マイン川畔の古城にて(続々々々)

 
 旧市街は大抵、前日に歩き尽くしてしまったので、ミサが終わってから、再びヨハニスブルク城まで散歩した。

 ところで。相棒はヨーロッパ文化に、絵よりも音楽を求めてやって来た。これまでも教会のコンサートで音楽を聴いてきたのだが、やはり管弦楽を聴きたがっていた。
 この日の夕方、ヨハニスブルク城ではオーケストラのコンサートが開催される予定だった。前日これを知った相棒、チケットを入手しようと努力したのだが、その日は生憎の土曜日。どう頑張ってもチケットが取れずにいた。で、オーケストラを諦め、ゴスペル・ソングで妥協していたのだが……
 ヨハニスブルク城までやって来て、はたと立ち止まる。どこからともなく聞こえてくる、バイオリンの調べ。

 相棒、眼をピカッ! と光らせて、音の源を探してすたこらと歩き回る。どこ? どこどこ? 
 そして城内の広場までやって来ると、城を見上げ、歓喜して叫んだ。
「ハイドンだ!」

 どうやらヨハニスブルク城の二階で、今夜のコンサートのためのリハーサルが始まったらしい。
 相棒、俄然、そのまま城の広場に居座ってリハーサル鑑賞。窓の下、城の広場を我が物顔にすっくと立ち、全身をこれ指揮者のように流れる音色に漂わせながら、熱心に耳を澄ます。
 こんな練習を聴くのでもいいの? と尋ねると、
「演奏の出来が最高なのがゲネプロ(=本番前の最後の全体リハーサル)だってのは、演奏家の常識だよ。通は本番よりもゲネプロを聴くんだよ!」

 To be continued...
 
 画像は、アシャッフェンブルク、城内の広場。

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     Bear's Paw -ドイツ&オーストリア-
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