輝く未来へナイスシュート!

子どもたちは、無限の可能性を秘めています。その子どもたちのために少しでもお手伝いをしたい!

学校で起きる事故について考えるⅡ~組み体操~

2015-10-18 18:03:15 | 教育

組み体操 規制要望 被害者らが協議会 ネット署名が1万人突破

巨大化する組み体操の安全対策を訴え署名活動を展開している名古屋大大学院の内田良准教授=17日午後、東京都中央区で(細川暁子撮影)

写真

 全国で相次ぐ組み体操の事故など青少年のスポーツ事故を防ごうと、被害者と各界の専門家からなる「青少年スポーツ安全推進協議会」が十七日、東京都内で設立総会を開き、発足した。柔道の練習で次男が重い障害を負った沢田佳子(よしこ)さん(44)が会長に就き「知識や情報の提供が安全の確立につながる」と述べた。協議会は発起人の大学教授や医師、トレーナーがホームページなどで、けがの予防法や適切な指導法を提案。スポーツ現場での暴力排除や被害者支援にも取り組む。

 講演した名古屋大大学院の内田良(りょう)准教授は、小中高校の組み体操でけが人が相次ぐ問題で「学校は安全に鈍感。感動するのはいいが、リスクが大きく縮小化することが大事だ」と指摘した。

 学習指導要領に含まれず、運動会などでの実施の判断が各学校に任されている組み体操では、小中高校で年間八千五百件以上の事故が発生。主な原因に巨大化が指摘され、段数規制などの対策を求める声が高まっている。文部科学省に規制を促そうと内田准教授が九日から始めたネット上の署名活動は、一週間で賛同者が一万人を超えた。

 署名には十七日夜の時点で、約一万六百人が名前を連ねる。「予想を上回るペースで集まっている」と内田准教授。来年二月ごろまで続け、来春の運動会シーズンまでに文科省への提出を目指す。

 内田准教授は十七日、青少年スポーツ安全推進協議会での講演で、全国の学校では現在、四つんばいの人間が積み上がる「ピラミッド」は最高十一段、肩を組んだ人間の上に立つ「タワー」は最高五段まで実施されていると、巨大化に警鐘を鳴らした。

写真

 巨大化に伴う危険は「高さ」だけでなく、下段の児童生徒が受ける重さの「負荷」にも潜む。

 千葉県で九月、中学三年の男子生徒(15)が五段ピラミッドの四段目、高さ約二・五メートルから後方に落下して右脚太ももを骨折した事故では、男子生徒は本紙の取材に「下の段の生徒がバランスを崩して全体が揺れて落ちた」と証言した。

 男子生徒が取り組んでいたのは、十五人が俵を積むように組む「平面型」と呼ばれるピラミッド。数学が専門の大阪経済大学情報社会学部の西山豊教授によると、一人の平均体重を五十キロとすると、最下段の内側三人には百五十六~百二十五キロの重さがかかる。

 同じ五段ピラミッドには、二十二人で三角すいを作るように組む「立体型」もある。西山教授によると、平面型では一人が受ける最大負荷は、立体型の倍以上になるという。

 段数規制では、大阪市教委が九月に市内各校に「ピラミッドは五段、タワーは三段まで」と通知した。しかし市教委は「平面型と立体型の違いは明記せず、負荷も検証していない」と説明。西山教授は「五段なら安全との誤解を招きかねない」と、高さだけでなく負荷も考慮するよう同市に求めている。 (細川暁子)