2011年10月24日(月)に開催されたCITEトークセッション2011「大阪のメディアエンタテインメント」に参加しました。
今年度は5回シリーズで開催され、その第3回目となる今回は同志社女子大学教授の影山貴彦氏がゲストスピーカーとして登場され、「大阪のメディアエンタテインメント」をテーマとした講演をされました。
(会場の様子)
影山教授は、毎日放送のプロデューサーを務められた後、現職に就かれています。専門は放送を核としたメディア研究(メディアエンターテインメント)で、著書に「テレビのゆくえ」「おっさん力」などがあります。また、大阪市広報報道アドバイザー、上方漫才大賞審査委員のほか、朝日放送(ABC)ラジオ「和歌子と影山教授のパレット」(毎週日曜アサ9時45分~)のパーソナリティも務められるなど、研究だけではなくメディアの現場でもご活躍されています。
(今回のゲストスピーカー:影山教授)
毎日放送時代には、「ありがとう浜村淳です」や「MBSヤングタウン」といった番組の制作にかかわっておられたそうで、当時のエピソードなどを散りばめながら、大阪や関西の復権のためにメディアはどうあるべきかについて、お話を聞かせていただきました。(以下はお話の要約です)
影山教授のお話からは、大阪の本当の魅力を全国に発信するためには、メディア自体の抱える問題の解消と、情報の受け手である我々が、テレビで放送されている内容が演出された一面でしかないことを知るとともに、メディアを情報発信の手段として活用することが必要であると良くわかりました。
まちづくりの取り組みというと、どこか固い話題のように思いがちですが、実際に参加してみると楽しいものが多いですし、生活に直結した話題として多くの人に興味を持ってもらえるものだと思います。そういった魅力をわかってもらえるように情報発信していくことが大切なのだと感じました。
第4回CITEトークセッション2011「大阪とエンタテインメント」は、ゲストスピーカーに吉本お笑い総合研究所理事の田中宏幸氏をお迎えして、11月14日(月)に開催されます。テーマは「吉本と大阪の笑い、波乱万丈の百年とこれから」です。詳細につきましてはわかり次第このブログでもご案内いたします。興味を持たれた方は是非参加して下さい。(参加費は無料で、どなたでも参加出来ます)
今年度は5回シリーズで開催され、その第3回目となる今回は同志社女子大学教授の影山貴彦氏がゲストスピーカーとして登場され、「大阪のメディアエンタテインメント」をテーマとした講演をされました。
(会場の様子)
影山教授は、毎日放送のプロデューサーを務められた後、現職に就かれています。専門は放送を核としたメディア研究(メディアエンターテインメント)で、著書に「テレビのゆくえ」「おっさん力」などがあります。また、大阪市広報報道アドバイザー、上方漫才大賞審査委員のほか、朝日放送(ABC)ラジオ「和歌子と影山教授のパレット」(毎週日曜アサ9時45分~)のパーソナリティも務められるなど、研究だけではなくメディアの現場でもご活躍されています。
(今回のゲストスピーカー:影山教授)
毎日放送時代には、「ありがとう浜村淳です」や「MBSヤングタウン」といった番組の制作にかかわっておられたそうで、当時のエピソードなどを散りばめながら、大阪や関西の復権のためにメディアはどうあるべきかについて、お話を聞かせていただきました。(以下はお話の要約です)
・メディアエンタテインメントとは?
メディアをエンタテインメント的見地より研究するもの。これまでは、ジャーナリズム的見地からメディアを研究することが多かった。私が名付け親だと思う。今は全国の大学でメディアエンタテインメントと名付けられた学科が2~3ある。
・テレビに登場する大阪と実態にはどうしてギャップがあるのか?
