昨日の新宿デモの簡単な報告。
参加者2万人と主催者発表されたが、これがデモ中の人数なのか、その後アルタ前集会に集まった総数(都内他地区のデモからの合流を含む)なのか、はっきりしない。例によって小グループごとに分断され、全体が一度に把握できないので、デモ自体の人数はもっと少なかった印象がある。まあここまで来ると、数字なんてどうでもいいけど。本質的に盛り上がってることに変わりはないので。
ただ今回新宿警察は、並進規制と交通整理にほぼ徹してくれて、時折先導車から型どおりのアナウンスが投げられたりはしたが、渋谷の時に比べると、ほとんど挑発的なところがなかった(ゴールのアルタ前は別。後述)。それが所轄の違いによる方針の差なのか、渋谷での露骨な挑発・抑圧行動に対する世論の剣呑なムードに対する配慮からなのか、わからないが。
デモ参加者の側も前回渋谷での経験をふまえて、警察の過剰警備(妨害行為)を牽制するポスターやプラカードを用意している人が多数。特にサウンドカーには発進前から参加者が張り付いて、警官が割り込む余地をなくすようにしていた。ただ、それがなくても、今回の警察には割り込みをするプランはなかったようだった。 またさらに、渋谷では車道のデモと歩道の人達の間に壁があったが、今回新宿ではかなりな数の人が歩道に流れ込んで行進した。靖国通りなど、歩道と車道の境目がなくなるくらいの状況が生まれ、これがやはりとてもいい感じ。何も組織だってそんな指示があったわけではないので、多くの人がそうした方がいいと自然に思った結果だと思う。
今回のデモで(あらためて)気づいたこと・思ったこと。
○サウンドカーは、生バンド系よりラップの方がいい。
人それぞれ音楽の好みはあるので、数台のうち一台くらいは生バンドでガンガンのロックがあってもいいけれど、ほとんど歌っている内容が聴こえない。これは今のところ、出演者がハードコア/パンク系のバンドに偏っているせいでもある。僕自身はそういうヘヴィな音は全然OKだが、せっかくの場があるのに伝えるべきエモーションが足りないので、もっとメロウな歌ものも含めて、多彩な音楽スタイルの演奏者を揃えてほしいと、今回はさすがに思ってしまったのである。
それにも増してラップだと、歌詞を味わいながら、またサビのところで声を合わせながら歩くことができる。ラップはデモのリズムにぴったりだと、あらためて感じた。横を通ったバスの乗客からも手拍子が起こるシーンがあったりして、参加者と通行者の境目をなくす効果という意味でも、ラップは垣根が低い音楽ツールだということを発見。
今回DJカーは1台だけで、参加アーチストも少なかったのが残念だった。
(今回一番感動した曲。ECDの「EXODUS11」http://natalie.mu/music/news/46499
ラップで初めて泣きそうになった。 )
○日本のデモは、プラカードが面白い。
他国のデモの写真や映像と比べても、絵や写真を使ったプラカードの表現の何と多彩で面白いことか。これは日本人の得意分野で、日本人は「鳥獣戯画」の古来より、なぜか絵でコミュニケートする能力が発達している、と僕はかねがね思っていた。
マンガの場合などは、日本国内でしか通じない楽屋落ちみたいなネタもあるけれど、基本的には国内へのアピール優先のものだし、何だかわからないなりに他国の人へのインパクトもあるだろう。もっともっと絵・マンガのアイデアを伝え合い、量産していったらいいと思うのである。
アルタ前に着いたのは6時少し前くらいで、集会の申請はしてあるはずなのに、警察が「デモはすみやかに解散しなさい」というアナウンスを断続的に入れていた。警察車両を何台も要所にはべらせ、元々デモ行進よりも、こちらの警備に力を入れる予定だったのかな、と思わせる様子だった。
もちろん、主催者も参加者もガン無視して集会を続行。しまいには警察もほとんど何も言わなくなった。
主催者「素人の乱」の人達は、社民党の提供した宣伝カーの上に乗って集会を進めていたが、それ以外の二箇所で音が鳴っていた。一つはノンストップで延々ジャム・セッションを繰り広げていた打楽器と管楽器のグループ。もう一つは反対側でスピーチをしていた人達のグループ。場所によってはそれらの音が混ざって、本来の主催チームの音声が聞こえないところもあったが、まあこうした混乱状態がある意味醍醐味であって、あまり一元化した形に束ねようと躍起になる必要はないと思う。
終わり頃、スタジオアルタのビルの外壁にプロジェクターによる、政府へ要求項目と題する文字の投影があった。
1.稼働中の原発の停止
2.定期検査中等で停止している原発を再稼動しないこと
3.原発の増設中止
4.児童の許容被曝量20ミリシーベルト/年の完全撤回
5.原子力発電から自然エネルギー発電への政策転換
様々な動機、思想背景の人達が集まってはいたが、この5つの要求についてはとりあえず異論はないだろう。特に4の「子どもを守れ」ということに関しては、脱原発派どころか、推進派の人間だって同じ気持ちのはずだ。というか、推進派こそが、真っ先にそれを言い立てて行動する道義的責任があるはずだろう。現実は全然そうなっていないけど。
