初心者のクラシック

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パガニーニの主題による狂詩曲 (ラフマニノフ作曲)

2007年01月22日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲です。

これは、パガニーニ作曲の「24のカプリース」の第24番のメロディを使って、この24番だけをさらに24の変奏曲にしている曲です。

パガニーニ作曲の方では独奏ヴァイオリンのための曲ですが、こちらはピアノとオーケストラのために作曲されています。「ピアノ協奏曲」みたいな感じで聴ける曲ですね。

パガニーニのひとつの主題(メロディ)を更に深く掘り下げて、ピアノを中心に様々な展開をめまぐるしく聴かせてくれますから、それに合わせたいろんな要素をオーケストラでも聴かせてくれます。序奏を加えると全部で25の曲から構成されているようですが、今回は一気に全部を紹介してみます。
 24の変奏曲(ヴァリエーション)が文字通り面白い展開を聴かせてくれます。


  鮮やかな弦楽器の動きの中に低音のピアノが重たく響きます。やがてヴァイオリンが パガニーニのメロディをサラサラと軽快に奏でると次にはピアノがテクニックを交えて その後を追います。
  ピアノにヴァイオリン、フルートの掛け合いは絶妙のタイミングに聴き応えがありま す。テンポ良く流れに乗った三者の絡み合いがめまぐるしく続くと、再びピアノにスポ ットがあたり、緩急の効いた駆け巡るようなメロディラインを聴かせてくれます。
  テンポが少しゆるやかになると、曲想も静かになり辺りを覗うようなひっそりとした メロディにイングリッシュホルンがアクセントを加えていきます。
  さらに曲調が静かになり、ひっそりとした様子にファゴットが聴こえ始めるとピアノ の響きもとても寂しく聴こえてきます。
  ピアノが急に激しく響き出すと、それまで抑えていたものを一気に吐き出すようにド シドシとうなり始めます。
  低音のクラリネットが鳴るとピアノも少し落ち着いたように聴こえてきますが、すぐ にトランペットがシンバルを加えてめまぐるしく派手に鳴らすと、勢いに乗ってスピー ドアップしていきますが、徐々に収まり静かになっていきます。
  それまでとは曲調も一変し、静かな雰囲気の中にしっとりとしたピアノがうなだれる ように始ります。そして、未知の世界へ誘うかのような幻想的で流れるような響きを聴 かせると、まるで忘却の彼方へ連れて行かれるようにホルンの響きが呆然とした世界を 創り出します。ピアノは唯々流れの中をさまようようにポツリポツリとその響きに任せ るままになります。
  ピアノが緩やかに漂うと、急にテンポが変わりゴツゴツとした弦楽器がゆさぶるよう に激しいリズムを聴かせます。
  打楽器とピッコロがピシャリと区切りを付けると、気合が入ったようにシャキっとし た曲調に変わり、目の覚めるようなトランペットが鮮やかに鳴り響くとスカッとした気 分になります。
  すると、ピアノにも気合が入ったかのように鮮やかに華麗なテクニックを存分に展開 していきます。流れるようなメロディラインには圧倒されてしまいます。
  急に斜に構えたようにエキゾチックな怪しいフレーズに変わると、オーボエの魅惑の 響きが流れてきます、どよめく弦楽器の中にピアノと、そして妖艶なヴァイオリンのソ ロがとても印象的なフレーズで聴かせてくれます。
  何かとんでも無い事が始るような前触れのようなピアノの重いフレーズに弦楽器も調 子を合わせてくると、トランペットの無機質な高音が不気味な世界をかもし出します。
  ピアノのフレーズが穏やかになり、少し明るい兆しを見せたかと思うと、美しい弦楽 器のフレーズが、雲間からこぼれる日差しのようにまぶしく聴かせてくれます。それま での混沌とした展開があるだけに弦楽器の美しいフレーズはまぶしくて目を開けていら れないと感じるほど、壮大に聴かせてくれます。
  やがて淡々としたピアノが始ると弦楽器もざわざわと、どよめき出し、ピアノもその 変化に呼応するように徐々にフレーズを盛上げていきます。そして、溜めて溜めて曲を 更に盛上げると、ピアノが鮮やかなフレーズ叩きだし、シンバル、ティンパニ
 (大太鼓)、スネヤドラム(小太鼓)に力を借りると曲調も派手なものに変わっていき ます。
  そして、怒涛のクライマックスを迎えると最後はピアノがポツリとつぶやくようにし て終わります。

 演奏時間はだいたい25分程度ですからひとつの主題は1分前後とそれぞれの曲はとても短いんですが、1曲づつが、かなり充実した内容になっているので、飽きる事無くというか、かなりめまぐるしい展開を聴かせてくれますから、聴いていても次々に始る曲が楽しみになってくる曲だと思います。
 狂詩曲(ラプソディ)と名前がついているだけに、なんとなくガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」を思い出してしまうのは自分だけでしょうか?

≪オススメCD≫
ラフマニノフ:ピアノ作品集
プレヴィン(アンドレ), アシュケナージ(ウラジミール), ロンドン交響楽団, ラフマニノフ
ユニバーサルクラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
様々な曲調は気分転換には持って来いの曲かもしれません。

♪パガニーニの24のカプリースの記事はこちら


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ガーシュイン (bra??)
2007-01-22 02:07:42
今年は没後70年ということで、強引な気がしますがガーシュインの作品がユニバーサル・クラシックから、リリースされるそうです。
ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲はラフマニノフ自身による演奏のCDを持っていますが、淡々としています。なぜか自作自演には淡々としているものが多いように感じます。ラプソディ・イン・ブルーの自作自演はクラシックというよりジャズで、よく耳にするような演奏に比べ淡々としています。
自作自演は淡々としているという方程式でもあるのでしょうか?
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自作自演 (けい)
2007-01-22 22:09:25
CD店でクライスラーの自作自演というタイトルのCDを見たときに「おお~」と思ってすごく興味を持ったのは覚えていますが、その時には別のCDが目的だったのでそのまま素通りしてまいした。
だから、自作自演の録音はラフマニノフのものはもちろんガーシュインのも聴いたことはないんですが、唯一聴いたことのある自作自演はラジオで、ショスタコーヴィチの2台のピアノのための作品を息子のピアニストと一緒に録音したものを聴いたことがあります。
とてもテンポが早く喜び勇んで競い合っているような、楽しい演奏に聴こえました。まあ身内同士での事ですから、気楽に録音してたのかもしれませんが、自分の作品を演奏するときには、入れ込みすぎると照れくさいから淡々としたものになってしまうのかもしれませんね。
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