チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

早咲きの桜「玉縄桜」を愛でる

2017-03-01 12:52:56 | 湘南・鎌倉・三浦ぶらり
3月1日(水)

 三回前の記事で、三浦海岸の早咲きの「河津桜」を紹介しましたが、早咲きの桜は他にもまだあるのです。

 通院している
  鎌倉の病院の前
  

 処方箋薬局のある、
  近くのショッピングモール
  

 そのまた近くの
  大船のフラワーセンター
  

 河津桜と同様、2月の半ばに開花する「玉縄桜」です。

 この桜、フラワーセンターがソメイヨシノの種子から取り出した品種で、農林水産省に新品種として登録されたのが1990年ということは、河津桜よりも20年以上歴史の浅い桜ということになります。親がソメイヨシノなので、色の濃い河津桜よりもソメイヨシノに近い淡いピンク色に咲くのが特徴です。
 昨今は、桜といえばソメイヨシノが代名詞となっているようで、靖国神社の「標本木」も然り、気象庁などが開花予報で示す「桜前線」もソメイヨシノを指していますから、色合いからいうと、この「玉縄桜」のほうが「河津桜」よりも桜らしく感じる人が多いかもしれません。

 品種登録に際して、当初はフラワーセンターのすぐ東側沿いに柏尾川が流れているので「柏尾桜」という名を用意していたそうですが、「カシオ」という名が登録できず、この辺り一帯の地名から「玉縄桜」という名になったようです。

 大船駅の西を流れる柏尾川の向こう側に、岡本・玉縄・植木・城廻(シロメグリ)・関谷といった味わいのある町の名前が並んでいます。実は、この一帯、戦国時代に北条早雲が築いた玉縄城の城下で、上の病院もショッピングモールもフラワーセンターもその一角にあり、駅を見下ろす大船の観音様も、その昔、物見櫓のあった所に鎮座しているのです。
 その玉縄城、本丸は現在城廻にある清泉女学院の校地にあったのですが、江戸時代まで残っていた堅牢で難攻不落と称された名城も、学校建設と宅地開発の力に屈し、今はわずかな遺構以外、その面影をほとんど失っているのが残念です。

 そんな歴史に思いを馳せてみても、やはり「タマナワザクラ」という命名が正解でした。細長いのが川。柏尾川だって横浜の瀬谷のほうから泉区や戸塚区を経て藤沢市へ流れています。それに「柏尾」という町名も戸塚区にあるのです。
 鎌倉の玉縄村の一角のフラワーセンターで誕生した「玉縄桜」。名前もいいので今後広まって行くかもしれません。

 ところで、桜の本命「ソメイヨシノ」は開花時期が短く少々忙しなく感じますが、早咲きの品種は花期が長いのも特徴です。
 とはいえ、三年半前からお世話になっている玉縄の地にある病院、今は通院が8週間に一度なので、この時期の通院日がちょうど開花の時期を挟んでしまったりして、去年も一昨年も花にはお目にかかれませんでした。今年も次の通院日はもう葉桜になっているかもしれないと心配になり、先週フラワーセンターへ行って、今月の「花さんぽ」に参加してみました。

 花笠の園長さんの横で
  「玉縄桜を広める会」会長さんの挨拶
  

 玉縄桜は園内の各所に植栽されていますが、

 これが選別した種から育った
  最初の原木です
  

 この時期、もちろん
  河津桜も咲いていますが、
  
  

 淡くほんのりとした色合いの
  玉縄桜も格別です
  


   玉縄は春待つ人を迎へけり   弁人


 さて、日本人がどれくらいせっかちなのか、あまり考えたことはありませんが、お正月が過ぎて寒に入ると、誰もが春を待ち望む気持ちを抱くのは事実。
 そんな中、寒の終わり頃に咲いてくれる梅の花は格別です。でも、気温はまだ低めですから、ソメイヨシノの咲く頃がより待ち遠しくなるのも正直なところ、そんな気持ちをくすぐるかのように咲いてくれるのが早咲きの桜だとすると、歴史は浅くとも河津桜がもてはやされるのも肯けるような気がします。
 そうだとすると、今、玉縄桜を広める会が神奈川県だけでなく全国に植栽の働きかけをしているそうですから、そのうちにいろいろな所で玉縄桜が咲くことになるのかもしれません。

 ところで、フラワーセンターには、もう一つ早咲きの桜が咲いていました。

 南の国に咲く
  寒緋桜(緋寒桜とも)
  

 河津桜よりさらに紅色の濃い花ですが、本州は寒いだろうに、温室ではない露地植えで咲いていました。

 日本でいちばん早くお花見ができるのが沖縄と言われ、何年か前、2月初めに行った時にたくさん咲いていた桜です。もっとも、沖縄ではその時期にハイビスカスやブーゲンビリアの花などもいっぱい咲いていて、特に「わーっ桜だ、お花見だ」という気分にはなりませんでした。

 そもそも、桜というのはふつう一度寒い時期を経て、その間にじっと蕾を開かせる準備をして暖かくなるのを待つのだそうですが、この桜は寒い時期を経なくても咲く品種で、台湾や中国南部に分布していたものが日本では南国の沖縄と奄美で根付いたとのこと。この二つの地域では、寒緋桜が桜の開花予報と開花宣言の対象になっているようです。


 さてと、今回のテーマ「早咲き桜」はこの辺までとして、もう終わりの時期が近づいた梅もまだきれいに咲いていましたので、写真を数枚、付録として載せておきます。

  紅白咲分けの梅
  

 「咲分け」と言えば「源平桃」が浮かびますが、梅と桃は近いのか、梅にも源平咲きがありました。花の時期がずれているとはいえ、梅と桃の花の違いもなかなか難しい。私は、いちおう花びらが丸いかちょっと細長いか程度で見分けた気分になっていますが。

  紅梅と白梅
  
  

  枝垂れは白とピンクに
  



   襟立つる人にも優し春の色   弁人


コメント
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