大阪で暮らしている多くの方は、ご自身が良く知っている本当の大阪の魅力が全国に伝わっていないと感じているが、これはエンタテインメントとしてテレビから発信される大阪像に問題があることから起きている。
テレビの放送は東京にあるキー局が中心となり全国放送されている。このため、視聴率についても東京での視聴率だけが重視されており、これにより全国放送される番組が決められている。
たとえば、大阪で人気のある「探偵ナイトスクープ」という番組は、かつてゴールデンタイムに全国放送された際、関西で20%を超す視聴率を獲得しながらも、関東では2%しか獲得できず全国放送は打ち切られた。
また、東京の人間は大阪のことには興味がなく(これは大阪の人が他の地方に興味がないことと同じではあるが…)、大阪で制作された番組では東京で視聴率を取れないため、大阪のテレビ局(準キー局)が制作する番組自体も少なくなっていった。大阪で制作される数少ない番組も、東京の制作会社が手掛けることが多くなり、大阪から情報発信する機会が少なくなってしまった。
このようなテレビ業界の構造から、東京にあるキー局が求めるわかりやすい大阪像が全国放送に乗ることになり、俗に「T・T・Y」と言われる、たこ焼き、タイガース、吉本が大阪の印象として定着し、そこから抜け出せなくなった。
大阪のテレビ局で制作する番組内容が、吉本の芸人頼りになってしまっていることも問題があると考えている。特定のプロダクションが肥大化してしまったことにより、放送内容が画一化してしまい、大阪からの発信力を低下させる原因になっている。
また、テレビ番組の中で行われている演出も、大阪の印象をステレオタイプ化させている原因の一つだ。地方から出てきた学生に対して、一般人に取材して番組を作成しなさいという課題を与えた時の話であるが、よくテレビ等でインタビューが行われている阪神百貨店前の歩道橋で話を聞こうと試みたところ、誰も応じてくれないためショックを受けたということがあった。その学生は、テレビで受けた印象から、大阪の人はカメラやマイクを向けると誰もが率先して話をしてくれると考えていた。
大阪の人間は確かにノリが良いと思うが、そのほとんどは、探偵ナイトスクープなどのテレビ局のカメラに対して、演出した自己を見せているだけだ。また、大阪で制作される番組にはロケものが多いのだが、その中で偶然出会うユニークな人たちも、予め仕組まれた演出の一つである。
テレビの中で行われている様々な演出について、それが演出されたものであることに気付かない人が多くいることが、大阪の印象を歪めているのではないか。
・阪神淡路大震災と東日本大震災の際にメディアが果たした役割は?
ラジオ放送は、救援物資に関する情報等をタイムリーに伝えるとともに、被災者の声に応じた放送を行うことで、被災者に寄り添ったものとなっていた。
しかし、テレビでは各局が津波の衝撃的な映像を入手・放送することを競っていた。津波の映像を見る被災者の気持ちに寄り添えていなかったし、よりニュース性の高い素材を手に入れようと競い合って取材することが復興の妨げにもなっていた。
また、震災発生からしばらく経つと、復興に向けて頑張ろうという趣旨の番組を繰り返し放送していたが、これも被災者の気持ちに寄り添った放送だったとは言い難い。
非常事態では、個々のテレビ局が独自に取材する必要はなく、各局が協力して役割分担をすれば良い。本当に必要なことを伝えるために“大同団結”するべきだと思う。
・関西の復権に向けてメディアができること~文化の地産地消を目指す
映画「阪急電車」は大阪のテレビ局が中心となって制作した映画である。全国でもヒットしたが、やはり関西での興行成績がよかった。これは、地域で興味のあることを地域のメディアが発信する “文化の地産地消”につながる取り組みである。テレビでこのような取り組みが出来るようになれば、関西の復権につながる。
大阪に住んでいる方々は、東京で起きていることではなく、大阪のことを知りたいと思っているが、大阪のテレビ局は取り上げることが出来ていない。
これは、テレビ局の人間が忙しすぎて情報を知ることができないことも原因の一つとなっている。これを解消するためにも、各テレビ局でバラバラに取材や放送をするのではなく、同じことをしても良いのではないか。文化においても“大同団結”を図るべきである。
メディアで働く人たちは、様々な情報に触れていると思われがちだが、その忙しさから人付き合いの範囲も狭く、手に入る情報の幅も少ない。できるところは協力して、忙しさを軽減することにより、地域の情報に触れる機会をつくることが必要だ。
また、地域の情報に偏った放送では、視聴率が取れないという事情もある。地域のまちづくり情報について、テレビ局がエンタテインメントとしておもしろく発信する工夫も必要であるが、行政も含めて、まちづくりに取り組んでいる方たちが、興味を持ってもらえるように自ら発信していくことも必要だ。
メディアをエンタテインメント的見地より研究するもの。これまでは、ジャーナリズム的見地からメディアを研究することが多かった。私が名付け親だと思う。今は全国の大学でメディアエンタテインメントと名付けられた学科が2~3ある。
・テレビに登場する大阪と実態にはどうしてギャップがあるのか?