ちょっと簡単すぎる報告かな。集会でのゲストも多彩ですごかった。フランス緑の党の人(名前は聞き逃した)やグリーンピース・インターナショナル事務局長までが登場し、国際色も出てきた。、そんな中で、突然知人の在日イタリア人、アンジェロ先生までがスピーチを始めたのにはびっくりした。でも内容としては、個人的には小熊英二の話が良かった(出発前集会のスピーチ)。
あと、デモ参加者で一番好きだったのが、コスプレ警官二人組と、皆に喝を入れに来た寺(テラ)ベクレル和尚。
動画はまだ探しきれていないけど、新宿だけのものならレイバーネットのものが一番早かったようだ(内容未確認)。ダイジェストならこっちの方がいいかも。
http://www.youtube.com/uniontube55?gl=JP&hl=ja#p/u/2/nDwl_Nla4Kk
追加:
主催者ページの埋め込み動画 http://611shinjuku.tumblr.com/
OurPlanet-TV http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1104
全国多元ネット中継の番組の模様は岩上チャンネルから。接続が悪い時は、埋め込みからではなく、Ustのページに飛んで観た方がいいかもしれない。
http://iwakamiyasumi.com/archives/10273
付記:
上記5つの要求事項より、当然ながら戦術的に踏み込んだ、環境エネルギー政策研究所(ISEP)による提言。レイムダック・管の在任中に約束させるべきことも、これだけあるという。
「エネルギー・環境会議」への「12の提言」
付記2:上のコスプレ警官の方から、お二人中心に撮った動画を紹介してもらいました。もう、なんか脱力しててイイ感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=r8zIMcw1rPU
参加者2万人と主催者発表されたが、これがデモ中の人数なのか、その後アルタ前集会に集まった総数(都内他地区のデモからの合流を含む)なのか、はっきりしない。例によって小グループごとに分断され、全体が一度に把握できないので、デモ自体の人数はもっと少なかった印象がある。まあここまで来ると、数字なんてどうでもいいけど。本質的に盛り上がってることに変わりはないので。
ただ今回新宿警察は、並進規制と交通整理にほぼ徹してくれて、時折先導車から型どおりのアナウンスが投げられたりはしたが、渋谷の時に比べると、ほとんど挑発的なところがなかった(ゴールのアルタ前は別。後述)。それが所轄の違いによる方針の差なのか、渋谷での露骨な挑発・抑圧行動に対する世論の剣呑なムードに対する配慮からなのか、わからないが。
デモ参加者の側も前回渋谷での経験をふまえて、警察の過剰警備(妨害行為)を牽制するポスターやプラカードを用意している人が多数。特にサウンドカーには発進前から参加者が張り付いて、警官が割り込む余地をなくすようにしていた。ただ、それがなくても、今回の警察には割り込みをするプランはなかったようだった。
今回のデモで(あらためて)気づいたこと・思ったこと。
○サウンドカーは、生バンド系よりラップの方がいい。
人それぞれ音楽の好みはあるので、数台のうち一台くらいは生バンドでガンガンのロックがあってもいいけれど、ほとんど歌っている内容が聴こえない。これは今のところ、出演者がハードコア/パンク系のバンドに偏っているせいでもある。僕自身はそういうヘヴィな音は全然OKだが、せっかくの場があるのに伝えるべきエモーションが足りないので、もっとメロウな歌ものも含めて、多彩な音楽スタイルの演奏者を揃えてほしいと、今回はさすがに思ってしまったのである。
それにも増してラップだと、歌詞を味わいながら、またサビのところで声を合わせながら歩くことができる。ラップはデモのリズムにぴったりだと、あらためて感じた。横を通ったバスの乗客からも手拍子が起こるシーンがあったりして、参加者と通行者の境目をなくす効果という意味でも、ラップは垣根が低い音楽ツールだということを発見。
今回DJカーは1台だけで、参加アーチストも少なかったのが残念だった。
(今回一番感動した曲。ECDの「EXODUS11」http://natalie.mu/music/news/46499
ラップで初めて泣きそうになった。 )
○日本のデモは、プラカードが面白い。
他国のデモの写真や映像と比べても、絵や写真を使ったプラカードの表現の何と多彩で面白いことか。これは日本人の得意分野で、日本人は「鳥獣戯画」の古来より、なぜか絵でコミュニケートする能力が発達している、と僕はかねがね思っていた。
マンガの場合などは、日本国内でしか通じない楽屋落ちみたいなネタもあるけれど、基本的には国内へのアピール優先のものだし、何だかわからないなりに他国の人へのインパクトもあるだろう。もっともっと絵・マンガのアイデアを伝え合い、量産していったらいいと思うのである。
アルタ前に着いたのは6時少し前くらいで、集会の申請はしてあるはずなのに、警察が「デモはすみやかに解散しなさい」というアナウンスを断続的に入れていた。警察車両を何台も要所にはべらせ、元々デモ行進よりも、こちらの警備に力を入れる予定だったのかな、と思わせる様子だった。
もちろん、主催者も参加者もガン無視して集会を続行。しまいには警察もほとんど何も言わなくなった。
