アジア映画巡礼

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タイガー覚醒!! ①『タイガー 裏切りのスパイ』5月3日(金・祝)公開!

2024-04-05 | インド映画

以前お伝えしましたように、サルマーン・カーン主演作『タイガー 裏切りのスパイ』(2023)が5月3日(金・祝)に公開となります。少し前に予告編がアップされましたので、まずは映画のデータと予告編をどうぞ。

『タイガー 裏切りのスパイ』 公式サイト 
 2023年/インド/ヒンディー語/156分/原題:Tiger 3  /字幕翻訳:藤井美佳
 監督:マニーシュ・シャルマー
 出演:サルマーン・カーン、カトリーナ・カイフ、イムラーン・ハーシュミー
 配給:ツイン
5月3日(金・祝)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

『タイガー 裏切りのスパイ』本予告

 

タイガーの本名はアビナーシュ・シン・ラートール。『タイガー 伝説のスパイ』(2012/監督:カビール・カーン)では、料理が得意で結婚願望もある、インドの情報組織RAWのエージェント、という面白いキャラクターになっていました。タイガーはアイルランドのダブリンである教授を監視している時、彼の助手をしていたゾヤ(ゾーヤー/ニックネームは「ズィー」)と恋に落ちます。しかし、彼女は実はパキスタンの情報組織ISIのエージェントで、2人はイスタンブールであった会議で再会し、ついに双方の国を捨てて恋を成就させることを選びます。続く第2作『タイガー 蘇る伝説のスパイ』(2017/監督:アリー・アッバース・ザファル)では、男の子もできてヨーロッパの山の中で隠遁生活を送っていたタイガーとゾヤが、RAWとISIの要請を受けてイラクで人質となっている看護師たちを救い出す物語です。

そして第3作『タイガー 裏切りのスパイ』(2023)は、1999年のゾヤのエピソードを経て、第1作でタイガーの連絡役として登場したゴーピー(ランヴィール・ショウリー)が、アフガニスタンでの任務遂行中に危機に陥り、それをタイガーが救出するシーンから始まります。ゴーピーは結局、彼をインドへと運んでいたヘリの中で亡くなるのですが、その時聞き捨てならないことを言い残します。「パキスタンで大規模な陰謀が進行中だ。それにはある女性エージェントが関わっている、ゾヤだ」任務完了のタイガーは自宅へと戻るのですが、妻のゾヤをつい疑いの目で見てしまいます。そして、次の任務としてタイガーがロシアのペテルスブルクに赴いた時、タイガーらを襲ってきたのはゾヤでした! 実はゾヤの背後には、ISIでの彼女のメンターとも言うべき男、アーティシュ・ラフマーン(イムラーン・ハーシュミー)がいたのです...。

こうして映画は核心部分へと入っていくのですが、まず驚かされるのは、アクションシーンの迫力が前2作と比べてもまったく見劣りがせず、それどころかユニークな設定でのアクションシーンを見せ場にするなど、前2作にも増して見応えのある映像が展開することです。第1作のカビール・カーン監督は、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(2015)で知られますが、初期の作品として『Kabul Express(カーブル急行)』(2006)や9.11事件を元にした『New York(ニューヨーク)』(2009)など、ドラマとアクションを融合させた優れた作品を世に出しています。また、第2作のアリー・アッバース・ザファル監督は、『ならず者たち』(2014)や『スルタン』(2016)など、アクション主体の作品を上手に撮る監督です。その彼らと比べて、これまでは『Band Baaja Baaraat(楽隊、楽器、花婿行列)』(2010)やシャー・ルク・カーン主演作『ファン』(2016)など、主としてロマンチック・コメディ路線を手がけてきたマニーシュ・シャルマー監督は、アクションに関しての手腕は未知数でした。ところがどうしてどうして、スケールの大きなアクションシーンから、路面電車の車庫で闘われるようなこぢんまりしたアクションシーンまで、実にアクション設計がうまいのです。ぜひ、ご期待下さい!

そして、『タイガー』シリーズではその第1作から、「闘う女性エージェント」として、ゾヤを演じるカトリーナ・カイフがすばらしいアクションを披露して来ました。今回もガンアクションなどのほか、ハマームと呼ばれる中近東式サウナの中での肉弾戦等々、極上の身体能力を発揮して見事なアクションシーンを見せてくれます。この人ののびやかな肢体は画面によく映えて、見る者の目を引きつけて放しません。ディーピカー・パードゥコーンやシュラッダー・カプールもアクションシーンが上手いですが、ボリウッドでのトップはやはりカトリーナ・カイフでしょう。

さらに極めつけは某大スターのカメオ出演で、「そのロープウェイの綱はどこから延びているんだ?」などとツッコみながら見るのは最高の気分です。『PATHAAN/パターン』(2023)以降、カメオ出演シーンで遊びまくる、という定石ができてしまったようです。こんな風に見応えあるシーンがてんこ盛りの『タイガー 裏切りのスパイ』ですが、後半の展開はインドの現政権へのささやかなプロテストとも言え、こちらも深読みができてうならされます。単なるスパイ・アクション映画と侮らず、製作陣が込めたメッセージをぜひ読み取って下さいね。

 


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