大阪で暮らしている多くの方は、ご自身が良く知っている本当の大阪の魅力が全国に伝わっていないと感じているが、これはエンタテインメントとしてテレビから発信される大阪像に問題があることから起きている。
テレビの放送は東京にあるキー局が中心となり全国放送されている。このため、視聴率についても東京での視聴率だけが重視されており、これにより全国放送される番組が決められている。
たとえば、大阪で人気のある「探偵ナイトスクープ」という番組は、かつてゴールデンタイムに全国放送された際、関西で20%を超す視聴率を獲得しながらも、関東では2%しか獲得できず全国放送は打ち切られた。
また、東京の人間は大阪のことには興味がなく(これは大阪の人が他の地方に興味がないことと同じではあるが…)、大阪で制作された番組では東京で視聴率を取れないため、大阪のテレビ局(準キー局)が制作する番組自体も少なくなっていった。大阪で制作される数少ない番組も、東京の制作会社が手掛けることが多くなり、大阪から情報発信する機会が少なくなってしまった。
このようなテレビ業界の構造から、東京にあるキー局が求めるわかりやすい大阪像が全国放送に乗ることになり、俗に「T・T・Y」と言われる、たこ焼き、タイガース、吉本が大阪の印象として定着し、そこから抜け出せなくなった。
大阪のテレビ局で制作する番組内容が、吉本の芸人頼りになってしまっていることも問題があると考えている。特定のプロダクションが肥大化してしまったことにより、放送内容が画一化してしまい、大阪からの発信力を低下させる原因になっている。
また、テレビ番組の中で行われている演出も、大阪の印象をステレオタイプ化させている原因の一つだ。地方から出てきた学生に対して、一般人に取材して番組を作成しなさいという課題を与えた時の話であるが、よくテレビ等でインタビューが行われている阪神百貨店前の歩道橋で話を聞こうと試みたところ、誰も応じてくれないためショックを受けたということがあった。その学生は、テレビで受けた印象から、大阪の人はカメラやマイクを向けると誰もが率先して話をしてくれると考えていた。
大阪の人間は確かにノリが良いと思うが、そのほとんどは、探偵ナイトスクープなどのテレビ局のカメラに対して、演出した自己を見せているだけだ。また、大阪で制作される番組にはロケものが多いのだが、その中で偶然出会うユニークな人たちも、予め仕組まれた演出の一つである。
テレビの中で行われている様々な演出について、それが演出されたものであることに気付かない人が多くいることが、大阪の印象を歪めているのではないか。
・阪神淡路大震災と東日本大震災の際にメディアが果たした役割は?
ラジオ放送は、救援物資に関する情報等をタイムリーに伝えるとともに、被災者の声に応じた放送を行うことで、被災者に寄り添ったものとなっていた。
しかし、テレビでは各局が津波の衝撃的な映像を入手・放送することを競っていた。津波の映像を見る被災者の気持ちに寄り添えていなかったし、よりニュース性の高い素材を手に入れようと競い合って取材することが復興の妨げにもなっていた。
また、震災発生からしばらく経つと、復興に向けて頑張ろうという趣旨の番組を繰り返し放送していたが、これも被災者の気持ちに寄り添った放送だったとは言い難い。
非常事態では、個々のテレビ局が独自に取材する必要はなく、各局が協力して役割分担をすれば良い。本当に必要なことを伝えるために“大同団結”するべきだと思う。
・関西の復権に向けてメディアができること~文化の地産地消を目指す
映画「阪急電車」は大阪のテレビ局が中心となって制作した映画である。全国でもヒットしたが、やはり関西での興行成績がよかった。これは、地域で興味のあることを地域のメディアが発信する “文化の地産地消”につながる取り組みである。テレビでこのような取り組みが出来るようになれば、関西の復権につながる。
大阪に住んでいる方々は、東京で起きていることではなく、大阪のことを知りたいと思っているが、大阪のテレビ局は取り上げることが出来ていない。
これは、テレビ局の人間が忙しすぎて情報を知ることができないことも原因の一つとなっている。これを解消するためにも、各テレビ局でバラバラに取材や放送をするのではなく、同じことをしても良いのではないか。文化においても“大同団結”を図るべきである。
メディアで働く人たちは、様々な情報に触れていると思われがちだが、その忙しさから人付き合いの範囲も狭く、手に入る情報の幅も少ない。できるところは協力して、忙しさを軽減することにより、地域の情報に触れる機会をつくることが必要だ。
また、地域の情報に偏った放送では、視聴率が取れないという事情もある。地域のまちづくり情報について、テレビ局がエンタテインメントとしておもしろく発信する工夫も必要であるが、行政も含めて、まちづくりに取り組んでいる方たちが、興味を持ってもらえるように自ら発信していくことも必要だ。
影山教授のお話からは、大阪の本当の魅力を全国に発信するためには、メディア自体の抱える問題の解消と、情報の受け手である我々が、テレビで放送されている内容が演出された一面でしかないことを知るとともに、メディアを情報発信の手段として活用することが必要であると良くわかりました。
まちづくりの取り組みというと、どこか固い話題のように思いがちですが、実際に参加してみると楽しいものが多いですし、生活に直結した話題として多くの人に興味を持ってもらえるものだと思います。そういった魅力をわかってもらえるように情報発信していくことが大切なのだと感じました。
第4回CITEトークセッション2011「大阪とエンタテインメント」は、ゲストスピーカーに吉本お笑い総合研究所理事の田中宏幸氏をお迎えして、11月14日(月)に開催されます。テーマは「吉本と大阪の笑い、波乱万丈の百年とこれから」です。詳細につきましてはわかり次第このブログでもご案内いたします。興味を持たれた方は是非参加して下さい。(参加費は無料で、どなたでも参加出来ます)