動範囲は、ほとんど首都圏を中心とした関東圏。
ごくたまに、甲信越・東北地方に行くことはあるけど、北海道にまでは行かない。
また、東海・北陸から西は他支店がカバーしているため、私が出向くことはない。
仕事の依頼者や関係者の中にブログ読者がいたことは何度かあるけど、それでも、自分が特掃隊長であることは否定してきている。
「隊長に来てほしい」と指名を受けた場合は、先入観が重荷になって動きにくくなるので、完全に他の者に任せるか、または自分が主担当に就かないようにしている。
今まで、自分が特掃隊長であることを外に認めたのは、取材を受けた際の雑誌社や出版社、一部のメディアくらい。

私は、実社会の人間関係と同じで、書き手と読み手の間にも適度な距離感があった方がいいと思っている。
顔も名前を知らない間柄だからこそ、照れも、見栄も、体裁も、羞恥心も薄めることができるわけで、そういう関係だからこそ、共有できる何かがあるから。
だから、もう一人の私である「特掃隊長」はブログ上にのみ存在する者とし、そこら辺の実社会には常駐させていないのである。
そして、これからも、このスタンスが変わることはないだろうと思っている。

とにもかくにも、地震便乗商法・義援金詐欺・震災泥棒、そして、いるかもしれないニセ特掃隊長と自分の中の悪人には、くれぐれも注意されたし!



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