ザールの珠玉の田舎町(続々々々々々々々々々)

 
 こちらが何を話すにせよ、相手はその内容を自分で判断する。相手が5歳の子供でも5歳なりに判断する。だから、こちらが相手の判断能力を推し測り、話す内容を予め制限するようなことは、しないほうがいい。
 ……これは、話し手が相手の到達点を定め、その到達点を基準に、相手が今、どの成長段階にいるかを定めて、相手の成長段階に応じて、話す内容を格上げしていく、そういう話し手としての態度を取るハーゲン氏のような人間を表象に置いた、相棒のかつての意見。

 外国の人は、まず喋る。喋ってから、理解されなかった部分を補う。理解されないかも知れないと先読みして、いっそ喋らないでおく、ということをしない。
 あのときハンスさんも、私たちの5歳児にも劣る語学力などお構いなしに、自分の喋りたいことを喋ってくれたのだが、本来、人と人との関係、そこでの対話というのは、そういうものなのだ。

「さて、我々の次の目的地は? ガソリンスタンドだ」とハンスさん。
 ルクセンブルクでは、ガソリンに対する課税が低いために、ガソリンの価格が安いのだそう。

 目指したガソリンスタンドは休店だったのだが、ハンスさんはさして残念そうな様子も見せず、そのままドライブを続ける。ドイツより他の国にはまだ行ったことがないと答えた私たちに、フランスやルクセンブルクのティピカルな田舎の町々を、丁寧に案内してくれる。
 確かにフランスとドイツでは、家屋の雰囲気が随分と異なる。フランスの家々のほうが、壁が白く、屋根もあまり尖っておらず、ドイツの家々に比べると瀟洒な雰囲気。
「僕はドイツのスタイルのほうが好きだなあ」と相棒。

 To be continued...

 画像は、ザールブルク、旧市街の広場。

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