主催者「素人の乱」の人達は、社民党の提供した宣伝カーの上に乗って集会を進めていたが、それ以外の二箇所で音が鳴っていた。一つはノンストップで延々ジャム・セッションを繰り広げていた打楽器と管楽器のグループ。もう一つは反対側でスピーチをしていた人達のグループ。場所によってはそれらの音が混ざって、本来の主催チームの音声が聞こえないところもあったが、まあこうした混乱状態がある意味醍醐味であって、あまり一元化した形に束ねようと躍起になる必要はないと思う。
終わり頃、スタジオアルタのビルの外壁にプロジェクターによる、政府へ要求項目と題する文字の投影があった。
1.稼働中の原発の停止
2.定期検査中等で停止している原発を再稼動しないこと
3.原発の増設中止
4.児童の許容被曝量20ミリシーベルト/年の完全撤回
5.原子力発電から自然エネルギー発電への政策転換
様々な動機、思想背景の人達が集まってはいたが、この5つの要求についてはとりあえず異論はないだろう。特に4の「子どもを守れ」ということに関しては、脱原発派どころか、推進派の人間だって同じ気持ちのはずだ。というか、推進派こそが、真っ先にそれを言い立てて行動する道義的責任があるはずだろう。現実は全然そうなっていないけど。
ちょっと簡単すぎる報告かな。集会でのゲストも多彩ですごかった。フランス緑の党の人(名前は聞き逃した)やグリーンピース・インターナショナル事務局長までが登場し、国際色も出てきた。、そんな中で、突然知人の在日イタリア人、アンジェロ先生までがスピーチを始めたのにはびっくりした。でも内容としては、個人的には小熊英二の話が良かった(出発前集会のスピーチ)。
あと、デモ参加者で一番好きだったのが、コスプレ警官二人組と、皆に喝を入れに来た寺(テラ)ベクレル和尚。
動画はまだ探しきれていないけど、
http://www.youtube.com/uniontube55?gl=JP&hl=ja#p/u/2/nDwl_Nla4Kk
追加:
主催者ページの埋め込み動画 http://611shinjuku.tumblr.com/
OurPlanet-TV http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1104
全国多元ネット中継の番組の模様は岩上チャンネルから。接続が悪い時は、埋め込みからではなく、Ustのページに飛んで観た方がいいかもしれない。
http://iwakamiyasumi.com/archives/10273
付記:
上記5つの要求事項より、当然ながら戦術的に踏み込んだ、環境エネルギー政策研究所(ISEP)による提言。レイムダック・管の在任中に約束させるべきことも、これだけあるという。
「エネルギー・環境会議」への「12の提言」
付記2:上のコスプレ警官の方から、お二人中心に撮った動画を紹介してもらいました。もう、なんか脱力しててイイ感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=r8zIMcw1rPU
集合の桜木町駅前についたら、ものすごい人、人、人でいっぱい!
子どもからお年寄りまで、さまざまな年代の方がいました。
DJカーの後ろについたので、
ずっとノリノリで、音楽に合わせて踊っていました。
疲れたけど、本当によかったです。
こういう一体感って、今まで忘れかけていたなにかを
思い出させますね。
私ひとりじゃ何もできない、じゃなくて、たったひとり
だけど、世界とつながってやっていけるかけがえのない
存在の私。
自己肯定感もしっかり出てきます♪
横浜は3000人って話ですね。横浜だけでそんなに集まったデモって、すごい珍しいんじゃないですか?
まあそんな数の問題より、今まで参加したことのない人が気軽に参加できて、それぞれに手応えや、気づいたことを持ち帰れる、っていう状況を切り開いたことが大きいですね。人との連帯感を感じると同時に、そこにいる自分を客観的に感じとる・見つめ直すことも、実は同時にあるんですよね。
僕は家族とともに参加。
6歳と3歳のチビも、面白い人たちがいたり、親切にしてもらったりと楽しんだようです。こういう誰でも参加型のデモって、本当のそしてシンプルな民意が主張できていていいなっ!って思いました。
寺ベクレル和尚のドスの利いた声には、ビビってましたが。
問題は、次にどう繋げるか。単なるガス抜きにならず、お祭りごとにならず。
長期戦は覚悟していますが、1年も長引かせるわけにはいきません。
お疲れ様でした。
長期戦でしょうね。ただ、今のところちゃんと手応えをつかみつつ進んでいけているので(それはデモだけの効果でなく、ネットその他のメディアのいろいろな複合効果として)、これから先も楽しみがありますね。
やればやるほど、単なる事故処理の問題、代替エネルギーの問題じゃなくて、日本社会のねじくれた構造的問題に突き当たって、本当なら気持ちが折れてしまいそうになるところを、「楽しさ」ではね返していけてる。そういう意味での「お祭り」性は、むしろ強化してもいいくらいだな、と思います。
リーサさん
本当は細かい話がまだいろいろあったんですが、キリがない感じだったんで、わりと上っ面のリポートで済ませてる、っていう反省があるんです(あまりこのブログに時間取れなくて)。動画等でも追体験してくださいね(東京以外の所のも)。