奔放な女画家

 

 シュザンヌ・ヴァラドン(Suzanne Valadon)は私と同じで、未婚のまま非嫡出子のユトリロを産んだ。この点、なんだか親近感がある。が、恋多き女性で、誰がユトリロの父親だか分からないほどだと言う。このあたり、私とは随分と違ってるな。

 ヴァラドン自身、未婚の洗濯女の娘で、貧しいためにサーカスの曲芸師をやって暮らしていたという。眼を見張るような美人で、画家たちのモデルとなるうちに、画家にならって自分も絵を描き始めた。
 ドガやロートレック、ルノワール、シャヴァンヌなどのモデルを務め、彼らすべてと関係を持ったのだそう。ユトリロをほったらかして、いつも男性と、安酒場に足繁く通っていたのだとか。う~むむむ。

 ユトリロの父親については様々な憶測があるらしい。けれど、ヴァラドンが口をつぐんでたのだから、周囲には知りようがない。
 まるで子供なんていないかのように、女性として奔放に生きたヴァラドン。絵に恋に忙しく、ユトリロ坊やを構わず終いだったけれど、ユトリロに対する愛情だって、ま、彼女なりにあったのかも知れない。ヴァラドンは、ユトリロ少年のデッサンをたくさん残している。

 ヴァラドンの絵は力強さを感じる。明るい色彩を用いるが、タッチのせいか、印象派のようなきらめきはなく、その分、絵には色彩本位の鮮やかさがある。
 どういうわけか私は、ヴァラドンのようになら描けそう、と思ってしまう。

 画像は、ヴァラドン「マリー・コカとその娘」。
  シュザンヌ・ヴァラドン(Suzanne Valadon, 1865-1938, French)
 他、左から、
  「コントラバスを弾く女」
  「布の上に座るラミノー」
  「捨てられた人形」
  「ソファに横たわる裸婦」
  「花のある静物」

     Related Entries :
       モーリス・ユトリロ
       アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

 
     Bear's Paw -絵画うんぬん-
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 背後霊 いらち »