音訳ボランティア サークル声

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企業での障碍者雇用率について

2018-02-12 13:00:00 | 旧ブログ記事

20180212

私の地元、静岡・掛川から2つ隣の磐田市に住む青年だ。以前から顔を合わせることはあったが、話し込んだのは初めてでした。

現在、同じ市内にある総菜メーカーの調理工場(聞いているとどうも全国企業のセントラルキッチンで従業員は400名以上だという)で3年前から働いているという。工場は年中無休で稼働、休みはシフトが組まれて不定期だと云うが働き甲斐があり楽しそうだった。どうも個別のコミュニケーションはうまく取れないようだが、前に立って自分の意見を述べることはしている。浜松市内のコーラスグループにも参加、現在は時々指揮棒も振っているらしい。そのため私は彼が障碍者であるという認識はしていなかったが手帳を持っているらしい。何とか失調症という病気だったという。

大学までは障碍がなかったようで、特別支援学校ではなく普通の学校に通っていたという。高校時代には年末に京都で行われる高校駅伝にも出場、大学時代は箱根駅伝を目指していたというので驚いた。

その彼が障碍者雇用枠で仕事についたこと、それまではA型事業所というところで働いていたこと、A型事業所には昨年いろいろな問題があったことなど話を聞いたのは、1月の下旬だった。

そんな時に、NHKラジオで「障碍者雇用の現状」の話を聞いた。以下その要約と私の印象。

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今年の春から障がい者雇用率が見直され、2%から2.2%に改定されるという。企業は一定率(民間企業で2%)の障碍者雇用が義務付けられている。その制度は知っていたし、現役時代の名古屋勤務の時には社内に2人の障碍者が総務の仕事をされていた。今回詳しい情報をラジオから得た。いま全国で50万人の障碍者が働いているが、法定雇用率を達成している企業は約半分、3割の企業では全く雇用していない(短時間雇用の障碍者は0.5人、重度障碍者は2人とカウントし、達成できていない企業は1人当たり毎月5万円を支払)状況だそうだ。

そもそもこの制度(障碍者雇用促進法)のねらいは、障碍の有無に関わらず均等に勤労待遇を確保し、それぞれの能力を有効に発揮する事ができるような公平な働く場を確保することだそうだ。昨年の障害者差別禁止法で企業も合理的な配慮をすることが求められており、身近に障碍のある人が働く事で障碍者への見方も変わってくることも期待できると思われる。障碍のある人たちが適材適所で働ける社会になったらいい。

しかし現状は様々で、当たり前に障碍者が仕事をしている企業もある。一方で従業員の中で手帳を持っている人(入社後取得、心臓ペースメーカーなどで)を探して帳尻を合わせる企業もあるという。また納付金を支払うことでこの問題に関わらない企業もあるらしい。

障碍者のための特例子会社を持つ会社の話。これについては思い当たる事がある。私の農業の先生は農法の講演で全国を回っているのだが、広島のスーパーの話を時々する。スーパーの店頭で販売するジャガイモなど野菜を子会社で袋詰めする作業をしているらしい。そこでは障碍者がたくさん働いているようで、それまでの作業とは違う作業をすると思わぬ能力を発揮している人がいるという。先生は人には様々な面があり、一面だけから判断しては間違えるという話をしたかった、その事例だったのでしょうが、こういう話はよく聞くし、よくある事だろう。障碍者自身も自分の別の面が発見できたら夢中になるし、楽しい。広島ではその状況をみた会社の人たちが障碍者を見る目が変わってきたという。そういう変化も期待できる。雇用経験のない企業にとっては「障碍者は単純作業しかできない」と思っている企業もあるようで、合理的配慮をすることでそれぞれの能力を発揮できることが理解されていないようだ。数合わせになってしまっており、根本的な解決には程遠いようだ。

コミュニケーションは苦手だがデータ入力をさせたらミスなく100%完璧だったり、箱詰めしかできないかと思っていたらハンダ付けが得意だったり、全盲者でも音声を聞いてPCで議事録を作らせると早くて間違いがない・・・。一緒に働くと様々な能力があることが判ってくる。能力が認められれば本人の意欲にもつながる。
解説者は「働き甲斐のある人間らしい仕事は障碍のあるなしに関係なくとても大切な事。障碍のある人が働き易い職場は、障碍の無い人にも働きやすい職場である。このような形で『働き方改革』は進んでほしい」と結んでいた。